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50話
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ボクは朝早くにレッカ山に来ていた。
以前マーキングしていた烈火ドラゴンはアラタさんに譲った。
ボクは弱点が見えるからいいけど、アラタさん達のパーティーは弱点が見えない。
まあ普通はドラゴンにマーキングするヤツなんていないんだけどね。
だから勇者がドラゴン討伐する時は手当たりしだいに攻撃するから無傷の鱗や皮はほとんどない。
ということはもちろんドラゴンにストレスがかなりかかっているため肉質も悪くなる。
もし弱点だけ攻撃して倒されたドラゴンがいるのならきっとすごい肉になるんだろうな。
そうしたら龍理人は一体どんな料理を作るんだろうか・・・
そんな事を考えながら探索していると烈火ドラゴンを発見した。
そのタイミングでアラタさんに譲った烈火ドラゴンのマーキングが激しく動き始めたので、おそらくアラタさん達のパーティーも戦闘を始めたんだろう。
どうかご無事でありますように・・・
よし、気持ちを切り替えて今は自分の目の前にいる烈火ドラゴンに集中しよう。
烈火ドラゴンは平屋の一軒家くらいの大きさがある。
鑑定眼・開眼を使い弱点を見る。弱点は右腕の付け根だな。
「龍天飛翔穴」
ボクは自分の龍点穴を突き、バフをかける。
準備は完了。烈火ドラゴンはこちらにはまだ気づいていない。まずは先手必勝だ。
風の魔石を手に入れた事によって、風魔法の浮遊術で一気に距離を詰めて弱点に魔王の柳葉包丁を突きつける。
グサっ
死角からの攻撃は堅い鱗を突き破り刺さった。
これならダメージを与える事が出来る。
そう思った瞬間、烈火ドラゴンは左手でボクをなぎ払おうとしたが、ボクはガッチリとアダマン鯛のウロコの盾でガードする。
ガキン
ガードしたボクにダメージはない。
これならいける。
そこからが長かった。ボクの攻撃は烈火ドラゴンにダメージを与える事が出来たが致命傷にはなっていない。
ホクト流回避術・龍天の無盾による回避からの攻撃や盾術奥義・龍天返しによるカウンター攻撃でも致命傷を与える事は出来なかった。
ダメージを与える事が出来たとしても討伐ともなると長丁場になる事は想定出来ていた。
鑑定眼・開眼で烈火ドラゴンの現状を見ながら攻撃。長丁場のため目の疲れはブルームーンハニーの目薬で一気に回復。
朝早くからの戦いは夕方になっても続いていた。
そんな時、アラタさん達が戦っていた烈火ドラゴンのマーキングが消えている事に気づいた。
どうやら倒せたようだな・・・
よし、ならばボクも烈火ドラゴンを倒してみせる。
・・・・・
それから三日三晩、烈火ドラゴンとの戦いは続いた。
だが烈火ドラゴンを未だに討伐出来る気配はない。
烈火ドラゴンもボクとの戦いに慣れてきたようで弱点をピンポイントで突く事も難しくなってきた事も原因だ。
長い戦いによってブルームーンハニーでも疲れが取れなくなってきたのか、左眼も熱くなってきていた。
そんな時、イヒヒヒのボス猿との戦いでもあった感覚に襲われる。
あるシーンが見えてきた。ボクが烈火ドラゴンの右腕の振り下ろしを龍天の無盾で回避すると見せかけて盾でガードする。それに驚いた烈火ドラゴンの右手の爪を切り落とす。
こ、これは・・・
すると烈火ドラゴンは右腕の振り下ろし攻撃を行ってきた。
「ホクト流回避術・龍天の無盾」
龍天の無盾は盾に当たるか当たらないかのところで回避する技。回避に失敗してもガード出来るため安全性の高い技。
この技は盾に当たると見せかけて当たらないということで生まれる相手の隙をつける技でもある。
しかしもう烈火ドラゴンには何度も見せている技のため、烈火ドラゴンの隙は生まれないただの回避術となってしまっている。
回避失敗によるガードではなく、普通にガードするのであればそれは相手の隙をつける事が出来る。
だけど隙をつけたとしても今相手にしている烈火ドラゴンの弱点を攻撃するのは難しいかもしれない。
だからこそ右手の爪を攻撃するのは相手にとっても予想外の事のはず。
ボクは討伐のためには弱点を攻撃するしかないと思っていたため、ずっと弱点ばかり攻撃してきた。
ガキン
避けられると思っていた烈火ドラゴンはガードされた事で少しの隙が生まれた。
その隙に弱点を攻撃されると思っている烈火ドラゴンは弱点をかばう動きを見せた。
ズバッ
しかし攻撃されたのは右手の爪。今まで弱点以外を攻撃された事がなかったため、パニックになった烈火ドラゴンに大きな隙が生まれた。
その大きな隙をついて弱点の龍点穴に魔王の柳葉包丁を突き刺す。
それでも致命傷を与える事が出来なかった。
だがここから討伐まで時間はかからなかった。
当たると見せて当たらない。当たらないと見せて当たる龍天の無盾。
弱点を攻撃すると見せて違うところを攻撃する。
その繰り返しに対応出来なくなった烈火ドラゴンはやがて動かなくなった。
そしてその頃には朝日が昇り始めていた。
その朝日はハズレ勇者と言われたボクの夜明けを意味するように感じたボクの左眼からはとめどなく涙があふれていた。
以前マーキングしていた烈火ドラゴンはアラタさんに譲った。
ボクは弱点が見えるからいいけど、アラタさん達のパーティーは弱点が見えない。
まあ普通はドラゴンにマーキングするヤツなんていないんだけどね。
だから勇者がドラゴン討伐する時は手当たりしだいに攻撃するから無傷の鱗や皮はほとんどない。
ということはもちろんドラゴンにストレスがかなりかかっているため肉質も悪くなる。
もし弱点だけ攻撃して倒されたドラゴンがいるのならきっとすごい肉になるんだろうな。
そうしたら龍理人は一体どんな料理を作るんだろうか・・・
そんな事を考えながら探索していると烈火ドラゴンを発見した。
そのタイミングでアラタさんに譲った烈火ドラゴンのマーキングが激しく動き始めたので、おそらくアラタさん達のパーティーも戦闘を始めたんだろう。
どうかご無事でありますように・・・
よし、気持ちを切り替えて今は自分の目の前にいる烈火ドラゴンに集中しよう。
烈火ドラゴンは平屋の一軒家くらいの大きさがある。
鑑定眼・開眼を使い弱点を見る。弱点は右腕の付け根だな。
「龍天飛翔穴」
ボクは自分の龍点穴を突き、バフをかける。
準備は完了。烈火ドラゴンはこちらにはまだ気づいていない。まずは先手必勝だ。
風の魔石を手に入れた事によって、風魔法の浮遊術で一気に距離を詰めて弱点に魔王の柳葉包丁を突きつける。
グサっ
死角からの攻撃は堅い鱗を突き破り刺さった。
これならダメージを与える事が出来る。
そう思った瞬間、烈火ドラゴンは左手でボクをなぎ払おうとしたが、ボクはガッチリとアダマン鯛のウロコの盾でガードする。
ガキン
ガードしたボクにダメージはない。
これならいける。
そこからが長かった。ボクの攻撃は烈火ドラゴンにダメージを与える事が出来たが致命傷にはなっていない。
ホクト流回避術・龍天の無盾による回避からの攻撃や盾術奥義・龍天返しによるカウンター攻撃でも致命傷を与える事は出来なかった。
ダメージを与える事が出来たとしても討伐ともなると長丁場になる事は想定出来ていた。
鑑定眼・開眼で烈火ドラゴンの現状を見ながら攻撃。長丁場のため目の疲れはブルームーンハニーの目薬で一気に回復。
朝早くからの戦いは夕方になっても続いていた。
そんな時、アラタさん達が戦っていた烈火ドラゴンのマーキングが消えている事に気づいた。
どうやら倒せたようだな・・・
よし、ならばボクも烈火ドラゴンを倒してみせる。
・・・・・
それから三日三晩、烈火ドラゴンとの戦いは続いた。
だが烈火ドラゴンを未だに討伐出来る気配はない。
烈火ドラゴンもボクとの戦いに慣れてきたようで弱点をピンポイントで突く事も難しくなってきた事も原因だ。
長い戦いによってブルームーンハニーでも疲れが取れなくなってきたのか、左眼も熱くなってきていた。
そんな時、イヒヒヒのボス猿との戦いでもあった感覚に襲われる。
あるシーンが見えてきた。ボクが烈火ドラゴンの右腕の振り下ろしを龍天の無盾で回避すると見せかけて盾でガードする。それに驚いた烈火ドラゴンの右手の爪を切り落とす。
こ、これは・・・
すると烈火ドラゴンは右腕の振り下ろし攻撃を行ってきた。
「ホクト流回避術・龍天の無盾」
龍天の無盾は盾に当たるか当たらないかのところで回避する技。回避に失敗してもガード出来るため安全性の高い技。
この技は盾に当たると見せかけて当たらないということで生まれる相手の隙をつける技でもある。
しかしもう烈火ドラゴンには何度も見せている技のため、烈火ドラゴンの隙は生まれないただの回避術となってしまっている。
回避失敗によるガードではなく、普通にガードするのであればそれは相手の隙をつける事が出来る。
だけど隙をつけたとしても今相手にしている烈火ドラゴンの弱点を攻撃するのは難しいかもしれない。
だからこそ右手の爪を攻撃するのは相手にとっても予想外の事のはず。
ボクは討伐のためには弱点を攻撃するしかないと思っていたため、ずっと弱点ばかり攻撃してきた。
ガキン
避けられると思っていた烈火ドラゴンはガードされた事で少しの隙が生まれた。
その隙に弱点を攻撃されると思っている烈火ドラゴンは弱点をかばう動きを見せた。
ズバッ
しかし攻撃されたのは右手の爪。今まで弱点以外を攻撃された事がなかったため、パニックになった烈火ドラゴンに大きな隙が生まれた。
その大きな隙をついて弱点の龍点穴に魔王の柳葉包丁を突き刺す。
それでも致命傷を与える事が出来なかった。
だがここから討伐まで時間はかからなかった。
当たると見せて当たらない。当たらないと見せて当たる龍天の無盾。
弱点を攻撃すると見せて違うところを攻撃する。
その繰り返しに対応出来なくなった烈火ドラゴンはやがて動かなくなった。
そしてその頃には朝日が昇り始めていた。
その朝日はハズレ勇者と言われたボクの夜明けを意味するように感じたボクの左眼からはとめどなく涙があふれていた。
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