5 / 5
【5】生きる目的とその価値
しおりを挟むお姉さんである美月さんがキラキラと輝いて消えて行った。
「お疲れ」
稲沢は三宅さんにティッシュを渡す。
「・・・ぁい」
真っ赤に目を腫らし、鼻水でぐしゅぐしゅの三宅さんは、豪快に鼻をブビーッとかむ。
「ありがとございましゅ」
「スッキリした顔で何よりだ、あ、ゴミ箱はあそこな」
「いえ、もう一枚、頂けますか? 自分の鼻水は自分で持ち帰ります」
「・・・へぇ、いい心構えだな嬢ちゃん」
おまえ、嬢ちゃんはないだろうよ。
「・・・どうも」
ん? 三宅さんはまんざらでもないのか。
「はぁ~・・・、スッキリしました」
三宅さんはスマホをテーブルに置き、着物を整えて深くお辞儀をされた。
「・・・この度は本当にありがとうございました」
「いえ、これが仕事ですから・・・」
ー彼女、これからも”好かれる”わよ
ふとお告げがあった。
「? 剣菱さん?」
「あ、あぁ。もう一つ、私の”天”からお告げがありまして」
「? 天?」
「貴方はどうやらあちら側に”好かれやすい”性質をお持ちのようでして・・・」
「・・・ぁ、うぅ~、やっぱり、ですか」
「実感があるんですね?」
「うう~ん、はっきりとは視えないんですけど、いるって分かるというか何というか」
「ほぅほぅ」
三宅さんが俺の右横を視た。
「剣菱さん」
「はい」
「・・・いつも、誰かと一緒にいます?」
「・・・・・・視える、いや、感じますか」
「初めて会った時、な、なんか引き寄せられたというか・・・、言葉にするのは難しいんですけど・・・」
俺は苦笑する他ない。
「・・・だってさ。もう少しそのオーラを控えた方がいいみたいだ」
「え?」
「あぁ、いやこっちの話です」
「は、はぁ・・・」
ドンッ。
右横から小突かれた。
「あ、そうだったそうでした三宅さん」
「はい」
「このスマホ、しばらく持ってて頂けませんか?」
「え?」
「その、貴方のその”好かれる”性質の方にご協力頂きたくて。情報集めの、アルバイト、してみませんか?」
「・・・・・・えっ!? バイト、ですか!?」
「はい。勿論、危険な遊びではあるので、お給料は弾まさせて頂きます。お受けして頂けるなら今回の分もチャラで」
「・・・・・・何をすれば?」
「貴方が不快に感じ取った場所の撮影です。先ほどの赤いボタンをスライドして頂くと、普通の撮影モードの緑色のボタンがありますので、そちらで撮影して頂ければ。バイトと言いましてもまぁ、一緒についてきて貰うこともありますし、それは時給換算で、撮影した写真を一枚いくらで買い取り。こんな感じですね」
「・・・なるほど、お小遣い稼ぎにはいいかもですね」
存外乗って来た。
「分かりました、バイト、やります。ちょうど探してたんで」
ちょうど探してた?
「あの、お答えしたくなけれないいんですけども、ちなみにご職業を聞いても?」
「大学生です、19歳です」
「!!!」
二十・・・四、五歳だと思っていた。
「・・・その反応・・・」
「すすすすすすいません、あまりにもその格好といい、大人びていらしたので」
「オレ二十五ら辺かと思ってたわ」
「! 稲沢ぁーっ!」
三宅さんはぷいちょとそっぽを向く。
「いいんです別に。よく言われますから。普段はもっとボーイッシュなんですぅ! 着物は母の趣味です」
「へぇ、着てあげるのか」
「ご存じないかと思いますけどぉ、母は着物の有名なブランドの社長なんですぅ! 娘の私はその宣伝係なんですぅ!」
ーあたしも着たい、見てみたい、欲しい
「あの、天の声が興味があるそうで、また色々教えて頂けますか?」
「・・・・・・わ、分かりました、いいですよ? 売り上げに協力して頂けるなら」
「・・・なるほど、しっかりしてますね」
「そうですか? お金が好きなだけですよ。お金の為に生きてます」
うう~ん、怖い。
「オレは女、かなぁ」
「おまえは聞いてない」
なるほど、これが”出会い”か。
しかし、いい協力者を得れた気がする。活用する他ない。
「じゃぁ三宅さん、よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
彼女を見送り、ほっと一息。
「まさか、仲間に取り入れるとは。”女神”の思し召しか?」
「あぁ、当然だろう。そうじゃなかったら俺は動かないさ」
「・・・だろうなぁ。おまえを動かすのは唯一ただ一人だけだもんな」
「あぁ」
彼女の為に今の俺が在る。
「さぁて、次のお仕事しますか」
それが俺の生きる価値であり、目的だ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる