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【第三章】――大魔王のおでかけ――
ヴィヴィアンと砂漠の襲撃者④
「すげえ!」
「やった!」
ラークたちの歓喜の声が上がる。
ヴィヴィアンが儀式魔術を中断し。
私たちは、落ちた魔物の傍まで、ゆっくりと距離を詰めた。
魔物は横たわったまま動かない。
人の数倍は優にある長い身体を丸めた姿は、内臓が破裂したのか、その周囲の砂地に体液を滲ませている。
「マナさま……!」
ミラが、私の名を呼び、近くにやってくる。
でも、今の私はフルゥ・タークなのよ。偽名を忘れてるわ。
「ミラ……」
指摘しようかと、したその時。
ずどっ、と音がして。
ミラの真っ白で小さな体に、衝撃が奔る。
巨大な何かが、はじけて飛び散っていった。
「うそだろ!?」
起き上がったのだ。
トンボのように長く発達した節足で、ヨロヨロと。
ヴェリフェラス・ペンドラが。
いや、それよりも。
「翼が……!?」
アンシェルが気付いた通り。
片方のコウモリのような翼は、いつの間にか千切れてなくなっていた。
なぜなら、今しがた弾けて飛んでいったからだ。
私は、無傷のミラを庇うように前に出る。
「ヴィヴィアン、ミラを殴らせちゃ駄目よ」
「はい! では、こうですね!」
ヴィヴィアンがミラの壁になるかのように、私の真横に並んだ。
――と言うかもう密着している。
こちらを見ていないで、魔物を見なさい、魔物を。
そんなヴィヴィアンはさておき。
「これで、あいつはもうまともに飛べないわ」
そのうえ、落下のダメージが効いていて、身体を支えている六本の脚がややおぼつかなく、長い尾のような身体からは、体液が滴ったままだ。
「さすがに、ここまで弱ってたらいけるかもしれない。見せればいいんだな。俺たちの戦い方!」
「ええ、見守らせてもらうわ」
しかし、ヴィヴィアンはダンスを辞めている。
今は強化が無い状態だ。
すると、言うまでも無くヴィヴィアンが動く。
「――広域化・強化魔術……『火属性概念憑依』、『熱属性概念憑依』、『土属性概念憑依』、『重属性概念憑依』、『風属性概念憑依』『雷属性概念憑依』、『月属性概念憑依』、『邪属性概念憑依』」
筋力。
スタミナ。
生命力。
身体強度。
俊敏性。
神経伝達速度。
魔気再生力。
魔術に対する感覚感度。
それらの全ての項目が、一度に強化される。
「一度にこんなに強化を!? ありがとうございます、先輩」
アンシェルが礼を言い。
「ここまでしてもらって、応えられないようじゃ、俺の気が済まねぇ。やるぞ、アンシェル!」
「うん、お兄ちゃん!」
ふたりは構えを取る。
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