58 / 66
【第五章】――大魔王と魔導人形――
大魔王の魔導人形
確かに、魔王城に戻ると、魔王が言っていた通り、自室の机に書類や巻物が積まれていた。
大半の事は魔王に任せてあるが。
各拠点での創世輝晶の定期点検結果の確認や。
魔術、魔法に関する相談などは私の領分になる。
積まれた書類は、だいたいそれ系のものばかりだろう。
どれも、地味だが重要な職務だ。
だが、私はその全て無視して、錬金術用の別室に籠っている。
いや、正確に言えば。
別室と言うか完全に別の建物――『研究棟』の一室だ。
その広く薄暗い室内は、ところどころがランプで照らされ。
敷物の上には、煮詰めるための釜が置かれ。
ずらりと壁に整列する棚には、様々な素材、結晶、完成品が並べられ。
奥に見える倉庫部屋には、見た目だけは立派な刀剣や槍などの数々が、乱雑にゴミのように突っ込まれている。
部屋にはいくつもの作業台が置かれていて。
作業の種類ごとに分けられ、それぞれ様々な加工用道具が置かれている。
そんななか。
いつもの魔法衣で、私が座っているのは、結晶加工用の作業台の前だ。
そしてそばには助手も居る。
その手には、魔法のランプのような形の入れ物を持っていて。
中にはキラキラ輝く星屑のような粉がいっぱいまで入れられている。
「ほじゅうします」
ミラが踏み台に乗り、作業台の装置の上部タンクに、大量の粉末を流し入れる。
――それは、私の魔気を記憶させた魔草の粉末と、魔素結晶粉末を混ぜ、出来た混合粉末だ。
補充を確認し、私が、装置のハンドルを回せば、組付けられた歯車と機構が回り出し、並べられた筒状の金属に、定量の混合粉末が順番に充填され、弾頭とプライマーが籠められていく。そばの木箱には、何百、何千と準備された筒が入っており、私はハンドルを回し続け、ミラは粉と弾頭とプライマーを補充し続ける。
じゃらじゃらと、足元の空き箱に、出来上がった弾頭付の薬莢が落ちていく。
その作業は、数時間にわたって繰り返された。
やがて。
「全部終ったわ。」
私は息を吐く。
気の抜けない作業から解放され、緊張が解ける。
「おつかれさまです、マナさま」
でも作業はこれで終わりではない。
足元には、大きい弾薬と、小さい弾薬が入った木箱が幾つか置かれていて。
それぞれを所定の弾倉に籠めなければいけない。
「次の工程に移るわ。ミラは、こっちの組み付けね」
「はい、マナさま」
さらに数時間。
すべてが終わる。
「よし、全部仕舞ってちょうだい。広間に持って行くわよ」
「りょうかい」
ミラが、【合わせ鏡の無限世界】に完成したそれらを収納する。
研究棟を出て、『転送門』に入り、回廊を歩き、大扉を開けて。
ミラとともに広間へ着くと、その人物は中央に立っていた。
会った時と同じ位置、姿、直立不動の姿勢のまま。
「待たせたわね、アリス」
その少女は、微笑を形作って、抑揚の少ない声で答える。
「いいえ、マスター。以前からまだ130,373秒しか経っておりません」
フロアに立つ少女の名はアリス。
その容姿は、特別で。
美しく造形された顔や、プロポーションだけではなく。
全身は、157センチメートルの肢体を覆うようにぴっちりした装甲で覆われ。
真っ直ぐな水色の髪が届く先には、腰部大型のスカートアーマーがあって。
そして。
頭部には、ウサミミか、おっきなリボンのようにも見えるアンテナ。
肩部には、大型のシールドモジュール。
背部には、推進用兼姿勢制御用のブースターユニット。
及び、折りたたまれた可変大型ウィング。
腰部には、武装懸架用アームと、燕尾服のような補助用ウィング。
その色合いは、白と水色を基調にした、淡いカラー。
そんな少女は。
魔導人形――。
私が、作った、少女型の戦闘用魔導機械式ゴーレムなのである。
大半の事は魔王に任せてあるが。
各拠点での創世輝晶の定期点検結果の確認や。
魔術、魔法に関する相談などは私の領分になる。
積まれた書類は、だいたいそれ系のものばかりだろう。
どれも、地味だが重要な職務だ。
だが、私はその全て無視して、錬金術用の別室に籠っている。
いや、正確に言えば。
別室と言うか完全に別の建物――『研究棟』の一室だ。
その広く薄暗い室内は、ところどころがランプで照らされ。
敷物の上には、煮詰めるための釜が置かれ。
ずらりと壁に整列する棚には、様々な素材、結晶、完成品が並べられ。
奥に見える倉庫部屋には、見た目だけは立派な刀剣や槍などの数々が、乱雑にゴミのように突っ込まれている。
部屋にはいくつもの作業台が置かれていて。
作業の種類ごとに分けられ、それぞれ様々な加工用道具が置かれている。
そんななか。
いつもの魔法衣で、私が座っているのは、結晶加工用の作業台の前だ。
そしてそばには助手も居る。
その手には、魔法のランプのような形の入れ物を持っていて。
中にはキラキラ輝く星屑のような粉がいっぱいまで入れられている。
「ほじゅうします」
ミラが踏み台に乗り、作業台の装置の上部タンクに、大量の粉末を流し入れる。
――それは、私の魔気を記憶させた魔草の粉末と、魔素結晶粉末を混ぜ、出来た混合粉末だ。
補充を確認し、私が、装置のハンドルを回せば、組付けられた歯車と機構が回り出し、並べられた筒状の金属に、定量の混合粉末が順番に充填され、弾頭とプライマーが籠められていく。そばの木箱には、何百、何千と準備された筒が入っており、私はハンドルを回し続け、ミラは粉と弾頭とプライマーを補充し続ける。
じゃらじゃらと、足元の空き箱に、出来上がった弾頭付の薬莢が落ちていく。
その作業は、数時間にわたって繰り返された。
やがて。
「全部終ったわ。」
私は息を吐く。
気の抜けない作業から解放され、緊張が解ける。
「おつかれさまです、マナさま」
でも作業はこれで終わりではない。
足元には、大きい弾薬と、小さい弾薬が入った木箱が幾つか置かれていて。
それぞれを所定の弾倉に籠めなければいけない。
「次の工程に移るわ。ミラは、こっちの組み付けね」
「はい、マナさま」
さらに数時間。
すべてが終わる。
「よし、全部仕舞ってちょうだい。広間に持って行くわよ」
「りょうかい」
ミラが、【合わせ鏡の無限世界】に完成したそれらを収納する。
研究棟を出て、『転送門』に入り、回廊を歩き、大扉を開けて。
ミラとともに広間へ着くと、その人物は中央に立っていた。
会った時と同じ位置、姿、直立不動の姿勢のまま。
「待たせたわね、アリス」
その少女は、微笑を形作って、抑揚の少ない声で答える。
「いいえ、マスター。以前からまだ130,373秒しか経っておりません」
フロアに立つ少女の名はアリス。
その容姿は、特別で。
美しく造形された顔や、プロポーションだけではなく。
全身は、157センチメートルの肢体を覆うようにぴっちりした装甲で覆われ。
真っ直ぐな水色の髪が届く先には、腰部大型のスカートアーマーがあって。
そして。
頭部には、ウサミミか、おっきなリボンのようにも見えるアンテナ。
肩部には、大型のシールドモジュール。
背部には、推進用兼姿勢制御用のブースターユニット。
及び、折りたたまれた可変大型ウィング。
腰部には、武装懸架用アームと、燕尾服のような補助用ウィング。
その色合いは、白と水色を基調にした、淡いカラー。
そんな少女は。
魔導人形――。
私が、作った、少女型の戦闘用魔導機械式ゴーレムなのである。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
精霊のお仕事
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
【完結】
オレは前世の記憶を思い出した。
あの世で、ダメじゃん。
でもそこにいたのは地球で慣れ親しんだ神様。神様のおかげで復活がなったが…今世の記憶が飛んでいた。
まあ、オレを拾ってくれたのはいい人達だしオレは彼等と家族になって新しい人生を生きる。
ときどき神様の依頼があったり。
わけのわからん敵が出てきたりする。
たまには人間を蹂躙したりもする。?
まあいいか。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
