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10話
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先遣調査の主な仕事は2種類ある。
1つは人里に降りてきて、人に危害を加える恐れのある魔物の調査。
もう1つは武器や防具の素材や食材となる魔物の討伐を目的とした調査。
魔物は弱点を的確に攻めないとストレスがかかってしまい、素材は劣化する。
そのため弱点を徹底的に攻める必要がある。だからマーキングによる弱点の明確化は冒険者にとっては必需なのだ。
以前は七色虫を握り潰してマーキングしていたが、現在はマーキングに使っていた七色虫をボールにいれて扱いやすいようにした、マーキング玉というモノを使っている。
そしてこのマーキング玉にはもう1つ仕込みをしている。
マーキング玉に磁石のような探知魔法を付与して、方位磁石のようにして居場所をわかるようにしたのだ。
これによって冒険者達は魔物の索敵に苦労しなくなった。
以前は「五合目の西側にいる」くらいの情報しか冒険者には伝える事が出来なかったのが改善されて、冒険者達は無駄な魔物達との戦闘も減り、安全に魔物討伐を出来るようになったのだ。
そしてマーキング玉はボクにしか作れない。
なぜならば鑑定眼がなければ七色虫を見つける事が出来ないからだ。
この独占状態を金儲けに考えて言ってくる人もいたが、結局マーキングするのはボクだから他の人の意見に耳を貸す事はしなかった。
しいていうなら磁石のような探知魔法の案を出してくれたアイテム収納袋を作ってくれる裁縫職人の意見には耳を傾けたくらいかな。
超高級なアイテム収納袋にはこの磁石のような探知魔法が盗難防止用でついてる。この技術を教えてくれた裁縫職人にはホントに感謝している。
だからこの街を去る前に挨拶はしていこう。
ヤバイカザンの街に行く準備も終わって、部屋を綺麗に片付けて朝を迎えた。
今日のお昼くらいにはこの街を出て行く事になる。
だから今日は久しぶりにゆっくりとした朝食を食べれる。こんなにゆっくりした朝を迎えたのはいつぶりだろう。
いつもは卵かけご飯をサクッと食べて仕事に出かける毎日。
今日は贅沢をしてBランクの魔物のサンワドリの卵を使った卵かけご飯を食べよう。
サンワドリは1つの卵から3羽のヒヨコが生まれる。だから卵の中には3つの黄身が入っているのだ。それにより普通の卵より黄身は小さいが、小さい分濃厚な味わい。
だがしかし、習性とは恐ろしいものだ。その濃厚な卵かけご飯もいつも通りサクッと食べてしまう。
もっとよく味わって食べればいいのにと思いながら、裁縫職人さんのところにボクは向かった。
「あら、ちょうどいいところに来たわね。なんとか間に合わせる事が出来たよ」
ん?なんの事だ?挨拶に来ただけなのになんとか間に合わせることが出来たって何だ?
それが顔に出ていたのか裁縫職人さんはあっ!しまったという顔をした。
「やっちゃったわーー。実はギルドマスターのラオさんに頼まれてホクトさん用の防具を作ったのよ」
えっ、マジで!
「しかも普通は鎧にするファイアリザードの革を動きやすいようにレザージャケットとレザーパンツにしてくれって言うのよ。そんな事した事ないし、するとしても最低でも1か月かかるような仕事を2週間でやってくれって言うのよ。ホント信じらんない」
「なんかすみません」
「貴方が謝る必要はないわ。だけど私にも意地があるし、ホクトさんには良くしてもらったから頑張ったよ」
そうやって取り出したレザージャケットとレザーパンツは赤茶色をした革の服で光沢もあり綺麗な仕上がりだ。
「ヤバイカザンは火を使う魔物も多く暑いところだからラオさんが準備してくれたのよ」
さっそくボクはファイアリザードの革の服を上下着こなす。その革は柔らかくて熱を通さないようになっている。やっぱり最高の職人さんだ。
「とても着心地がいいです。こんなにいいモノを作っていただきありがとうございます。これだけのモノをいただけたのならヤバイカザンの街に行っても七色虫は定期的に送らさせていただきます」
「あら、イヤだ。これだからホクトさんは・・・」
満面の笑みを浮かべる裁縫職人を後にして、ボクはギルドマスターのラオさんのところに向かった。
お昼には少し早い時間だったが、もう馬車もあり準備は出来ているみたいだ。
「お待たせしました」
「今準備が出来たところですよ。あっ、サプライズのつもりだったんですけど、もう着ちゃってますね」
苦笑いしているラオさんと共にAランク冒険者のアラタさんも現れた。
えっ、なんでAランク冒険者がいるの・・・普通移動の際の護衛はCランク相当の冒険者で十分のはずなのに・・・
「不思議そうな顔しているな。俺も一緒にヤバイカザンの街に拠点を移ろうと思っただけだよ。だから護衛料なんていらないからな。むしろ俺はタダで馬車に乗れてラッキーなだけだ」
アラタさんは剣術スキルと魔術スキルを持つ英雄。
Aランク冒険者の中でも最高のスキル構成でSランクに1番近い人とも言われている有名な人だ。
「みなさん、道中よろしくお願いします」
こうしてボク達はヤバイカザンの街に向かった。
1つは人里に降りてきて、人に危害を加える恐れのある魔物の調査。
もう1つは武器や防具の素材や食材となる魔物の討伐を目的とした調査。
魔物は弱点を的確に攻めないとストレスがかかってしまい、素材は劣化する。
そのため弱点を徹底的に攻める必要がある。だからマーキングによる弱点の明確化は冒険者にとっては必需なのだ。
以前は七色虫を握り潰してマーキングしていたが、現在はマーキングに使っていた七色虫をボールにいれて扱いやすいようにした、マーキング玉というモノを使っている。
そしてこのマーキング玉にはもう1つ仕込みをしている。
マーキング玉に磁石のような探知魔法を付与して、方位磁石のようにして居場所をわかるようにしたのだ。
これによって冒険者達は魔物の索敵に苦労しなくなった。
以前は「五合目の西側にいる」くらいの情報しか冒険者には伝える事が出来なかったのが改善されて、冒険者達は無駄な魔物達との戦闘も減り、安全に魔物討伐を出来るようになったのだ。
そしてマーキング玉はボクにしか作れない。
なぜならば鑑定眼がなければ七色虫を見つける事が出来ないからだ。
この独占状態を金儲けに考えて言ってくる人もいたが、結局マーキングするのはボクだから他の人の意見に耳を貸す事はしなかった。
しいていうなら磁石のような探知魔法の案を出してくれたアイテム収納袋を作ってくれる裁縫職人の意見には耳を傾けたくらいかな。
超高級なアイテム収納袋にはこの磁石のような探知魔法が盗難防止用でついてる。この技術を教えてくれた裁縫職人にはホントに感謝している。
だからこの街を去る前に挨拶はしていこう。
ヤバイカザンの街に行く準備も終わって、部屋を綺麗に片付けて朝を迎えた。
今日のお昼くらいにはこの街を出て行く事になる。
だから今日は久しぶりにゆっくりとした朝食を食べれる。こんなにゆっくりした朝を迎えたのはいつぶりだろう。
いつもは卵かけご飯をサクッと食べて仕事に出かける毎日。
今日は贅沢をしてBランクの魔物のサンワドリの卵を使った卵かけご飯を食べよう。
サンワドリは1つの卵から3羽のヒヨコが生まれる。だから卵の中には3つの黄身が入っているのだ。それにより普通の卵より黄身は小さいが、小さい分濃厚な味わい。
だがしかし、習性とは恐ろしいものだ。その濃厚な卵かけご飯もいつも通りサクッと食べてしまう。
もっとよく味わって食べればいいのにと思いながら、裁縫職人さんのところにボクは向かった。
「あら、ちょうどいいところに来たわね。なんとか間に合わせる事が出来たよ」
ん?なんの事だ?挨拶に来ただけなのになんとか間に合わせることが出来たって何だ?
それが顔に出ていたのか裁縫職人さんはあっ!しまったという顔をした。
「やっちゃったわーー。実はギルドマスターのラオさんに頼まれてホクトさん用の防具を作ったのよ」
えっ、マジで!
「しかも普通は鎧にするファイアリザードの革を動きやすいようにレザージャケットとレザーパンツにしてくれって言うのよ。そんな事した事ないし、するとしても最低でも1か月かかるような仕事を2週間でやってくれって言うのよ。ホント信じらんない」
「なんかすみません」
「貴方が謝る必要はないわ。だけど私にも意地があるし、ホクトさんには良くしてもらったから頑張ったよ」
そうやって取り出したレザージャケットとレザーパンツは赤茶色をした革の服で光沢もあり綺麗な仕上がりだ。
「ヤバイカザンは火を使う魔物も多く暑いところだからラオさんが準備してくれたのよ」
さっそくボクはファイアリザードの革の服を上下着こなす。その革は柔らかくて熱を通さないようになっている。やっぱり最高の職人さんだ。
「とても着心地がいいです。こんなにいいモノを作っていただきありがとうございます。これだけのモノをいただけたのならヤバイカザンの街に行っても七色虫は定期的に送らさせていただきます」
「あら、イヤだ。これだからホクトさんは・・・」
満面の笑みを浮かべる裁縫職人を後にして、ボクはギルドマスターのラオさんのところに向かった。
お昼には少し早い時間だったが、もう馬車もあり準備は出来ているみたいだ。
「お待たせしました」
「今準備が出来たところですよ。あっ、サプライズのつもりだったんですけど、もう着ちゃってますね」
苦笑いしているラオさんと共にAランク冒険者のアラタさんも現れた。
えっ、なんでAランク冒険者がいるの・・・普通移動の際の護衛はCランク相当の冒険者で十分のはずなのに・・・
「不思議そうな顔しているな。俺も一緒にヤバイカザンの街に拠点を移ろうと思っただけだよ。だから護衛料なんていらないからな。むしろ俺はタダで馬車に乗れてラッキーなだけだ」
アラタさんは剣術スキルと魔術スキルを持つ英雄。
Aランク冒険者の中でも最高のスキル構成でSランクに1番近い人とも言われている有名な人だ。
「みなさん、道中よろしくお願いします」
こうしてボク達はヤバイカザンの街に向かった。
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