魔王から学ぶ魔王の倒し方

唯野bitter

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第百七十一話 それからどしたの

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「──以上でホームルームを終わります。明日から授業が始まりますので、くれぐれも遅刻しないようにしてください」


 ナマク先生が相変わらずの無表情で言い放つ。そこにノエルはすかさず手を挙げる。


「先生!」
「……なんですかノエルさん」


 ナマク先生の視線がノエルへと向く。相変わらずの無表情だけど、心なしか目つきが鋭くなった気がする。
 ノエルは気のせいだと思って、気になっている事を聞いてみる。


「席が一つ空いているんだけど、誰か来てないんですか?」


 実は席が1つだけ、不自然に空いていた。余ってるにしては不自然だったし、気になってたんだ。


「そういえば言ってませんでしたね。諸事象により、一人だけ来ていません。登校したら改めて紹介します」
「そーなんだ」
「他に質問は?」
「無いです!」
「それでは、今度こそホームルームを終わります」


 出席簿を閉じてナマク先生は教室から出ていく。表情とか行動を見るとぶきっちょな先生に見えるけど、何となく良い先生って気がする。


「ノ~エ~ル~ちゃん!」


 考え事をしていると、後ろから誰かが抱き着いてきた。うーん、この声は……


「アルフォちゃん?」
「正解!」


 振り向くと、アルフォちゃんが笑顔で抱き着いていた。


「久しぶりだね」
「そうだね」


 おもちゃ屋さんから助けた後には会ってなかったけど、元気みたいで良かった。
 ノエルがアルフォちゃんと話していると、隣にいたコアコちゃんが恐る恐る話しかけて来た。


「えーっと、アルフォちゃんでいいのかな?」
「うん!あなたはコアコちゃんだっけ?」
「は、はい……よろしくお願いします」
「そんなに緊張しなくていいよ。これからよろしくね」
「うん……」


 アルフォちゃんが差し出した手をコアコちゃんが緊張した様子で握る。


「ノエルちゃんも、改めてよろしくね」
「………………」
「ノエルちゃん?」
「……あの時みたいにノエルお姉ちゃんって呼んでみない?」
「えー。同じクラスの友達をお姉ちゃんって呼ぶのは変じゃない?」
「むー」


 なんだか残念だけど仕方ない。
 ノエルは誤魔化すように顔を背ける。すると、窓の向こうを眺めているサルミちゃんが目に入った。


「ノエルちゃん、サルミって子が気になるの?」
「うん。前に写真で見せてもらった事もあったから気になっちゃって……」
「気になるんだったら行って来たら?」
「いいの?」
「私はいいよ」
「そういう事だから、行ってらっしゃい」
「ありがと!」


 コアコちゃんとアルフォちゃんに待ってもらって、サルミちゃんの席に向かう。


「サルミちゃん」
「……あんたはノエルだっけ?」
「そう、ノエルはノエル・カタラーナ。これからよろしくね」
「はいはい」


 サルミちゃんがどうでも良さそうに手を振る。でも、ノエルはその場を動かずに笑顔でいる。
 そんなノエルをサルミちゃんは睨みつけてくる。


「なによ。まだ何か用があるの?」
「あるよ。一緒に遊ばない?」
「はあ?」


 何を言ってるのか分からないと言った様子のサルミちゃん。ノエル、そんなに変な事言ったかな?


「一緒に遊ぼうよ?」
「嫌よ。なんで何も知らないあんたと遊ばばなくちゃいけないのよ」
「ノエルはサルミちゃんの事知ってるよ?」
「パパの写真で見ただけでしょ」
「細かい事は気にしない。何も知らないなら今から知ればいい。そういう事でレッツゴー!」
「ちょ、ちょっと!?私遊ぶって言ってないんだけど!?」


 サルミちゃんの腕を無理に引っ張って、コアコちゃんとアルフォちゃんが待っている席に連れていく。


「じゃーん!サルミちゃんでーす」
「さっき自己紹介したんだから分かるでしょ」
「よ、よろしくね……」
「よろしく」
「……ふん!」


 コアコちゃんとアルフォちゃんから顔を背けるサルミちゃん。このままだと、サルミちゃんと2人が仲良くなれないかもしれない。ノエルが何とかしないと……。


「サルミちゃんはこう言っているけど、本当は優しい子なんだよ」
「今日会ったばっかのあんたに何が分かるのよ」
「なんて口の利き方をするの!ママ、そんな子に育てた覚えはありませんよ!」
「私だって育てられた覚えないわよ!?」
「酷い!あの日一緒に食べたケーキの味を忘れたの!?」
「サルミちゃん、そんなに薄情な子だったの?」
「勝手に思い出を捏造しないでよ!?アルフォも乗らないで!」
「あははは」


 ノエル達の会話でコアコちゃんが思わず笑う。それを見たサルミちゃんも思わず笑顔になった。
 良かった、どうにかサルミちゃんもなじめそうだ。


≪ノエル!≫


 皆と楽しくお喋りしていると、マカダ君が話しかけて来た。


≪あ、マカダ君。これから皆と遊ぶんだけど、マカダ君も来る?≫
≪僕はこの後用事があるから、また今度な≫
≪そっか、それは残念。それで、ノエルに何か用?≫
≪この前の事、ちゃんとお礼してなかったと思って≫
≪お礼?≫


 誘拐事件の事だろうか?でも、あれってノエルを狙ったものだしお礼言われる物かな?


≪でも、ノエルがいなかったら俺は死んでたと思う。それはお礼言っておきたいと思ってな≫
≪そうだったんだ≫
≪今日はそれだけ。じゃ、また明日≫
≪うん、バイバイ!≫


 教室から出ていくマカダ君を手を振って見送る。


「何話してたの?」
「んー?これからよろしくねって話。あれ?そう言えば、フロランちゃんは?」


 ふと思い出して周りを見てみるけど、フロランちゃんの姿がどこにもない。


「フロランなら取り巻きと一緒にもう行ったわよ?」
「そうなの?」
「なによ、ノエルはあんな奴が良いの?」
「みんなと仲良くしたいなって思ってたからさ。今日で皆に声をかけてみようかなって思ってたんだ」
「物好きね」
「ノエルちゃん、やっぱりそっとしておいた方が良いんじゃない?」
「大丈夫だって、話してみればきっと分かってくれるよ」
「そうかな?」


 不安そうな様子のコアコちゃん。んー、あんまり怖がらせても可哀そうだし、ノエルだけで話してみようかな?


「それで、遊ぶって何するの?」
「……そう言えば決めてなかったね?」
「帰っていいかしら?」
「なんなら、サルミちゃんが遊びたい事で良いわよ?」
「私がわがまま言ってるみたいじゃない」
「じゃあさ、ノエル行ってみたいところがあるんだけどさ……」


☆   ☆   ☆   ☆


「───馴染んでおるのう?」
「だから心配ないって言ったじゃねえか」
「そんな事言われても心配なんじゃから仕方ないじゃろ」
「気持ちは分かるけどな。けどよ、スキルまで使って監視するのはやり過ぎじゃないか?」
「そんなこと無いぞ。ノエルがいじめられておらんか確認するのは姉の務めじゃ」
「はいはい、そうですか。言っておくが、スキルで監視するのは今回きりだからな?」
「分かっておるわい。わしがそんな事する奴に見えるか?」
「暇だから監視する奴には見える。下手すれば、学校に直接乗り込みそうだ」
「そんな事は……ないぞ?」
「俺の目を見てもう一度言ってみろ」
「……そう言えば、ロワとミエルはどうした?」
「あからさまな誤魔化しだが乗ってやるよ。ロワとミエルは騎士団に出勤した。今日はロワの初出勤日だしな」
「そう言えばそうじゃったのう。あちらは上手くやっておるじゃろうか?」
「ミエルがいるから何とかなってるんじゃないか?ロワも社交性は高い方だしな」
「それもそうじゃな。さて、わしらもそろそろ行くか」
「最後に言っておくが、スキルで監視したり学校に突撃したりするなよ?」
「……善処しよう」
「ダメかもしれねぇな」
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