魔族との契約婚、物理で解決中

冬風蓮

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第2章:異界ログイン編

封鎖を砕け

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宿場町で一夜を過ごしたユイとダクエルは、再び雪原へと戻った。
吹雪は弱まったが、空は重く、祭壇の影はまだ遠い。

「本体は……あの奥だ」
肩の上で、ちびダクエルの声が震えている。

「よし、さっさと行こ」

そう言って歩き出した矢先、地面から銀色の鎖が突き出した。
鎖は生き物のように絡み合い、瞬く間に壁を形作る。

「また封鎖かよ!」

鎖の中心には、一人の青年が立っていた。
青白い顔に深い影を落とし、虚ろな目で呟く。

「帰れ……ここは祭壇に選ばれし者だけの場所だ……」

「契約者だな」ダクエルが小さく唸る。
「完全に封鎖と融合している。普通に殴れば精神が壊れるぞ」

ユイは拳を構えかけたが、眉をひそめて下ろした。
「じゃあ……別のやり方で」

鉄分を使い、小さなサイコロを生み出す。
その一つひとつに血がにじみ、体がふらついた。

「ユイ!」

「平気……でも長くはもたない」

ユイはサイコロを鎖の節々に投げ込んだ。
その瞬間、ちびダクエルが必死に両手を伸ばす。

「風よ、広がれええっ!」

いつもより強い風が吹き、雪を巻き上げる。
サイコロは風に乗って鎖の中を転がり、刻印が次々と砕け散った。

青年が呻き、膝をつく。鎖は粉々に弾け、雪煙に消えた。

「……僕は……解放されたのか」
青白い顔に、ようやく血の気が戻っていく。

ユイは膝をつき、荒い息を吐いた。
「ちょっと……貧血……」

「だから言っただろう、無茶するなと!」
ちびダクエルは小さな拳でユイの頬を叩く。痛くはないが、必死さが伝わる。

それでも、ユイは笑って肩をすくめた。
「でも……解けたでしょ?」

青年は深く頭を下げると、雪原の闇へと去っていった。

残された二人の前、吹雪の切れ間に黒い巨影がそびえ立っていた。
雪に覆われた階段、そして石造りの巨大な祭壇――。

「本体が……そこにいる」

ユイは拳を握り、肩の上の小さな魔族と視線を交わす。

「ここまで来たんだ。もう止まれないよ」

「……ああ。覚悟を決める時だ」

雪原を渡る風が静まり、祭壇の影が鮮明に浮かび上がった。

(了)
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