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第三百一話 君の『記憶』をもらうッ!
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お祭り1日目、僕はジルとお祭りを回っていた。
「お、似顔絵屋だってよ」
ジルが視線を向けた先に目を向けると、屋台の中で座っている女の人が何かを描いていた。屋台には似顔絵が書かれた色紙が何枚か並んでいた。
デフォルトされているけど、僕なんかよりもずっと上手い。人も1人しかいないし、描いてもらうのはいいかもしれない。
「いいね。描いてもらう?」
「おう。そうと決まれば早速行くか」
今描いてもらっている人達の後ろに並ぶと、丁度良く女の人が絵を描き終えた。
「出来ましたよ。はいどーぞ」
「ありがとうございます!」
男の人が似顔絵を受け取り、笑顔で立ち去っていく。チラッと見たけど、本人の特徴を上手くとらえた良い絵だ。
「次の人どうぞー」
「頼むぜ」
ジルの番になると、女の人は笑顔で出むかえてくれた。
「いらっしゃいま……せ?」
女の人はこっちも見ると言葉を詰まらせた。
「おい、どうかしたか?」
「あ……なんでもないです」
ジルの質問を女の人ははぐらかす。何か様子が変なような?気のせいかな?
でも、ホウリさんが違和感があったら気を付けろって言ってたし、少し気を付けよう。
「それでお二人のどちらが似顔絵を?」
「俺だ」
ジルが得意気に自信を指さす。なんで得意気なんだろ?
そんなジルを女の人が目を見開く。
「え?あなたですか?そちらのイケメンさんは?」
「僕は大丈夫です。ジルだけお願いします」
「俺だけで良いのか?」
「うん。じっくりと見られるのは苦手だし、特に似顔絵を描いて欲しいとも思ってないしね」
「なら仕方ないか。じゃ、頼むぜ」
ジルが女の人に向かって決め顔を作る。だけど、女の人はお客さんの前とは思えないような、微妙な顔になる。
「どうした?」
「いやー、ちょっと筆が乗らなくて」
「は?店を出しているのに客を選ぶのか?」
「だって、絵を描くことはクリエイティブなことなのよ?モチーフがそんなんじゃ、クリエイティビティは発揮されないわよ」
「さっきの客には描いてただろうが」
「横に最強のモチーフがいて、あなたが霞んでいるのよ」
女の人が僕を見て微笑む。その様子を見て、ジルが面白くなさそうに道の小石を蹴り飛ばす。
「面白くねぇな。おい、さっさと行こうぜ」
「う、うん」
「ちょっと待って!」
立ち去ろうとした僕たちを女の人が呼び止める。
「なんですか?」
「あなたを描かせてくれないかしら?」
「すみません、絵を描かれるのは苦手でして」
「タダとは言わないわ。今日の売り上げを全部あげるからお願い!」
「もうなりふり構わずって感じだな」
ジルが僕をジトっとした目で見てくる。そんな目からなるべく目を合わせない様にして答える。
「す、すみません、急いでいるので!」
「あ、ちょっと!」
嫌な予感がしてジルを連れてその場を離れる。
「ちょっと待ってよ!」
後ろから女の人の声がするけど、振り返らずに人混みに紛れる。
ある程度歩いて撒いたことを確認して、胸を撫でおろした。
「ふう、何とか逃げ切れたね」
「面白くねぇな」
「ごめんごめん」
「謝らなくてもいい。お前に顔の良さで勝てないのは事実だしな」
「はぁ、この顔で良い事って本当に無いよ」
友達とゆっくりお祭りを回る事も出来ないなんて。百害あって一利なしだよ。
「お前も苦労してるんだな」
「まあね。はぁ……」
口からため息が零れ落ちる。こんな顔じゃなければ、わざわざ布を付ける必要も、何かを食べるときに警戒する必要もないんだけどなぁ。
「ホウリの奴になんとかして貰えばいいじゃねぇか」
「ホウリさん曰く、整形するしかないんだって」
「整形か。かなり勇気がいるな」
顔にメスを入れるのはそれなりに怖い。整形は最終手段だろう。まあ、一時期は顔の皮を剥ぐとかって言われていたし、それに比べればマシなほうか。
「次はどこに行く?」
僕の気持ちを察してか、ジルが話題を変える。僕も話題を続けるのはキツかったから、話題に乗っかる。
「そろそろご飯にしようか」
「この先の広場を東に向かうとフードエリアみたいだぞ」
ジルが広げている地図を僕も確認する。このお祭りではある程度エリアが分かれている。僕達がいるのはアクティビティエリア。品物を買うというよりも、ゲームとか出し物の屋台が多いエリアだ。
フードエリアはその名の通り、食べ物を売っている屋台が多い。ゆっくりと食べられるベンチやテーブルが配置されている所も多いし昼食を食べるにはピッタリだ。
「ジルは何が食べたいの?」
「肉!」
「ブレないね」
「そういうお前は?」
「肉!」
「人のこと言えないじゃねぇか」
そんな軽口を叩きながら広場に入ると、見知った顔が視界に入る。
「あれって……」
「どうした?」
「前にハイファイの街で会ったブルークリスタルの職人さんがいたんだ。名前はラティエさんだった気がする」
丁度、名産品エリアの始めでラティエさんが屋台を出していた。ラティエさんはオドオドとしていて、お客さんはいない。
屋台の看板には「ブルークリスタル」とだけ書かれている。見た感じ、お兄さんはいないみたいだ。
「ブルークリスタル?もしかして、トリシューラ作っている職人なのか?」
「あ、えっと……」
確かラティエさんがトリシューラを作っているのは内緒だったはずだ。いくらジルとはいえ黙っておいた方がいいだろう。
「トリシューラじゃないんだけど、他のブルークリスタルの武器を作っているんだ」
「ふぅん?」
ジルが疑わし気な目を向けて来る。けど、何かを察したのかそれ以上聞いてくることは無かった。
「挨拶くらいはしておいた方がいいかな?」
「お前には気付いていないみたいだから無視しても良いんじゃないか?」
「うーん、じゃあ軽く挨拶だけしようかな」
「結局挨拶するのかよ」
人混みをかき分け、ラティエさんのお店に向かう。
「あのー」
「い、いらっさいませ!」
声を掛けるとラティエさんは噛みながらも、なんとか接客しようとする。けど、僕に気が付くと口に手を当てて驚く。
「ろ、ロワさん?」
「お久しぶりです」
笑いかけてみると、ラティエが慌てた様子で頭を下げた。
「お、お久しぶりです!」
「オダリムに来ているとは思いませんでしたよ。お兄さんはどうしたんですか?」
「兄は用があるので席を外しています」
「そうだったんですか。一人で心細くないですか?」
「怖い……けど、いつまでも任せっぱなしは嫌だから」
「そうでしたか。立派な心掛けだと思います」
震える手で握り拳を作るラティエさん。前に自分を変えたいって言ってたけど、今もその決心は変わっていないみたいだ。
「ところで、何を売ってるんですか」
「品質が良くないブルークリスタルをアクセサリーに加工して売っているの」
「へぇ」
屋台にはブルークリスタルがあしらわれたイヤリングやペンダント、指輪なんかが並んでいる。
トリシューラには劣るけど、どれも十分に綺麗だ。
「流石はラティエさんですね。どれも丁寧な仕事ぶりです」
「あ、ありがとう」
「記念に何か買っていこうかな」
そう思って値札を確認し僕は絶句する。
一番安いイヤリングで500万G?ネックレスにいたっては5000万Gって書かれてる。
流石は希少なブルークリスタル。品質が悪いといっても高価だ。というか、今まで意識してなかったけど、僕はこんな高価な素材の矢を使ってたんだ。なんだか、今になって怖くなってきた。
「どうしたんですか?」
ラティエさんが僕の顔色が悪くなったのを見て気遣ってくれる。僕はなんとか笑顔を作って頷く。
「だ、大丈夫です。ですが、値段が高くて僕の手持ちじゃ買えそうにないですね」
「そうなんだ」
ラティエさんが残念そうに俯く。けど、何かを思いついたのか、すぐに顔を上げた。
「で、では、この前いっぱい買ってくれたお礼として、何か1つサービスしますか?」
「こんな高価なもの、貰って良いんですか?」
「勿論です。この指輪などいかがで───」
「このイヤリングをくれ」
ラティエさんの言葉をジルが遮る。急に割り込まれたラティエさんが驚く。
「あの、どちら様ですか?」
「ロワの友人のジルだ。そんなことより、このイヤリングをくれ」
「あの、ごめんなさい。ロワさん以外にはサービスする気は……」
「ちゃんと金は払う」
そう言ってジルが金貨が詰まった袋を勢いよく置く。
「500万G入っている。これで良いな?」
「あ、え、はい」
「領収書くれるか?」
「え?」
「領収書だよ。くれないのか?」
「す、少し待っててください」
ラティエさんが屋台の下から領収書を引っ張り出して記入していく。
「ど、どうぞ」
「ありがとな。いくぞロワ」
「あ、うん。では、僕はこれで」
「は、はい。また何処かで」
軽く会釈して、ジルと一緒にフードエリアに向かって歩く。
「ジル?急にどうしたの?」
「やっぱり気付いていないか、色男」
「え?何が?」
「あの女、お前に惚れてるぜ」
「……あ」
そう言えば、ハイファイの街でもホウリさんに言われた気がする。
「……すっかり忘れてたよ」
「気付いてない訳じゃなかったのか。だとしたら迂闊すぎるぞ?」
「迂闊?何かあったっけ?」
「指輪をプレゼントされようとしたんだぞ?ほぼプロポーズだろうが」
「……あ」
言われてみればそうだ。あそこで指輪を受け取ってしまったら、プロポーズを受けたとみなされたかもしれない。
「……ジルが居てくれて助かったよ」
「そう思ったなら、もう少し行動を改めろ。見てて危なっかしいんだよ」
「頑張るよ」
ホウリさんと同じことを言われた。本当に自分の顔が妬ましい。
そんなことがありながらも、僕らはお祭りを楽しんだ。
「お、似顔絵屋だってよ」
ジルが視線を向けた先に目を向けると、屋台の中で座っている女の人が何かを描いていた。屋台には似顔絵が書かれた色紙が何枚か並んでいた。
デフォルトされているけど、僕なんかよりもずっと上手い。人も1人しかいないし、描いてもらうのはいいかもしれない。
「いいね。描いてもらう?」
「おう。そうと決まれば早速行くか」
今描いてもらっている人達の後ろに並ぶと、丁度良く女の人が絵を描き終えた。
「出来ましたよ。はいどーぞ」
「ありがとうございます!」
男の人が似顔絵を受け取り、笑顔で立ち去っていく。チラッと見たけど、本人の特徴を上手くとらえた良い絵だ。
「次の人どうぞー」
「頼むぜ」
ジルの番になると、女の人は笑顔で出むかえてくれた。
「いらっしゃいま……せ?」
女の人はこっちも見ると言葉を詰まらせた。
「おい、どうかしたか?」
「あ……なんでもないです」
ジルの質問を女の人ははぐらかす。何か様子が変なような?気のせいかな?
でも、ホウリさんが違和感があったら気を付けろって言ってたし、少し気を付けよう。
「それでお二人のどちらが似顔絵を?」
「俺だ」
ジルが得意気に自信を指さす。なんで得意気なんだろ?
そんなジルを女の人が目を見開く。
「え?あなたですか?そちらのイケメンさんは?」
「僕は大丈夫です。ジルだけお願いします」
「俺だけで良いのか?」
「うん。じっくりと見られるのは苦手だし、特に似顔絵を描いて欲しいとも思ってないしね」
「なら仕方ないか。じゃ、頼むぜ」
ジルが女の人に向かって決め顔を作る。だけど、女の人はお客さんの前とは思えないような、微妙な顔になる。
「どうした?」
「いやー、ちょっと筆が乗らなくて」
「は?店を出しているのに客を選ぶのか?」
「だって、絵を描くことはクリエイティブなことなのよ?モチーフがそんなんじゃ、クリエイティビティは発揮されないわよ」
「さっきの客には描いてただろうが」
「横に最強のモチーフがいて、あなたが霞んでいるのよ」
女の人が僕を見て微笑む。その様子を見て、ジルが面白くなさそうに道の小石を蹴り飛ばす。
「面白くねぇな。おい、さっさと行こうぜ」
「う、うん」
「ちょっと待って!」
立ち去ろうとした僕たちを女の人が呼び止める。
「なんですか?」
「あなたを描かせてくれないかしら?」
「すみません、絵を描かれるのは苦手でして」
「タダとは言わないわ。今日の売り上げを全部あげるからお願い!」
「もうなりふり構わずって感じだな」
ジルが僕をジトっとした目で見てくる。そんな目からなるべく目を合わせない様にして答える。
「す、すみません、急いでいるので!」
「あ、ちょっと!」
嫌な予感がしてジルを連れてその場を離れる。
「ちょっと待ってよ!」
後ろから女の人の声がするけど、振り返らずに人混みに紛れる。
ある程度歩いて撒いたことを確認して、胸を撫でおろした。
「ふう、何とか逃げ切れたね」
「面白くねぇな」
「ごめんごめん」
「謝らなくてもいい。お前に顔の良さで勝てないのは事実だしな」
「はぁ、この顔で良い事って本当に無いよ」
友達とゆっくりお祭りを回る事も出来ないなんて。百害あって一利なしだよ。
「お前も苦労してるんだな」
「まあね。はぁ……」
口からため息が零れ落ちる。こんな顔じゃなければ、わざわざ布を付ける必要も、何かを食べるときに警戒する必要もないんだけどなぁ。
「ホウリの奴になんとかして貰えばいいじゃねぇか」
「ホウリさん曰く、整形するしかないんだって」
「整形か。かなり勇気がいるな」
顔にメスを入れるのはそれなりに怖い。整形は最終手段だろう。まあ、一時期は顔の皮を剥ぐとかって言われていたし、それに比べればマシなほうか。
「次はどこに行く?」
僕の気持ちを察してか、ジルが話題を変える。僕も話題を続けるのはキツかったから、話題に乗っかる。
「そろそろご飯にしようか」
「この先の広場を東に向かうとフードエリアみたいだぞ」
ジルが広げている地図を僕も確認する。このお祭りではある程度エリアが分かれている。僕達がいるのはアクティビティエリア。品物を買うというよりも、ゲームとか出し物の屋台が多いエリアだ。
フードエリアはその名の通り、食べ物を売っている屋台が多い。ゆっくりと食べられるベンチやテーブルが配置されている所も多いし昼食を食べるにはピッタリだ。
「ジルは何が食べたいの?」
「肉!」
「ブレないね」
「そういうお前は?」
「肉!」
「人のこと言えないじゃねぇか」
そんな軽口を叩きながら広場に入ると、見知った顔が視界に入る。
「あれって……」
「どうした?」
「前にハイファイの街で会ったブルークリスタルの職人さんがいたんだ。名前はラティエさんだった気がする」
丁度、名産品エリアの始めでラティエさんが屋台を出していた。ラティエさんはオドオドとしていて、お客さんはいない。
屋台の看板には「ブルークリスタル」とだけ書かれている。見た感じ、お兄さんはいないみたいだ。
「ブルークリスタル?もしかして、トリシューラ作っている職人なのか?」
「あ、えっと……」
確かラティエさんがトリシューラを作っているのは内緒だったはずだ。いくらジルとはいえ黙っておいた方がいいだろう。
「トリシューラじゃないんだけど、他のブルークリスタルの武器を作っているんだ」
「ふぅん?」
ジルが疑わし気な目を向けて来る。けど、何かを察したのかそれ以上聞いてくることは無かった。
「挨拶くらいはしておいた方がいいかな?」
「お前には気付いていないみたいだから無視しても良いんじゃないか?」
「うーん、じゃあ軽く挨拶だけしようかな」
「結局挨拶するのかよ」
人混みをかき分け、ラティエさんのお店に向かう。
「あのー」
「い、いらっさいませ!」
声を掛けるとラティエさんは噛みながらも、なんとか接客しようとする。けど、僕に気が付くと口に手を当てて驚く。
「ろ、ロワさん?」
「お久しぶりです」
笑いかけてみると、ラティエが慌てた様子で頭を下げた。
「お、お久しぶりです!」
「オダリムに来ているとは思いませんでしたよ。お兄さんはどうしたんですか?」
「兄は用があるので席を外しています」
「そうだったんですか。一人で心細くないですか?」
「怖い……けど、いつまでも任せっぱなしは嫌だから」
「そうでしたか。立派な心掛けだと思います」
震える手で握り拳を作るラティエさん。前に自分を変えたいって言ってたけど、今もその決心は変わっていないみたいだ。
「ところで、何を売ってるんですか」
「品質が良くないブルークリスタルをアクセサリーに加工して売っているの」
「へぇ」
屋台にはブルークリスタルがあしらわれたイヤリングやペンダント、指輪なんかが並んでいる。
トリシューラには劣るけど、どれも十分に綺麗だ。
「流石はラティエさんですね。どれも丁寧な仕事ぶりです」
「あ、ありがとう」
「記念に何か買っていこうかな」
そう思って値札を確認し僕は絶句する。
一番安いイヤリングで500万G?ネックレスにいたっては5000万Gって書かれてる。
流石は希少なブルークリスタル。品質が悪いといっても高価だ。というか、今まで意識してなかったけど、僕はこんな高価な素材の矢を使ってたんだ。なんだか、今になって怖くなってきた。
「どうしたんですか?」
ラティエさんが僕の顔色が悪くなったのを見て気遣ってくれる。僕はなんとか笑顔を作って頷く。
「だ、大丈夫です。ですが、値段が高くて僕の手持ちじゃ買えそうにないですね」
「そうなんだ」
ラティエさんが残念そうに俯く。けど、何かを思いついたのか、すぐに顔を上げた。
「で、では、この前いっぱい買ってくれたお礼として、何か1つサービスしますか?」
「こんな高価なもの、貰って良いんですか?」
「勿論です。この指輪などいかがで───」
「このイヤリングをくれ」
ラティエさんの言葉をジルが遮る。急に割り込まれたラティエさんが驚く。
「あの、どちら様ですか?」
「ロワの友人のジルだ。そんなことより、このイヤリングをくれ」
「あの、ごめんなさい。ロワさん以外にはサービスする気は……」
「ちゃんと金は払う」
そう言ってジルが金貨が詰まった袋を勢いよく置く。
「500万G入っている。これで良いな?」
「あ、え、はい」
「領収書くれるか?」
「え?」
「領収書だよ。くれないのか?」
「す、少し待っててください」
ラティエさんが屋台の下から領収書を引っ張り出して記入していく。
「ど、どうぞ」
「ありがとな。いくぞロワ」
「あ、うん。では、僕はこれで」
「は、はい。また何処かで」
軽く会釈して、ジルと一緒にフードエリアに向かって歩く。
「ジル?急にどうしたの?」
「やっぱり気付いていないか、色男」
「え?何が?」
「あの女、お前に惚れてるぜ」
「……あ」
そう言えば、ハイファイの街でもホウリさんに言われた気がする。
「……すっかり忘れてたよ」
「気付いてない訳じゃなかったのか。だとしたら迂闊すぎるぞ?」
「迂闊?何かあったっけ?」
「指輪をプレゼントされようとしたんだぞ?ほぼプロポーズだろうが」
「……あ」
言われてみればそうだ。あそこで指輪を受け取ってしまったら、プロポーズを受けたとみなされたかもしれない。
「……ジルが居てくれて助かったよ」
「そう思ったなら、もう少し行動を改めろ。見てて危なっかしいんだよ」
「頑張るよ」
ホウリさんと同じことを言われた。本当に自分の顔が妬ましい。
そんなことがありながらも、僕らはお祭りを楽しんだ。
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