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第百四十四話 一方そのころ
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王都のとある一角、A級パーティーである銀の閃光が戦闘を行っていた。
銀の閃光の周りには例に漏れず多数の魔物が迫ってきている。前衛ではパンクとボローネが剣で応戦し、後衛ではナップ、シース、ミルが援護をしている。
「マジックウェーブ!」
「サンキュー、シース!フレイムフィスト!」
シースのバフの効果でナップの魔力が上昇する。背丈の何倍もある炎の塊が敵に向かって飛んでいく。前衛で戦っていたパンクとボローネは合図の一つも無いにも関わらず、魔法に巻き込まれないようにsの場を飛び退く。
ホウリと戦ったときにはレベル3の魔法までしか使えなかったが、ここ半年でレベル4であるフレイムフィストを習得した。フレイムフィストは放った後にその場に残り続ける。残った魔法で敵を焼き切る強力な魔法だ。
そんな強力な魔法を放ちながらもナップの表情は暗い。
「なんでこんなにいるんだよ……」
目の前の敵を焼き払ったにも関わらず、目の前にはまだ何十体も魔物がいる。そんな状況を見てナップが愚痴をこぼす。
「ナップ、今は目の前の敵に集中して!」
「分かってるよ」
パーティーメンバーであるミルに窘めなめられながら、ナップは杖を握り直す。
「はっはっは!こんな物か!」
「もっとかかってこい!」
疲れ切っているナップとは対照的に、剣を振り回しながらパンクとボローネが生き生きと戦っている。
その様子を見たナップが更に疲れた表情になる。
「何であいつらあんなに元気なんだよ」
「脳筋共の考えている事なんて分からないわよ」
「2人ともそんな事言っちゃダメだよ。パンクとボローネのお陰で僕たちまで魔物が来ていないんだからね」
「それはそうだけどよ……」
ミルの言う通り、後衛の3人が攻撃に集中できるのはボローネとパンクが敵を抑えているからだ。注意深く観察すれば、3人の元へ向かおうとする魔物を優先的に倒している事がわかる。
疲れているナップやシースは気付いていないが、司令塔であるミルは気が付いているようだ。
愚痴や文句が出ながらも銀の閃光は上手く連携し殲滅していく。しかし、対照的に1人で敵を殲滅している者もいた。
「レディース&ジェントルメーン!」
タキシードを着てシルクハットを被った男が、魔物に囲まれながらも笑みを浮かべている。
男は魔物達を前に、まるで観客に聞かせるかの如く手を広げる。
「今日はわたくし、プラムのゲリラショーにお越しくださいましてありがとうございます!」
プラムと名乗った者は胸に手を当てて恭しくお辞儀をする。まるで、自分のショーを見に来た客に向けるように笑顔だ。
武器を向けられる中で、プラムは言葉を続ける。
「申し訳ございませんが、今回のマジックはたった一つでございます」
「ぎゃがあああ!」
演説を無視してゴブリンが奇声を上げながらプラムに向かって武器を振り下ろす。しかし、
「ごぎゃ?」
ゴブリンの目には振り下ろした筈の腕が映らなかった。代わりに肘から先が無い自分の腕と、切断されて地面に転がる腕だった。
何が起こったか分からないような表情のゴブリンだったが、頭部を何かに切断され光の粒になって消えた。
「そのたった一つのイリュージョンとは……魔物の消滅マジックでございます!」
そう言うとプラムは軽く手を振った。瞬間、周りにいた魔物達が次々と光の粒になっていく。よく見てみると、魔物達の間を鈍く輝く何かが飛び交っているのが見える。
プラムが手を振っていくと、みるみると魔物の数が減っていく。
「種も仕掛けもございません!さあ皆さん、盛大な拍手をお願いします!」
「調子に乗るな」
手を掲げ高々に笑うプラムの頭を何者かがチョップする。
「いてっ」
「誰もいないのに何がショーだ。真面目にやれ」
その者は長剣を携えた目つきの鋭い男だった。その男には寄らば切ると言った雰囲気を醸しており、今にも切りかかりそうだ。
そんな男にチョップをされたプラムだったが、すぐにいつものように笑顔を張り付けて話始める。
「おやおや、ライム君じゃないですか。君みたいな根暗も来ていたんですか?いつもみたいに一人寂しく戦っていれば良いんじゃないですか?」
「うるせぇ詐欺師。人がいないのにショーを始めるよりはマシだ」
2人の間に険悪な雰囲気が漂っていく。この2人は古くからの付き合い、いわゆる幼馴染と言う奴であるが、性格が対照的であり犬猿の仲として有名だ。
「根暗の妬みも聞き飽きたね。そろそろ魔国辺りに旅立ったらどうだい?君ならドラゴンにも勝てると思うよ?相打ちにでもなってくれると嬉しいかな?」
「お前は戦場にしゃしゃり出て来ないで、大好きなマジックだけやってろ。そして二度と面を見せるな」
「はっはっは、君みたいな雑魚だけじゃ力不足だろう?だから忙しい私が出てきているのだ」
「闘技大会で準決勝で負けた奴が何か言っているな?」
「は?」
「あ?」
舌戦の後に無言でメンチを切りあう二人。更に雰囲気が悪くなっていく中、二人の周りに魔物が続々と集まって来る。しかし、二人は気付いていないのかメンチを切りあう。
「てめぇ!表出ろや!」
「もう表だけど?やるなら口じゃなくて手を動かせば?」
我慢の限界と言った様子でライムが剣を抜く。その剣は所々に節が入っている所謂、蛇腹剣になっていた。ライムはスキルで蛇腹剣の挙動を操る事を得意としている
ライムが剣を抜くのを見たプラムは笑顔のままトランプを取り出す。
そんな二人に向かって魔物は武器を振り上げ……
「「邪魔だ!」」
トランプと蛇腹剣によって周りの魔物が一斉に切断される。
「今日こそ決着をつける!」
「いいでしょう、私はあなたより強いという事を教えてあげましょう」
プラムが投げたトランプ目掛けてライムが蛇腹剣を振るう。すると、蛇腹剣が文字通りヘビのように伸びてトランプを全部叩き落した。
「いくら紙切れを飛ばしても片っ端から切り捨ててやる」
「今のが全力だとでも?」
プラムが笑みを深めると周りを飛ぶトランプの枚数が倍に増える。
ライムは顔をしかめると、バックステップで距離を取った。
「おやおや、距離を取るとはとんだ腰抜けですな?」
「間合い管理は基本中の基本だろうが。それも分からない程にアホなのか?」
子供みたいな言い合いをしながらも、激しい攻防が繰り広げられる。
十数枚のトランプが飛び交い、蛇腹剣がヘビのように襲い掛かっていく。トランプと蛇腹剣が激突して激しく火花を散らす。
そして、周りの魔物達がその余波でどんどんと光の粒になっていく。魔物の何匹が攻撃を仕掛けていったが、プラムとライムは躱すことすらせずに魔物達を切り捨てる。
「くたばれや!」
「貴方が死んでください!」
互いで戦いながらも周りの魔物を蹴散らしていく。これも別のチームワークと言えるのかもしれない。
そんな2人が戦っている中、即席でチームを組んでいる者もいた。
「はあ!」
道着を着た女の子……プディ・ブルタがオークの腹に拳を叩き込む。ホウリが闘技大会の2回戦で戦っていた子だ。
しかし、プディの体格ではあまり威力が出ていないのか、オークは全くダメージを受けた様子は無い。
「まだまだ!」
プディは怯むこと無く連続で拳を繰り出す。多少は効いているようだが、オークにはまだ余裕がありそうだ。しかも、周りには別の魔物が数多くいる。オーク一匹に手間取っている間にも他の魔物が迫ってきている。
プディの背後からゴブリンがこん棒を振り下ろす。気が付いていないプディはそのままこん棒を頭に受ける。しかし、
「はああ!」
攻撃を受けたにも関わらず、プディはそのままオークに攻撃を続ける。そして、プディが握る拳が光始まる。
プディの拳に力が籠り、巨漢であるオークを高々と吹き飛ばした。オークは空中で光の粒になって、地上に降り注ぐ。
プディは攻撃してきたオークを次の目標に決め、回し蹴りを繰り出す。
「うりゃ!」
プディの足がゴブリンに命中するがゴブリンを倒すまでには至らない。プディはそのままゴブリンの件を腹で受けることになる。
しかし、プディはダメージを受けた様子は無く、初撃よりも強力な蹴りがゴブリンを襲う。
プディのスキルは攻敵の撃の威力を9割減らし、減らした分を自分の攻撃に乗せる事が出来る。この攻撃はある程度チャージすることができ、攻撃を上げる分をコントロール出来るので無駄撃ちもない。
ただし、威力を上げるのに時間がかかるので殲滅戦よりも大型の敵との戦いを得意としている。
「ふう、よし……」
ゴブリンを倒したプディは気合を入れ直して、次の標的を決める為に周りを見る。
そこでプディが見たのは、魔物達が一斉に武器を振るっている光景だった。
「キャア!」
プディは思わず手で防御しようとする。瞬間、目の前の達が横から来た何者かが衝突し、光の粒になりながら吹き飛んでいった。
その者、獣人族のステル・ナタは巨大な虎の姿で低く唸ると再び駆け出す。
「グルアアアア!」
巨大な体で駆けながらプディの周りの敵を一掃する。その様子を見たプディが嬉しそうに叫ぶ。
「ステルさん!前の奴お願いします!」
「わ゛がっだ!」
ステルが唸りながら答え、プディへと突進していく。そして、力強く地面を蹴り、口を開けてプディへと飛びかかった。
プディは回避する事も無く、左腕を差し出してステルに噛ませる。
「ガウ!」
「くっ……」
骨が軋む音を聞きながらステルの噛みつきに堪えるプティ。
魔物に囲まれる中で巨大な虎に噛まれている少女。事情が知らない者が見たら、ステルも魔物の仲間に見えるだろう。
しかし、ここにいるのは攻撃を自身の攻撃に変換できるプディと獣人族の頂点に立つステルだ。ここから導き出される答えは一つ。噛みつきの持続ダメージで急速にダメージを溜めているのだ。
しかし、いくら9割のダメージカットスキルがあるとはいえ、獣人の噛みつきを受け続けるのは厳しいだろう。
額から汗を流していきながら、プディは噛みつきに耐えていく。
「ステルさん、そろそろ……」
プディが苦しそうに言うと、ステルが口を放して人型の姿に戻る。左手から手を流しているプディを見て、ステルが心配そうに尋ねる。
「まだいけるか?」
「私には自動回復があるので大丈夫ですよ。それにポーションもあります」
プディがポーションの瓶を取り出して一気に呷る。すると、左腕の出血が少し弱まった。回復はしたみたいだが、まだ左腕で戦う事は厳しいだろう。
「上等だ。まだまだ暴れるぞ!」
「はい!」
プディが背後から迫っていたコボルトの攻撃を回避し右手で殴り飛ばす。ゴブリンの頭が吹き飛び、壁に叩きつけられる。
「これならいける!」
「まだまだ行くぞ!」
2人は手当たり次第に魔物を襲っていく。数が多いとは言え、低級の魔物ばかりで2人の相手にはならない。
魔物達は急激に数を減らしていくことになり、ものの数分で魔物は姿を消す事になった。
こうして、王都中で防衛線が繰り広げられていくのであった。
銀の閃光の周りには例に漏れず多数の魔物が迫ってきている。前衛ではパンクとボローネが剣で応戦し、後衛ではナップ、シース、ミルが援護をしている。
「マジックウェーブ!」
「サンキュー、シース!フレイムフィスト!」
シースのバフの効果でナップの魔力が上昇する。背丈の何倍もある炎の塊が敵に向かって飛んでいく。前衛で戦っていたパンクとボローネは合図の一つも無いにも関わらず、魔法に巻き込まれないようにsの場を飛び退く。
ホウリと戦ったときにはレベル3の魔法までしか使えなかったが、ここ半年でレベル4であるフレイムフィストを習得した。フレイムフィストは放った後にその場に残り続ける。残った魔法で敵を焼き切る強力な魔法だ。
そんな強力な魔法を放ちながらもナップの表情は暗い。
「なんでこんなにいるんだよ……」
目の前の敵を焼き払ったにも関わらず、目の前にはまだ何十体も魔物がいる。そんな状況を見てナップが愚痴をこぼす。
「ナップ、今は目の前の敵に集中して!」
「分かってるよ」
パーティーメンバーであるミルに窘めなめられながら、ナップは杖を握り直す。
「はっはっは!こんな物か!」
「もっとかかってこい!」
疲れ切っているナップとは対照的に、剣を振り回しながらパンクとボローネが生き生きと戦っている。
その様子を見たナップが更に疲れた表情になる。
「何であいつらあんなに元気なんだよ」
「脳筋共の考えている事なんて分からないわよ」
「2人ともそんな事言っちゃダメだよ。パンクとボローネのお陰で僕たちまで魔物が来ていないんだからね」
「それはそうだけどよ……」
ミルの言う通り、後衛の3人が攻撃に集中できるのはボローネとパンクが敵を抑えているからだ。注意深く観察すれば、3人の元へ向かおうとする魔物を優先的に倒している事がわかる。
疲れているナップやシースは気付いていないが、司令塔であるミルは気が付いているようだ。
愚痴や文句が出ながらも銀の閃光は上手く連携し殲滅していく。しかし、対照的に1人で敵を殲滅している者もいた。
「レディース&ジェントルメーン!」
タキシードを着てシルクハットを被った男が、魔物に囲まれながらも笑みを浮かべている。
男は魔物達を前に、まるで観客に聞かせるかの如く手を広げる。
「今日はわたくし、プラムのゲリラショーにお越しくださいましてありがとうございます!」
プラムと名乗った者は胸に手を当てて恭しくお辞儀をする。まるで、自分のショーを見に来た客に向けるように笑顔だ。
武器を向けられる中で、プラムは言葉を続ける。
「申し訳ございませんが、今回のマジックはたった一つでございます」
「ぎゃがあああ!」
演説を無視してゴブリンが奇声を上げながらプラムに向かって武器を振り下ろす。しかし、
「ごぎゃ?」
ゴブリンの目には振り下ろした筈の腕が映らなかった。代わりに肘から先が無い自分の腕と、切断されて地面に転がる腕だった。
何が起こったか分からないような表情のゴブリンだったが、頭部を何かに切断され光の粒になって消えた。
「そのたった一つのイリュージョンとは……魔物の消滅マジックでございます!」
そう言うとプラムは軽く手を振った。瞬間、周りにいた魔物達が次々と光の粒になっていく。よく見てみると、魔物達の間を鈍く輝く何かが飛び交っているのが見える。
プラムが手を振っていくと、みるみると魔物の数が減っていく。
「種も仕掛けもございません!さあ皆さん、盛大な拍手をお願いします!」
「調子に乗るな」
手を掲げ高々に笑うプラムの頭を何者かがチョップする。
「いてっ」
「誰もいないのに何がショーだ。真面目にやれ」
その者は長剣を携えた目つきの鋭い男だった。その男には寄らば切ると言った雰囲気を醸しており、今にも切りかかりそうだ。
そんな男にチョップをされたプラムだったが、すぐにいつものように笑顔を張り付けて話始める。
「おやおや、ライム君じゃないですか。君みたいな根暗も来ていたんですか?いつもみたいに一人寂しく戦っていれば良いんじゃないですか?」
「うるせぇ詐欺師。人がいないのにショーを始めるよりはマシだ」
2人の間に険悪な雰囲気が漂っていく。この2人は古くからの付き合い、いわゆる幼馴染と言う奴であるが、性格が対照的であり犬猿の仲として有名だ。
「根暗の妬みも聞き飽きたね。そろそろ魔国辺りに旅立ったらどうだい?君ならドラゴンにも勝てると思うよ?相打ちにでもなってくれると嬉しいかな?」
「お前は戦場にしゃしゃり出て来ないで、大好きなマジックだけやってろ。そして二度と面を見せるな」
「はっはっは、君みたいな雑魚だけじゃ力不足だろう?だから忙しい私が出てきているのだ」
「闘技大会で準決勝で負けた奴が何か言っているな?」
「は?」
「あ?」
舌戦の後に無言でメンチを切りあう二人。更に雰囲気が悪くなっていく中、二人の周りに魔物が続々と集まって来る。しかし、二人は気付いていないのかメンチを切りあう。
「てめぇ!表出ろや!」
「もう表だけど?やるなら口じゃなくて手を動かせば?」
我慢の限界と言った様子でライムが剣を抜く。その剣は所々に節が入っている所謂、蛇腹剣になっていた。ライムはスキルで蛇腹剣の挙動を操る事を得意としている
ライムが剣を抜くのを見たプラムは笑顔のままトランプを取り出す。
そんな二人に向かって魔物は武器を振り上げ……
「「邪魔だ!」」
トランプと蛇腹剣によって周りの魔物が一斉に切断される。
「今日こそ決着をつける!」
「いいでしょう、私はあなたより強いという事を教えてあげましょう」
プラムが投げたトランプ目掛けてライムが蛇腹剣を振るう。すると、蛇腹剣が文字通りヘビのように伸びてトランプを全部叩き落した。
「いくら紙切れを飛ばしても片っ端から切り捨ててやる」
「今のが全力だとでも?」
プラムが笑みを深めると周りを飛ぶトランプの枚数が倍に増える。
ライムは顔をしかめると、バックステップで距離を取った。
「おやおや、距離を取るとはとんだ腰抜けですな?」
「間合い管理は基本中の基本だろうが。それも分からない程にアホなのか?」
子供みたいな言い合いをしながらも、激しい攻防が繰り広げられる。
十数枚のトランプが飛び交い、蛇腹剣がヘビのように襲い掛かっていく。トランプと蛇腹剣が激突して激しく火花を散らす。
そして、周りの魔物達がその余波でどんどんと光の粒になっていく。魔物の何匹が攻撃を仕掛けていったが、プラムとライムは躱すことすらせずに魔物達を切り捨てる。
「くたばれや!」
「貴方が死んでください!」
互いで戦いながらも周りの魔物を蹴散らしていく。これも別のチームワークと言えるのかもしれない。
そんな2人が戦っている中、即席でチームを組んでいる者もいた。
「はあ!」
道着を着た女の子……プディ・ブルタがオークの腹に拳を叩き込む。ホウリが闘技大会の2回戦で戦っていた子だ。
しかし、プディの体格ではあまり威力が出ていないのか、オークは全くダメージを受けた様子は無い。
「まだまだ!」
プディは怯むこと無く連続で拳を繰り出す。多少は効いているようだが、オークにはまだ余裕がありそうだ。しかも、周りには別の魔物が数多くいる。オーク一匹に手間取っている間にも他の魔物が迫ってきている。
プディの背後からゴブリンがこん棒を振り下ろす。気が付いていないプディはそのままこん棒を頭に受ける。しかし、
「はああ!」
攻撃を受けたにも関わらず、プディはそのままオークに攻撃を続ける。そして、プディが握る拳が光始まる。
プディの拳に力が籠り、巨漢であるオークを高々と吹き飛ばした。オークは空中で光の粒になって、地上に降り注ぐ。
プディは攻撃してきたオークを次の目標に決め、回し蹴りを繰り出す。
「うりゃ!」
プディの足がゴブリンに命中するがゴブリンを倒すまでには至らない。プディはそのままゴブリンの件を腹で受けることになる。
しかし、プディはダメージを受けた様子は無く、初撃よりも強力な蹴りがゴブリンを襲う。
プディのスキルは攻敵の撃の威力を9割減らし、減らした分を自分の攻撃に乗せる事が出来る。この攻撃はある程度チャージすることができ、攻撃を上げる分をコントロール出来るので無駄撃ちもない。
ただし、威力を上げるのに時間がかかるので殲滅戦よりも大型の敵との戦いを得意としている。
「ふう、よし……」
ゴブリンを倒したプディは気合を入れ直して、次の標的を決める為に周りを見る。
そこでプディが見たのは、魔物達が一斉に武器を振るっている光景だった。
「キャア!」
プディは思わず手で防御しようとする。瞬間、目の前の達が横から来た何者かが衝突し、光の粒になりながら吹き飛んでいった。
その者、獣人族のステル・ナタは巨大な虎の姿で低く唸ると再び駆け出す。
「グルアアアア!」
巨大な体で駆けながらプディの周りの敵を一掃する。その様子を見たプディが嬉しそうに叫ぶ。
「ステルさん!前の奴お願いします!」
「わ゛がっだ!」
ステルが唸りながら答え、プディへと突進していく。そして、力強く地面を蹴り、口を開けてプディへと飛びかかった。
プディは回避する事も無く、左腕を差し出してステルに噛ませる。
「ガウ!」
「くっ……」
骨が軋む音を聞きながらステルの噛みつきに堪えるプティ。
魔物に囲まれる中で巨大な虎に噛まれている少女。事情が知らない者が見たら、ステルも魔物の仲間に見えるだろう。
しかし、ここにいるのは攻撃を自身の攻撃に変換できるプディと獣人族の頂点に立つステルだ。ここから導き出される答えは一つ。噛みつきの持続ダメージで急速にダメージを溜めているのだ。
しかし、いくら9割のダメージカットスキルがあるとはいえ、獣人の噛みつきを受け続けるのは厳しいだろう。
額から汗を流していきながら、プディは噛みつきに耐えていく。
「ステルさん、そろそろ……」
プディが苦しそうに言うと、ステルが口を放して人型の姿に戻る。左手から手を流しているプディを見て、ステルが心配そうに尋ねる。
「まだいけるか?」
「私には自動回復があるので大丈夫ですよ。それにポーションもあります」
プディがポーションの瓶を取り出して一気に呷る。すると、左腕の出血が少し弱まった。回復はしたみたいだが、まだ左腕で戦う事は厳しいだろう。
「上等だ。まだまだ暴れるぞ!」
「はい!」
プディが背後から迫っていたコボルトの攻撃を回避し右手で殴り飛ばす。ゴブリンの頭が吹き飛び、壁に叩きつけられる。
「これならいける!」
「まだまだ行くぞ!」
2人は手当たり次第に魔物を襲っていく。数が多いとは言え、低級の魔物ばかりで2人の相手にはならない。
魔物達は急激に数を減らしていくことになり、ものの数分で魔物は姿を消す事になった。
こうして、王都中で防衛線が繰り広げられていくのであった。
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