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82話

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「1つの希望。それがホクトさんです」

ボクが希望・・・

「絶望して諦めかけていた時、勇者クレアは未来が見えない子供を見つけました。未来が見えない子供はすぐに亡くなると思い、勇者クレアはその子供に諦めたらそこで試合終了ですよと声をかけたんですよ」

えっ、あの時の勇者ってクレアだったんだ。

「勇者クレアのその言葉は絶望で諦めかけていた自分を奮い立たせるために言った言葉でもありました」

あの時から勇者クレアとは運命的な出会いをしていたんだな。

「それから時が経ちホクトさんが信託の儀で眼のスキルを持つ勇者だとわかり、未来が見えない意味もわかったのです」

未来が見えない意味?

「眼のスキルを持つ勇者は鑑定眼の他に独自の眼を開眼する事があります。勇者ジャギンの温度感知の眼は有名ですよね。ちなみに勇者クレアは見る者を石に変える石化眼を持っています」

石に変える眼・・・

「眼のスキルの開眼は主に蛇にまつわる眼が開眼しますが、伝説の勇者リュウケンは龍にまつわる眼が開眼したとされています。それが龍希眼」

龍希眼・・・初めて聞いたよ。

「過去を見て未来を見る太陽の左眼。太陽の光からいくつもの未来の影を見る月の右眼。龍希眼は過去にも未来にもとらわれず、第3の選択肢を己の力で切り開く希望の眼」

なんでタキアさんはこんな事を知っているんだろ・・・

「これから会う龍人エンリュウは2代目龍人エンリュウ。龍人になる前は勇者リュウケンと呼ばれていた人です」

エッ!エッーーーー!!

「ホクトさんが3代目龍人エンリュウとなるか、龍希眼に目覚め違う道を切り開くのかはホクトさん次第です。朝になればケンタローさんが龍人となって私達の目の前に姿を現わすでしょう。残された時間はありません。覚悟は決まりましたか?」

ど、どうしよう。って言ってる場合じゃない事もわかってるけど・・・

「・・・迷っている時間はありませんよ。先程私は少し死にかけると言いましたよね。その答えはこれです」

タキアさんが懐から何かを取り出した。

「それは死の黄金リンゴ・・・」

「死にかけるだけで死にはしませんよ。勇者クレアが見た未来ではね・・・」

タキアさんは死の黄金リンゴに口をつけるとゆっくりと横になり始めた。

「少し待っていて下さい。ボクは龍希眼を開眼してきますから・・・」

ボクは伝説の勇者リュウケンでもある2代目龍人エンリュウが待つ洞窟の中に入っていった。
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