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君と俺
しおりを挟む『ずっと一緒にいたい人…そう思える人がきっとあなたが恋に落ちた人よ』
幼い頃に聞いた母の言葉。
父も静かに笑いながらその言葉に頷いていた。
『そっか…それじゃあ俺は……』
俺は……?
「好き!大好き!」
「……近い」
いつの間にかウトウトしてしまっていたらしい。
学校から帰ってきて寝てしまったのか…?
チラッと横を見れば「ん?」と言いながら可愛く首を傾げる幼馴染がいた。
「創、勝手に俺の部屋に入るな」
「別にいいじゃん!」
よくない!
そう叫びたくなるのを必死に我慢して言った。
「あのな…俺にも自分の時間が必要なんだよ!分かるだろ??」
「……あーい」
ベッドから上半身を起こす俺の動きに伴って創もベッドの上に座り直す。
やめてくれ、その悲しそうな顔を向けないでくれ。
俺だって出来るならお前と一緒にいたい。
けど、俺の理性がもたないんだ。
早く、俺もお前に言いたい、あの二文字を。
顔を少し上げ、そっと創を見る。
目をウルウルさせて唇をギュッと噛んでいる。
……そんな顔させたくないのに。
これもそれも俺が意気地無しのせいだ。
創はこんなにも俺に愛を伝えてくれてるのに。
ギュッと拳を握り、口をゆっくりと開く。
「あ、あのな創…」
スゥーと息を吸い、真っ直ぐに創を見る。
不貞腐れた顔をし、なんだよとでも言いたげな視線を向けられる。
よし、今なら黙ってるぞ!!
これなら行けると覚悟を決める。
俺は決めてたんだ。
絶対に俺から告白するんだって。
けれどもなかなか言えない俺とは違ってお前はあまりにも簡単に好きと言ってしまった。
それが少し悔しくて何度も何度もその告白をかわしてきた。
それもこれも一枚やられてしまった俺からきちんと…好きと言って創の喜んだ顔が見たいがため。
「あ、あのな、創…俺!」
「好き!愛してる!」
こ、コイツゥゥゥゥゥ!!!
もう絶対に分かってて言ってるだろっていうくらいのタイミングで告白しやがった!!
ニンマリと笑い、俺の言葉を待っている創の顔をガシッと掴む。
好き好き言われたらそりゃ嬉しいよ、でもな、タイミングがいつも悪い!悪すぎる!!
更にはお前があのブラコンである朔さんを兄に持つせいで何度邪魔されてきたか…。
隙があれば告白してくるようになってしまったのは何度もかわしてきた俺のせいかもしれない…でも!!
「お・ま・え・は!!!」
「い、いだい!痛い!顔、顔潰れちゃう!Are you angry?(怒ってる?)ぎゃーーーー!!」
「英語出来ないくせに使ってんじゃねぇーよ!」
「理不尽!!いくらなんでも俺、さっきの分くらい英語で言えるからね!?」
「もうこうなったら状況とかどうでもいい……いいか、よく聞け!!」
「ひぃ!頭!頭がとれちゃうぅぅぅぅ」
「……好きだ」
「痛い!痛……って、はい?」
ピシッと固まる創。
ソッと手を退けてまん丸になった創の瞳を見つめてもう一度言う。
「好きだ、好き」
やっと言えた。
自室のベッドの上。
あんぐりとした顔で動こうとしない創に近づく。
「え、あ、う?」
「お前真っ赤だな、日頃のお返しだ、馬鹿な創君」
今度は俺がニンマリと笑う。
耳やら首やら全身を真っ赤にさせた創は俺を見て言った。
「ぼ、僕も好き!」
「何回聞いたと思ってるんだ…知ってるよ」
知ってる。
何度も伝えてくれたよな。
なかなか言えなくてごめんな。
悲しませてごめんな。
まぁ、でも。
やっぱり待ってよかったよ。
可愛いお前の表情が見れたんだから。
「嬉しい」
花が咲くように微笑む創にじんわりと胸が温まる。
やっぱり、大好きだ。
自分が思っていたよりも、ずっと、コイツが。
チュッと軽くうるいピンク色の唇に自分のものを重ねる。
「ばっ!!」
「俺も……嬉しい」
幼い頃のあの会話の続きを思い出す。
『そっか…それじゃあ俺は……創のことが好きみたいだ』
母も父も驚いた顔をした後優しく微笑んで頑張りなさいと言ってくれた。
二人に後で報告しに行かないと…。
あ、それと…。
「どうしたの?新君??」
「いや、後で朔さんにも報告しに行こうな」
「う、うん?」
ニヤリ…と心の中で細く微笑む。
散々邪魔してくれた朔さんに笑顔で報告してあげないとだよな。
次の日、仲睦まじく恋人繋ぎをして登校する俺たちを見て創の兄である朔さんの絶叫が響き渡ったのは言うまでもないだろう。
「お、お兄ちゃん!新君と付き合うことになったんだ!」
ニコッと微笑み、そう言った創に朔さんはパチクリと瞬きをしてみせた。
そしてギギギッと音がしそうなぐらいの勢いで顔をこちらに向けて来たので俺は満面の笑みで言ったやった。
「あははは、おはようございます、お兄さん!」
すると朔さんは泡を吹きながら倒れた。
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