7 / 34
はじめての夜会①
しおりを挟む
「夜会ですか?」
そういえばもうすぐ王太子殿下の誕生日である。今回、成人を迎えられるので盛大なパーティとなりそうだ。
「ああ。我が家も当然招待されている。一緒に行ってくれないか」
「もちろんですわ!」
嬉しくて笑顔で返事をするとルイス様は口ごもってしまわれた。
「そのあまり笑顔を見せられると困るというか、他ではやめてほしいというか……」
「何でしょう?」
「何でもない」
おかしなルイス様。最近表情が豊かになって、顔面凶器もなりを潜めている。真剣なお顔も素敵だけど、こちらもなかなか良い。
「それでドレスを作ろうかと思うのだが、好みのものはあるかな」
「まあ! 作ってくださるのですか?」
「あ、ああ」
「ドレスのことはよく分かりませんので形などはお任せしますが、わたくしはルイス様のお色を纏いたいですわ」
「君は──」
ルイス様は顔を伏せていたので「可愛すぎるだろ」と呟いたのは聞こえなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
夜会当日。
私は朝から支度に追われていた。と言っても私はただなすがままですべては侍女にお任せ。もみくちゃにされながら、日も沈んだころ、すべての準備が整った。
私が着ているのは淡いブルーのプリンセスドレスで、これはルイス様の目の色でもある。スカートには白とシルバーの糸で花の刺繍が散りばめられており、揺れる度に照明でキラキラと反射するようになっている。背中がぱっくりと開いているので、髪の毛はサイドを編んでハーフアップにしてもらった。止めているリボンはもちろん青である。
イヤリングとネックレスは目立ち過ぎない上品なデザインで、希少な天然のブラックダイヤを使っている。天然でこれだけ黒く綺麗なものはそうそうないらしい。
値段は恐ろしくて聞けない。
黒はルイス様の御髪の色で、今夜の私はルイス様に染まっている。
ちなみにルイス様はグリーンのクラヴァットに、ゴールドのカフスボタン。ちなみにクラヴァットには、私が公爵家の家紋を刺繍させて頂いた。まだまだ下手なので結ぶ時に隠してもらったけど。『これを知るのは私だけでいい』って言われてもう……好き。
ルイス様は着飾った私を目の前にした時、
「……きれいだ」
と言ってくださった。「ルイス様も素敵です」と返しておいたわ。こんなに素晴らしい男性と夜会に行けるなんて私は幸せものです。
このうしろで侍女たちが、「もっと気の利いたことが言えないのか」だの「このヘタレ!」だのと言っていたことは知らなかった。
「さて。出発しようか」
「ええ」
ルイス様が手を差し出してきたので、ゆっくりとその上に手をのせた。
そういえばもうすぐ王太子殿下の誕生日である。今回、成人を迎えられるので盛大なパーティとなりそうだ。
「ああ。我が家も当然招待されている。一緒に行ってくれないか」
「もちろんですわ!」
嬉しくて笑顔で返事をするとルイス様は口ごもってしまわれた。
「そのあまり笑顔を見せられると困るというか、他ではやめてほしいというか……」
「何でしょう?」
「何でもない」
おかしなルイス様。最近表情が豊かになって、顔面凶器もなりを潜めている。真剣なお顔も素敵だけど、こちらもなかなか良い。
「それでドレスを作ろうかと思うのだが、好みのものはあるかな」
「まあ! 作ってくださるのですか?」
「あ、ああ」
「ドレスのことはよく分かりませんので形などはお任せしますが、わたくしはルイス様のお色を纏いたいですわ」
「君は──」
ルイス様は顔を伏せていたので「可愛すぎるだろ」と呟いたのは聞こえなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
夜会当日。
私は朝から支度に追われていた。と言っても私はただなすがままですべては侍女にお任せ。もみくちゃにされながら、日も沈んだころ、すべての準備が整った。
私が着ているのは淡いブルーのプリンセスドレスで、これはルイス様の目の色でもある。スカートには白とシルバーの糸で花の刺繍が散りばめられており、揺れる度に照明でキラキラと反射するようになっている。背中がぱっくりと開いているので、髪の毛はサイドを編んでハーフアップにしてもらった。止めているリボンはもちろん青である。
イヤリングとネックレスは目立ち過ぎない上品なデザインで、希少な天然のブラックダイヤを使っている。天然でこれだけ黒く綺麗なものはそうそうないらしい。
値段は恐ろしくて聞けない。
黒はルイス様の御髪の色で、今夜の私はルイス様に染まっている。
ちなみにルイス様はグリーンのクラヴァットに、ゴールドのカフスボタン。ちなみにクラヴァットには、私が公爵家の家紋を刺繍させて頂いた。まだまだ下手なので結ぶ時に隠してもらったけど。『これを知るのは私だけでいい』って言われてもう……好き。
ルイス様は着飾った私を目の前にした時、
「……きれいだ」
と言ってくださった。「ルイス様も素敵です」と返しておいたわ。こんなに素晴らしい男性と夜会に行けるなんて私は幸せものです。
このうしろで侍女たちが、「もっと気の利いたことが言えないのか」だの「このヘタレ!」だのと言っていたことは知らなかった。
「さて。出発しようか」
「ええ」
ルイス様が手を差し出してきたので、ゆっくりとその上に手をのせた。
0
あなたにおすすめの小説
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する
紅子
恋愛
この世界には魔女がいる。魔女は、この世界の監視者だ。私も魔女のひとり。まだ“見習い”がつくけど。私は見習いから正式な魔女になるための修行を厭い、師匠に子にゃんこに変えれた。放り出された森で出会ったのは山賊の騎士団長。ついていった先には兄弟子がいい笑顔で待っていた。子にゃんこな私と山賊団長の織り成すほっこりできる日常・・・・とは無縁な。どう頑張ってもコメディだ。面倒事しかないじゃない!だから、人は嫌いよ~!!!
完結済み。
毎週金曜日更新予定 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる