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【第五章】――大魔王と魔導人形――
いざ、温泉の街へ
――というわけで、小型の翼竜を人数分借りる事になった。
濛々と、火山灰が舞う曇った空。
太陽を遮る薄暗い一帯で、景観にロマンなど有りはせず。
火山地帯の洞窟。
その横穴を出たテラスのようになっている少し張り出した崖上に。
体長3メートルほどの竜が3匹待機している。
その傍らに、私、ミラ、アリスが立ち、ザトーの説明を受けている所だ。
「ありがとう、ザトー」
「いえいえ。それよりマナ様。人族に見つからぬようになさるなら、山を越えたところに、森があります故、そちらでお降りになられるのが良いでしょうや」
「それ以上は、人目につくという事ね?」
「左様です。我々を隠すこのうっとうしい灰が薄まりますでな」
なるほど。
それまでは、火山灰より上空を飛行しておけば、見つかることは少ないという事だろう。
「それと、皆さまが降りられた後は、翼竜は勝手に戻る様にしつけております。帰りはご自分でなんとかなさってください」
「ええ。大丈夫よ。帰りは転送魔術で問題ないわ」
ザトーと私がそんな話をしていると。
掌を自分の胸にあてる仕草で、尋ねる。
「アリスもですか、マスター?」
「勿論よ、アリス。そのユニットと武装は全部、ここでミラに預けてもらうのだから」
「全てですか?」
「ええ、全てよ」
「それでは、戦闘時には、最終兵器を使うということですね?」
「いえ、それもダメよ。私が良いというまで、アリスの戦闘行動は防衛にのみとする。これは命令よ」
アリスの考えるような素振りは、少し納得がいかないという所かしら。
でも暫くして、「了解」とアリスは言った。
「というわけだから、武装解除してミラに渡してちょうだい」
「ちょーだい!」
両手を広げ。
すでに、ミラはいつでも来いとばかりに待機している。
すべてを解除し終えると、アリスは唯の『人』のように見える。
これで、人族の街に行っても、それほど目立たないだろう。
――と思ったが。
まぁ、やっぱり身体にぴっちり張り付く硬質素材のスーツや、先進的とも取れるデザインのスカートは、やや目立つかもしれない。
対策しよう。
「ミラ、私のローブを出して。以前、少しサイズが大きいと言ってそれ以来使っていないのがあったわよね?」
「おまちください、マナさま」
ミラが、あれでもないこれでもない、と【合わせ鏡の無限世界】を検索し、「ありました」と探し当てる。
それをアリスに着せて、全てのカモフラージュが完成した。
「――それでは、行ってくるわね」
そうして、ザト―に別れを告げ。
翼竜に乗って。
私たちは、温泉の街へ行くために、ふもとの『森』を目指すのだった。
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