紙に転生した話について

imumu_いむむ

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仲間との出逢い編

生まれ変わったら…

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…ぁ

…らぁ

…はらぁ

水原ぁ!!

「はぁいぃっ!!」



…異世界で迎えた初めての朝は
さほどいいものではなかった。

「……はぁ…」
 朝がこんなんじゃせっかくの異世界ライフが台無しだよ
 せめて夢見を良くしなくちゃ、
朝から気分悪く暮らすことになるじゃん

私は大草原の柔らかい草の上に寝転がった。

 ていうか目覚めが草原とか…
せめて村のベットとかにしようぜそこは

あはは…と苦笑して改めて自分の体を触ってみる

「本当に神になったのかな?」

羽もなければ天使の輪もない。
 神ってこんなもんなのかな?

そんな事を考えていたらなんだか喉が乾いてきた。

あーやばい、
 近くに川ないかな
出来れば綺麗で澄んだ色の水、

 私はその辺をとにかくほっつき歩いた
よくよく見れば、所々に変な植物や生物がいる
 これは魔物ってやつかな?

「あ、あれ川じゃん!」

視線の先にはサラサラと流れる長い川

こんな早くに水にありつけるなんてラッキーだなぁ

そんな事をぼーっと考えながら手で水をすくう。

「ではでは早速……あれ…?」
えちょっとちょっと
 なんで私の手ふやけてんの?
ふやけてるどころかこれ溶けて……

次の瞬間手首からしたがすっかり水に溶けて無くなってしまった。

「え……?ちょ何それ聞いてない…!」

サーッと顔が青ざめて手をブンブンと振る。

私の手どこいったのよ? 本当に溶けてんの?
 でもそれにしては痛みが全く感じられないんだけど…

「って……ん?」

私が泣きそうになっていると手首がなんかうにょうにょしだした。

 えなになにキモいキモい

手首から薄っぺらい紙のようなものが生えてそれがだんだん絡みついていく。
 拳くらいの大きさになった所でそれは手の形へと変化していった

「……えっと…こんなこと出来んの神って」
 脳がオーバーヒートして状況がいまいち掴めないんですけど
溶けたはずの手が元に戻るとかありえないでしょ…

…まぁいいや

 やっと水を飲み終えると私はある事を閃いた。

摩訶不思議な生物達

現代とは思えない青々とした大地

そして奇妙な能力を使う私

 もはやこの流れは……
私はどきどきしながらある“言葉”を発した

「す……“ステータスオープン”」

その瞬間私の目の前に青いウィンドウが現れた。

「や……やった」
 まさかとは思ったけど本当に漫画のような異世界に行けるなんて、
せめて魔法とかない普通の日本みたいなのかななんて思ってたし

 私は嬉しさで飛び跳ねた。
 恐らくそこにいた魔物は変な奴だと思うだろう
でも私にとってそんなことどうでもいいのだ
 嫌な上司のいない穏便な生活が出来ればどうってことなかった。

「さてさて……私のステータスはっと……ん?」

名前
性別
その下に表示されていたのは

種族
“ペーパー”族

……は?
 ペーパー?ペーパーって何よ
おかしいでしょ私は確かに“神”って……

…まてよ

 全身の血の気が一瞬で引いた

 ペーパー…ペーパーは英語で紙…
紙…紙…かみ…かみ………

…神

「…は……はは…ははは」

そうか“勘違い”をしていたんだ
 私は神になったんじゃない
紙になったのだ。

「あん…の天然女神ぃー!!」

大空へと向かって私は叫んだ

あーもう嘘でしょ?ありえないんだけど…
 てか紙って!!どこに紙になりたいなんて言うやつがどこにいんのよ?!

 はーっと深いため息をついて寝っ転がった。
「これからどうすりゃいいのよ……」
もういい。
 とにかく落ち込んだって何も変わらない
何か行動して自分の身を守らないと。

 こうなると知っておきたいのは弱点だ
 神ならとりあえずチート級に不死身的な能力があるだろうけど、
今は違う。
 なんたって紙だ
ペラッペラですぐクシャッとなる紙。
いつかペシャンコに潰れて死んでしまうかもしれない。
 それはなるべく避けたいからねー…

「さて弱点は何かなー…?」

自分のステータスを見てて分かってくる事がたくさんある
 何もわからない状態で生きてみろと言われても困るからねー
ここら辺は女神さんも工夫をしてくれたのでしょう。

 うんうんと頷きながら自分の情報を見ていく。

HP
MP
攻撃力…

「…これは“スキル”……?」
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