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魔導書
8.術式と術式図
魔力合成で生成した、魔力をそのまま保持し続けるのは危険を伴う。
魔力を作り続ければ、術者の魔気量が底をつくか、増え続ける魔力を支えきれなくなってバランスを崩すことになるだろう。
バランスを崩すということは、手に抱え、積み上げ続けた本の山を、躓いて零すに等しい。だが、その代償は擦り傷では済まないだろう。
崩壊し零れた魔力は、周囲を蝕む威力となって暴発することになる。
これには、自己を防御する手段を持たない場合には、最悪死に至る危険がある事を考慮すべきだ。
またこの段階では、まだ術式を展開できていないため、解呪の術式は機能しない。
そのため、魔力の暴走を止めるには、他の術者が魔力を行使している術師の合成に介入し、魔力子の三要素のいずれかをインターセプトすることが、一番早く確実な防衛方法だと言える。
この作用を、自己で行って自己解決出来るのが、一番良いだろうけど。
さて。
とりあえず、魔法使いが魔力合成に成功できるようになったのならば、次は指定の術式に魔力を流し込む工程に進むことになる。
では、術式とは何だろうか?
それは一言でいうならば、レシピに近い気がする。
あるいは作り出した魔力に何をさせたいのか、ということを詳細に記したプログラムとも言え、そこには、魔力をどう変化させるのか、その時の速度は、分配比率は、範囲は、形状は、どれほどの時間か、魔術の動作に必要な魔力量はいくつか、魔力子の配置はどこか、等々。様々なデータを配置し、想定と目的に近づけていく。
この術式を、文字や図形で記録した物を術式図という。
そして、術式を必要最低限の手順と簡単な手法で描いた術式図――いわゆる初級魔術はおよそ世界共通の術式として、駆け出しの魔法使いに重用されているのだとか。
そういう術式図は、一般的に人族の街の書店や、魔道具店で販売しているらしい。
多くの魔術師が知る有名な術式等は、そうしたところから広がっていくのだと思われる。
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