前世乙女ゲームの製作者だった公爵令嬢は「悪役令嬢」と「結婚」は厄介そうなので、憧れの「先生」を目指します

彩多 花音

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スターチスは突として

10-b.ほしとかがやき

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 ちょうど人目に付きにくい場所からはっきりとした声とその顔を見ることが出来た。
「おい、平民のくせして俺様に物言うとかまじ信じられねぇな。おい聞いてんのか。このちび。」
 何言ってんの。平民をいじめるとか意味わかんない。どんな理由であれ人をいじめていい理由にはならない。例え、ここが貴族と平民の世界でも。
「お久しぶりです。先ほどは名前を聞きそびえてしまったので今聞いてもよろしいでしょうか。」
 わたしは出来るだけ冷めた声で静かにそう言った。
「あぁ、そういえばそうでしたね。フォゲック男爵家のルジャーです。聞いてくださいよ。こいつ、貴族のことけなしてきたんですよ。貴族のおかげで生きているというのに。」
 へぇ~。この人けなすって言葉知ってたんだ。意外。こんなこと言う奴だからもっとやばい奴かと思ったけれど。
 それに貴族のおかげで平民が生きているというのもどうかしら。確かにそうなのかもしれない。でもそれを言ったら、貴族だって平民の方々が作ったものを使い、食べ、着ているんじゃないかしら。相互協力関係が重要なんではないの。とにかくまずはこの脅しを止めよう。
「フォゲックさん、そしてその周りの皆さん。確かに貴族という地位は素晴らしいかもしれません。ですが、平民と呼ばれる人は価値がないのですか。それに貴方は何か大きな成果を出したのですか。先祖の方が大きな功績を残したから今の地位があるのではないですか。まずは誰かを脅すことより自分のスキルアップに時間をかけたほうがいいですよ。未来を創るのは自分の力ですから。それに今みたいなことを恐らく入学される王太子殿下の前で言ったらどうなるんでしょうね。」
 つい興奮して早口になりながらも言うことが出来た。さすがにこれは言っておきたかったからまぁ満足。でも、こんな風に取り乱してしまうなんてまだ未熟だな。
「それは、そう思うかもしれませんが、それでも平民が貴族に物言うのはどうなんでしょうか。貴女ならわかるのではないでしょうか。こんな格下に物言われる恥辱が。」
 は。そんな風に誤解されるのは腹が立つわ。貴族高rということで同じにしないでほしいわ。前世は上級国民でもなんでもない一般人なんだから。
 まずは深呼吸。
「そういえば、のフォゲックさんと皆さん。魔法能力診断の先生がお呼びだったのを忘れていました。早く言ったほうがよろしいのでは。」
 わたしがそういうと男性方はパタパタと去っていった。そして残った方にそっと手を伸ばす。
「立てますか?先ほどは失礼しました。せっかくの休み時間が大変なことに。」
「あ、ありがとうございます。その、貴族なんですよね。すみませんっ!」
「貴族だけれど今はお互い受験者でしょ。さ、休憩なくなっちゃう。」
 そしてわたしたちは残り少ない球形のために別れた。
 あの子の名前聞き忘れたな。

 最後のテスト、筆記試験。ここで気を緩めてはいけない。
 席に着きふと横を見ると先ほどの男性がいた。名前を聞きたい気持ちを抑えて今は筆記試験に集中しなくては。
「それでは試験について説明します。50分間試験を行います。読みにくい文字などございましたら挙手をして合図してください。不正をした場合即座に受験資格を取り消し、強制退室とさせていただきます。また、テスト中に問題行動を起こした方も即座に受験資格を取り消し、強制退室とさせていただきます。それでは問題用紙と回答用紙を配布します。」
 そして筆記試験が始まった。この空気学校の定期考査と似てる。
 50分間のテストが終わった。内容としては手紙に書いてあったことにプラスして道徳的な考えなど人として一般的に必要とされていることが問われていた。
 周りは続々と帰ろうとしているが、わたしは隣にいる男性に声を掛けようと一人悶々としていた。でも、時には決断することも重要だから。
「あ、あの。わたしエーデルって言うの。貴方の名前を教えてくれませんか。」
 い、言えた。
「え!? 名前、モネです。」
 モネさん。なんだかあの超有名な画家を思いだす……
「それでは、今度は学園で生徒として会えるのを楽しみにしています。」
 ってわたし何言ってるの。わたしが合格できるカスわからないって言うのに。
「~はいっ! お会いできるの楽しみにしてます。」
 いい子。やっぱり平民貴族関係ないね。もう、結果が楽しみ。いや、ふ、あ、ん。えへっ


 あのテストから約一か月。ついに結果が届いた。
「開けるよ、フィール。いい。」
「エーデル様、わたしに聞かないでくださいよ。」
 心臓バクバク。少しの震え。

「学園入学試験受験者様へ
 貴殿は試験の結果、「合格」となりました。
 つきましては、入学に関する書類を後日発送させていただきます。
 入学を取り消したい場合は後日発送される書類に記入をし学園まで提出おねがいいたします。
 ルチレイテック魔法学園 事務」

 合格……合格! やったー! やったー!! 合格できたんだ。
「エーデル様、結果はどう、でしたか。」
「合格だよ。わたし合格したんだよ。」
「そうなのですね。良かったです。安心しました。旦那様と奥様に報告に行ってきます。」
「あ、待って。わたしが言うわ。やっぱり自分で言わなくちゃ。」
 ということでわたしはお父様とお母様のところに向かった。
 失礼します。祖静かに扉を開く。そこには真剣な顔で執務をこなすお父様とお母様がいた。
「わたし、魔法学園に合格いたしました。」
「そうか。お疲れ様。」
「おめでとう。」
 お父様とお母様の顔は本当に優しく、その顔を見てわたしは安心することが出来た。
 本当に良かった。良かった。ってまだ学園に入学してないから気を緩めてはいけないわね。
 ところでエリック様とアイラス、そしてその他の登場人物のみなさんは合格できたかな。
「そういえばエーデル様はもう一つの魔法学園を知っていますか。」
 もう一つの魔法学園? 初めて聞いたぞ。
「なになに。教えて。」
「かしこまりました。もう一つの魔法学園はルチレイッテク魔法学園より実力は低めで、ルチレイッテク魔法学園に入学できなかった人が多く通っているそうです。もちろん、そちらの魔法学園を目指して試験を受ける方もいるそうなのですが。」
 へぇ。初めて知った。確かに不合格になってしまったら貴族なんて特に大変かも。
 この世界もそんな仕組みがあるのね。

 結果は「合格」だった。
 この結果を見せたらおじい様も私のことを認めてもらえるでしょうか。
「お嬢様。泣きそうなお顔をされていらっしゃいますよ。」
 侍女に言われて私、アイラス・ジェシーは鏡を見る。本当だ。
 はぁ、私ってどうしてこんな人間なのかしら。せっかく合格できたというのに嬉しさよりもおじい様に認めてもらえるかという不安しかない。エーデル様はどうだったのでしょう。きっと合格されているはずですよね。私は学園でエーデル様と会いたいの。だからこの壁を突破しなくては。

 私の心を救って!

 夜空の美しい星の道とそこにいるであろう神様たちに静かに祈ることしかできない自分が悲しくなった。

 ※この話での一部会話は展開上書いた内容であり、誹謗中傷などを目的として書いたわけではありません。それでも不快に感じる方はいらっしゃるかもしれませんが極力ないよう努めてまいります。これからも内容向上に精進してまいります。
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