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【1】スマホ最強説
しおりを挟む貴方は、目に見えないものの存在を、信じるだろうか?
よく小さい子供が、何もない壁に向かって話してたとか、指を指してたりとか。
目に見えないもの=幽霊。
はっきり言ってしまえば”何処にでもいて何処にもいない”が、現状で表現でできる言い方だろうか。
表裏、表と裏というように、現世とあの世は隣合わせなんだ。いつ何処で邂逅するかは”分からない”。
”分からない”なら研究して、解明して作ってしまえばいい。そんな浅はかな考えだが、なんと俺はパソコンなりシステムつよつよな友達と共同開発をし、遂に、あの世つまり霊界との扉を開ける”システム”を開発した。俺は凄い。まぁ企業秘密だ。
俺の家は剣菱神社の神主で、兄が宮司として仕えている。剣菱、つまり”剣”の神を信仰としている。
剣は邪悪なものを払う。
故にお祓いで有名な神社だ。
兄は宮司。さて俺は?
目に見えないもの達に日々脅かされている人達の助力として、俺は兄とは違ったビジネスを試みた。
兄は面白そうに『じゃぁやってみろ』の一言で、俺にいわくつき系の仕事を流して来るようになった。まぁ、アプリを活用する為には実践と場数にデータ収拾がいるので好都合だが。
まだまだ半年。アプリにも”使用者側”の霊能力が必要なようで、一般人が使えるレベルでの除霊プログラムを組まないといけない為苦戦中と言った所だ。
ふと昨晩、気がかりなことがあった。
兄、道と書いてあゆむがふと俺に言ったことだ。
『おまえは”メメントモリ”って言葉、知ってるか?』
当然だろう。
意味は”死を忘れるな”だ。
忘れもしない。
俺自身が死んだわけでもないのに、俺は一度死んだ。
心の死は、・・・死だ。
自分が自分で無くなった感覚。全てが空白になった。
虚無。
この言葉が一番合っている。
『それと陽。今日、おまえはある者と縁があるだろう。その出会いは今後の未来に大きく左右するはずだ。気を引き締めろ、いいな』
何か脅された気もするけれども。
「あのぅ・・・」
紫色の着物を着た女性が俺に声をかけて来た。時間通りの午前9時。約束した時間だ。
「・・・道さんの弟様、でいらっしゃいますか?」
勿論ピカピカの営業スマイル。
「はい。剣菱陽、太陽の陽で”はる”と申します」
「初めまして、三宅早苗と申します」
礼儀正しい女性だ。
と、背後にも”女性”。
(・・・・・・なるほど)
「要件は伺ってます、どうぞこちらへ」
「はい」
三宅さんを神社の応接室に招いた。
俺の相棒、フリーのプログラマーの稲沢真が彼女にお茶を出す。
「どうぞお茶です」
「あ、ありがとうございます」
三宅さんの表情が「この人は?」となっていた。
「俺のこの仕事の相棒兼助手をお願いしてます稲沢です」
「どうも、稲沢ですよろしく」
「助手・・・?」
「えぇ、俺達の分野は”機械”を使うものなので。身近なものだとこいつです」
ポケットからスマホを取り出した。
「! スマホ、ですか!?」
これが妥当な反応だ。
「えぇ。意外と昨今は優れものですよ。お札や数珠と言ったものは兄が専門なので。もし不安であれば兄が応対しますが」
きちんと”選択”させる。
三宅さんは俺のスマホをまじまじと見やる。
さぁ、営業だ。
「スマホ、つまりこれを媒体とした専用の除霊アプリを使って霊を払います」
「じょ、除霊アプリ!?」
「えぇ。野暮な話ですが、だからお札や数珠を高い金額で買う必要はないんです」
「は、はぁ・・・? で、でもどうやってアプリで除霊を?」
「簡単に言えば、アプリに霊探知機と、除霊モードという設定があります。霊探知機は言葉通り、スマホのセンサー機能、加速度センサー、ジャイロセンサー、磁気センサー、お馴染みGPS、そして生体認証センサー。これらを霊特化型に仕上げました」
「は、はぁ・・・」
パシャッ。
別のスマホで真が俺と三宅さんとを写真に収める。
「心霊写真。本物のあれ、あながち嘘じゃねぇんすわ。霊界をこっちの媒体に封じ込める、その原理は当たってるんすわ」
「・・・まさか、では、スマホに?」
「えぇ、あ、安心して下さい。こちらから除霊使い専用スマホをお渡しします。カメラモードにすると、除霊の呪文なるものを組み込んだ映像になります。そこでセンサーに引っかかった霊をパシャリと撮影。するとその画像は除霊専用の写真ファルダに入ります。その後は・・・俺達にお任せください」
「・・・はぁ・・・」
「以上が俺達の除霊のやり方です。どうされますか?」
「・・・・・・」
もう一息か。
「・・・俺達の除霊方法の特権は、相手がはっきり視えることです」
「! わ、私にも視えるのですか?」
「えぇ。肉眼で映らないものを映す手助けをしてくれるのが、こういった機械になります。人間が”視える”と言っても、結局それはその人間の脳が視せているに過ぎない、脳の映像は他者が視えない認知できないものを”視せる”証拠にはならない。だから、こいつ、なんです。カメラでもいいですけど、スマホというこんな画期的アイテムを利用しない手はない。これ一つで色々なことができる優れものなんですよ」
「・・・なるほど・・・」
もう少し。
「ちなみに、この除霊アプリは未完成なので、そのデータ収拾のご協力頂ければ、報酬の方もお安くさせて頂きますよ」
「! わ、分かりました! よろしくお願い致します!」
深く頭を垂らす三宅さん。
お金に困ってない感じだが、なるほど。
「承りましょう。では、本題と参りましょうか」
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