龍神咲磨の回顧録

白亜

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第一章 龍神誕生編

第1話 不思議な夢

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気がつくと空を飛んでいた。比喩ではない。本当に飛んでいるのだ。頭がおかしいと思うだろうが、ここは夢の中。なんでもありだろう。なぜわかるのかというと、何度も同じ夢を見ているからだ。



ああ……そろそろ聞こえてくるだろう。あの声が。穏やかで静謐な、それでいてどこか神秘的な声が。


その声はいつも自分に何かを訴えている。しかし何を言っているかはわからない。
それがもどかしくて自分はいつも叫んでいる。



向こうはそれがきこえているのか、もっともっと大きな声で何かを言う。それでも霧がかかったように自分の耳にその音が届かない。



突然視界が真っ白になる


…夢の終わりだ…


体が急降下する。これに抗ったことはあるが、無駄だと気づいている。咲磨はそれに身を委ねるようにして、静かに目を閉じたーーーーーー
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