【休止】つよつよ女霊に好かれた男はスマホを片手に除霊する

佐橋 竜字

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【5】生きる目的とその価値

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 お姉さんである美月さんがキラキラと輝いて消えて行った。
「お疲れ」
 稲沢は三宅さんにティッシュを渡す。
「・・・ぁい」
 真っ赤に目を腫らし、鼻水でぐしゅぐしゅの三宅さんは、豪快に鼻をブビーッとかむ。
「ありがとございましゅ」
「スッキリした顔で何よりだ、あ、ゴミ箱はあそこな」
「いえ、もう一枚、頂けますか? 自分の鼻水は自分で持ち帰ります」
「・・・へぇ、いい心構えだな嬢ちゃん」
 おまえ、嬢ちゃんはないだろうよ。
「・・・どうも」
 ん? 三宅さんはまんざらでもないのか。
「はぁ~・・・、スッキリしました」
 三宅さんはスマホをテーブルに置き、着物を整えて深くお辞儀をされた。
「・・・この度は本当にありがとうございました」
「いえ、これが仕事ですから・・・」


ー彼女、これからも”好かれる”わよ


 ふとお告げがあった。
「? 剣菱さん?」
「あ、あぁ。もう一つ、私の”天”からお告げがありまして」
「? 天?」
「貴方はどうやらあちら側に”好かれやすい”性質をお持ちのようでして・・・」
「・・・ぁ、うぅ~、やっぱり、ですか」
「実感があるんですね?」
「うう~ん、はっきりとは視えないんですけど、いるって分かるというか何というか」
「ほぅほぅ」
 三宅さんが俺の右横を視た。
「剣菱さん」
「はい」
「・・・いつも、誰かと一緒にいます?」
「・・・・・・視える、いや、感じますか」
「初めて会った時、な、なんか引き寄せられたというか・・・、言葉にするのは難しいんですけど・・・」
 俺は苦笑する他ない。
「・・・だってさ。もう少しそのオーラを控えた方がいいみたいだ」
「え?」
「あぁ、いやこっちの話です」
「は、はぁ・・・」


 ドンッ。


 右横から小突かれた。
「あ、そうだったそうでした三宅さん」
「はい」
「このスマホ、しばらく持ってて頂けませんか?」
「え?」
「その、貴方のその”好かれる”性質の方にご協力頂きたくて。情報集めの、アルバイト、してみませんか?」
「・・・・・・えっ!? バイト、ですか!?」
「はい。勿論、危険な遊びではあるので、お給料は弾まさせて頂きます。お受けして頂けるなら今回の分もチャラで」
「・・・・・・何をすれば?」
「貴方が不快に感じ取った場所の撮影です。先ほどの赤いボタンをスライドして頂くと、普通の撮影モードの緑色のボタンがありますので、そちらで撮影して頂ければ。バイトと言いましてもまぁ、一緒についてきて貰うこともありますし、それは時給換算で、撮影した写真を一枚いくらで買い取り。こんな感じですね」
「・・・なるほど、お小遣い稼ぎにはいいかもですね」
 存外乗って来た。
「分かりました、バイト、やります。ちょうど探してたんで」
 ちょうど探してた? 
「あの、お答えしたくなけれないいんですけども、ちなみにご職業を聞いても?」
「大学生です、19歳です」
「!!!」
 二十・・・四、五歳だと思っていた。
「・・・その反応・・・」
「すすすすすすいません、あまりにもその格好といい、大人びていらしたので」
「オレ二十五ら辺かと思ってたわ」
「! 稲沢ぁーっ!」
 三宅さんはぷいちょとそっぽを向く。
「いいんです別に。よく言われますから。普段はもっとボーイッシュなんですぅ! 着物は母の趣味です」
「へぇ、着てあげるのか」
「ご存じないかと思いますけどぉ、母は着物の有名なブランドの社長なんですぅ! 娘の私はその宣伝係なんですぅ!」


ーあたしも着たい、見てみたい、欲しい


「あの、天の声が興味があるそうで、また色々教えて頂けますか?」
「・・・・・・わ、分かりました、いいですよ? 売り上げに協力して頂けるなら」
「・・・なるほど、しっかりしてますね」
「そうですか? お金が好きなだけですよ。お金の為に生きてます」
 うう~ん、怖い。
「オレは女、かなぁ」
「おまえは聞いてない」
 なるほど、これが”出会い”か。
 しかし、いい協力者を得れた気がする。活用する他ない。
「じゃぁ三宅さん、よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
 彼女を見送り、ほっと一息。
「まさか、仲間に取り入れるとは。”女神”の思し召しか?」
「あぁ、当然だろう。そうじゃなかったら俺は動かないさ」
「・・・だろうなぁ。おまえを動かすのは唯一ただ一人だけだもんな」
「あぁ」
 彼女の為に今の俺が在る。
「さぁて、次のお仕事しますか」
 それが俺の生きる価値であり、目的だ。
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