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コラム1 アイディアの創出方法

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皆さんは作品におけるアイディアはどのようにして生み出しているだろうか?

 

「いいものを思いつくのに時間がかかる」

「あともう一押し欲しい」

「まるで思い浮かばず、困っている」

 

このような状況に陥っているのであれば、それは何もあなた自身に能力や才能が欠けているからではない。

そういったものは常に錬磨することさえ怠らなければ、たとえ先天的なものであろうとなかろうといくらでもついてくる。

ではなぜ、あなたにはいいアイディアが思い浮かばないのだろうか?

人によっていくつかあるかもしれないが、今回はその要因を思いつく限り2つご紹介しようと思う。

 

それは「環境」と「思考方法」の使い方をうまく活用しきれていない点にある。

いきなり一気に最高のアイディアを生み出そうとしても、脳が創作に関する思考回路に慣れていない限り、あるいは環境が生み出す「情報空間」に身を置いてその力を借りない限り、自身の独力で創出するのにはどうしても限界があるだろう。

いいものを常に生み出し続けるにはそれを継続する努力ももちろん必要だが、それ以前に外部からの刺激や効率的な思考方法を享受することの方がかなり重要になる。

なぜならその方が自動的に集中できるような「没頭」の状態を作り出すからである。

人は「考えよう、考えよう」と躍起になるよりも、リラックスして気を緩め、創作意欲が削がれない縛りのない思考状態の時の方がわりとスムーズに進むことが多い。これは脳がそういう仕組みでできているからである。ある程度集中力が若干分散している方がかえって集中力が湧きやすいためである。

この根拠はスリニ・ピレイ著の「究極の思考法」という本に詳しく書かれているはずだ。

先の表現はこの本に書かれている内容をズバリ言い当てた表現ではないが(障りだけしか読んでいないのでその全貌を解説する権利がないため)、この本が指摘する「デフォルト・モード・ネットワーク」は至極納得がいく理論であり、創作にも適切な形で当てはまる思考法でもある。

興味がおありな方は是非一度手に取って読んでみることをお勧めする。

 

スリニ・ピレイ著:「究極の思考法」

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89%C3%97%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%81%A7%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%A9%B6%E6%A5%B5%E3%81%AE%E6%80%9D%E8%80%83%E6%B3%95-%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%BB%E3%83%94%E3%83%AC%E3%82%A4-ebook/dp/B079XXH316/ref=sr_1_2?adgrpid=117859578183&hvadid=541201608695&hvdev=c&hvqmt=b&hvtargid=kwd-1312095143643&hydadcr=5235_13144076&jp-ad-ap=0&keywords=%E7%A9%B6%E6%A5%B5+%E3%81%AE+%E6%80%9D%E8%80%83&qid=1637036966&sr=8-2

 

 

筆者は読者により細部にまで創作方法を理解、納得して頂くために小説や脚本術に関する書籍だけではなく、脳科学における思考法やビジネスで使われるような思考法(有名な書籍だと「イシューからはじめよ」など)にも広く展開して解説していく予定があり、今後余裕が生まれればこういった分野にも重きを置いて話していくつもりだ。もちろん、既存で展開されている理論抜きに一人よがりな思考法は語れないためだ。今回はあくまで私独自の創作方法ということでご容赦頂ければ幸いに思う。

 

では、今回ご紹介する「環境」と「思考方法」とはどんなものか。

順を追ってまずは「環境」から説明しよう。

ここで定義する「環境」とは自身が創作する上で身を置く場所あるいはその空間、強いて言えば「物理空間」のことである。

例えば休日に自宅で創作をするといった人はリビングルームや寝室、作業部屋などがそれに該当する。

外で創作をする人は例えばカフェやレストラン、図書館などが該当するだろう。

これら「環境」は先ほど少し挙げた脳内の「情報空間」と密接な関係を持つ。

情報空間とは「頭の中に存在する空間」のことを意味する。

物理的な実体がなく、脳内で認識されることで生み出されるもののことである。

例えば、ディズニーのミッキーやウルトラマンなどは情報空間の存在である。

小説や映画も情報空間の存在であり、数学などもこれに当てはまる。

これがなぜ、「環境」と関係するのか?

先ほど述べた通り、「環境」とは即ち「物理空間」と換言することもできる。

物理空間と情報空間は連続的に連なって存在しており、情報をうまく操作すると物理的なもの、ここでは身体、もっと正確に表現すると脳に影響を及ぼすことが可能になる。

例えば横断歩道で信号が赤になった時なども私たちはそれを頭の中で「止まる」という情報を認識して行動の規制に移すことができる。

これも情報空間が私たちの物理的な行動に影響を与えていることになる。

これが物理空間と情報空間の連なりであり、この構造を小説の創作にも起用することができるという内容が「環境」という項目の主旨である。

 

普通は情報空間の操作によって物理空間が影響されるのだが、私の場合はこの関係を逆に使って物理空間から得られた情報を脳内の情報空間に影響を与えるような方法を取っている。

物理空間を情報空間に似通わすことで頭の中をよりアイディアの生み出しやすい思考回路に持っていくわけだ。

 

では、それは具体的にどのようなものなのか?

実際に筆者の私が自宅で活用している方法は以下のようなものである。

 

 

○部屋のデザインや作業用デスクなどの模様替えなどをしてインスピレーションを浮かべやすくする

 

○ふと目に留まったモノや事象物に何等かの意味を見出してみる

 

○パソコン画面やノートを中心的に注視するのでなく、外の景色を眺めたり、創作には関係ない事象物などを眺める

 

○自分にとって創作に向いた音楽を聴く

 

○作業空間に目を引くクリエイティブなモノを置いてみる

 

これらは物理空間に視線を向けることによって頭の中の情報空間にインスピレーションを与え、よりアイディアを生み出しやすいようにした手法である。あくまで私なりの手法だが、もしこれらの中でやりやすそうな項目があれば是非試して頂きたい。

順番に説明しよう。

 

 

○部屋のデザインや作業用デスクなどの模様替えなどをしてインスピレーションを浮かべやすくする

一番最後の項目にある「作業空間に目を引くクリエイティブなモノを置いてみる」と繋がってくるのだが、自身の創作する世界観に近い概念を想起しやすくするために、例えばファンタジーならアンティークな小物を置いてみたり、壁に自然や緑が描かれたポスターを貼ったりするのもいいだろう。そうすることによって物理空間そのものを情報空間と同じ要素に似通わせるのである。

 

○ふと目に留まったモノや事象物に何等かの意味を見出してみる

シンクロニシティ、つまり「偶然の一致」という言葉があるが、この事象を利用してたまたま目に留まった何らかのモノやコト、何でもいいのでその事象物を創作アイディアに起用する方法である。

例えば、後で掲載する私の部屋にあるデスクの風景を見ればわかるのだが、デスクの中央にはマヤ文明のカレンダーの置き物を壁に立てかけてある。

それをふと目にした時、その構造や意味を創作対象に適用させるのである。

あなたが「地球が終末に向かうような世界的な危機を描くストーリー」を創作しているとする場合、巷で有名になった「マヤ暦が特定の日付をもって終わることで世界の終末が訪れる」という情報を応用する形でこのカレンダーを眺めて、思考を巡らせてみるのである。

詳しい思考方法は下記にある内容を参考にして頂ければと思うが、仮にカレンダーを見たことで「世界の終末」というキーワードが思い浮かんだ場合、それを頭の中で発展させるのだ。

私の場合なら、例えばファンタジー風に解釈するとしたら「大地にこのカレンダーが敷かれており、期限日に到達することでカレンダーが火を噴き、よって大地に展開されている現代都市が焼き滅ぼされる」といったアイディアを思いつくだろう。

このようにして意味を見い出すのである。

 

○パソコン画面やノートを中心的に注視するのでなく、外の景色を眺めたり、創作には関係ない事象物などを眺める

先ほどの項目と被ってしまうが、創作アイディアを書き留める対象物に目を向けてばかりいると、アイディアを生み出す自由な思考回路が狭まり、着想を得られにくくなってしまう時がある。そんな時はそこから一旦目を離して近くのモノや遠くの風景や光景を眺めたりして脳をリラックスさせて、「考えること」と「考えていないこと」の間にあるくらいのニュートラルな思考状態にする方法もある。先述した「デフォルト・モード・ネットワーク」ではないが、そうすることでインスピレーションを降ろす余白を脳内に与えるのだ。

 

○自分にとって創作に向いた音楽を聴く

私の場合は脳内に何らかの刺激を与えるために常に音楽を聴いている。カフェで流れるようなアコースティックな音楽を聴くこともあるが、映画の劇中や予告編で使われるようなBGMを聴くこともある。あなたがハリウッドのようなストーリーを書いてみたいと考えているなら、例えばの話そこからアイディアを得るのも手だ。激しいアクションシーンの展開に使われているサウンドトラックを聴いて、そこから派生させて似たようなシーンを妄想することもできる。もし、聴くのであればよく予告編に使われる「Audiomachine」や「Two Step From Hell」というアーティストはお勧めである。これらのアーティストではないが、私の場合はよく「S.A.B.E.R.Squad」という楽曲を聴いている。

 

○作業空間に目を引くクリエイティブなモノを置いてみる

同じことが重複してしまって申し訳ないが、この方法は何かと役に立つ。先ほど申し上げた私の作業デスクはこのようになっている。



 

私の場合は絵も描いたりするので、それを壁に貼ってよりクリエイティブな思考に持っていくことも可能になる。

そして、先ほど挙げたカレンダーとは中央にある白い円盤のことである。

こういったモノを購入してみるのもアリかもしれない。

 

 

続いて、「思考方法」に入ろう。

適切な環境に身を置くことも大事だと述べたが、それを踏まえた上で効率的な思考方法に則って創作することも重要になる。

色々な思考方法があり、思考法大全の本も出ているので、考え方により特化した手段はご自身で調べたり読んだりした方が早いかもしれないが、私なりに得た思考方法は以下の通りである。

 

 

○予め思い浮かんだアイディアを基軸にしてそれが意味する似たような事象物をアイディアに取り入れる

 

○一見すると全く関係のないアイディア同士を繋げてみる

 

○アイディア本やメモ帳を予め作っておく。

その作品の創作だけにとどまらず、あらゆる作品に利用できるような集大成を作る。

 

 

この他にもたくさんの方法があるだろう。今回挙げたものはその一例であり、今後アイディア創出方法に関するカテゴリーも作っていくので、そちらに機会を譲りたく思う。

以下に説明する。

 

 

○予め思い浮かんだアイディアを基軸にしてそれが意味する似たような事象物をアイディアに取り入れる

先ほどのカレンダーを例に挙げるとするなら、カレンダーには数字や文字が必要になるので「ある一つの辞書からカレンダーに必要な文字が飛び出してカレンダーに貼り付けられる」などといった、カレンダーに組み込まれた要素を洗い出してそれを別のアイディアとして創出することもできる。

 

○一見すると全く関係のないアイディア同士を繋げてみる

例えば「天」と「地」のような反対関係にある事象物を同じような意味を持つものに置き換えてみる。この例を取って考えてみると、「天」つまり「空」は大気で構成されているが、そこに含まれている水蒸気などの水分子を岩石などの固形物に変質させることで天に「地」つまり「大陸」を創造できる、といった、そもそもにおける前提を覆すことも手法の一つだ。

 

○アイディア本やメモ帳を予め作っておく。

着手している作品の創作だけにとどまらず、あらゆる作品に利用できるような集大成としてのアイディア本を作っておくと、いざ着想に困った時にそれを起用することもできる。

 

 

以上がアイディア創出方法の一例である。だが、これらを行う上で大切なことがある。それを以下に記す。

 

思考を展開する上で大切なこと

 

○カフェや図書館などに赴いて、自分に合った環境の力を借りる

人によってはどうしても家で創作できなかったり、あるいはその逆に家でないと難しいという人もいるだろう。要はその人に合った環境を自分で見つけてそこで創作するのが最も効率的に捗るだろう、ということを述べたいのである。

 

○すぐにメモする

頭の中だけで全てを処理するのにはどうしても限界がある。そんな時は思いついたものはすぐにノートやパソコンに書き留めることが重要になる。スマートフォンのメモ帳でも紙切れでもいい。すぐに書き留めて忘れないように記録しておくことが重要なのだ。

 

○クリエイティブな思考を妨げる要因を自身のいる環境から排除する

一人暮らしをしている人ならまだしも、親や配偶者など家族と同居していて、なおかつ彼らの言動が創作を削ぐようなものである場合、あなたの創作は一向に進むことは難しいだろう。それならそれで容赦なく外出してカフェや図書館などに行ったりして、気分転換をするついでにそこで創作をしてみよう。創作に最も快適な環境を構築することが必要であるのは、特に作家にとっては必要不可欠な要素だ。

 

 

※ 忠告

私が例として独自に挙げたアイディアはかなり厳密に言うならば私に著作権があるはずだが、ブログで掲載する程度のアイディアにおいてはそこまでうるさいことは申し上げない。ただ、森本純輝として活躍する私の実際の作品を丸ごと盗用して自身の作品に充てるのは、正直言ってやめて頂きたい。そのことに何かしらの言いがかりをつけてくる連中もいるかもしれないが、本人である私が「やめて欲しい」というのだから、それはその意向に沿って創作をして頂きたい。くれぐれもそのことで私を中傷しないようにして頂くことを祈る。

 

以上がアイディア創出方法となる。

今回の記事は「更新せねば」という思いからコラムとして投稿したことが主だった背景であり、正直に申し上げてそこまで根拠に基づいた記事ではないかもしれない。それでもこの記事によって救われる方々がいらっしゃるなら、それこそは存外の喜びである。

作家を目指すのにはあらゆる要素を必要とするので、かなりハードな道のりであるかもしれないが、それでも「諦めきれない」「どうしても書きたい」という思いがあるのであれば、私はこのブログを通して最大限に支援するつもりだ。

共に邁進していこう。

 
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