剣と銃がついたデカイ武器を振り回す女の子は好きですか!?

ウィリアム・ブロック

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地中侵攻①

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『──コード991発生、繰り返す、校庭でコード991発生!』
『──司令部より衛士、詳細を報告せよ』
『──衛士より司令部、第二演習場、シュミレーションの実践中ににコード991発生、目視確認でラージ級以上が1体、スモール級ミディアム級は数不明ッ! 沢山いる!』
『──司令部より現場の衛士へ、現在、即応部隊が出撃準備中、敵の進攻を阻止せよ』
『──ちょっと待って! こっちは演習中で魔力も体力もカラカラなのに!』
『──司令部より衛士へ、繰り返す、現在、即応部隊が出撃準備中、敵の進攻を──』
『──分かったわ! 早くしてッ!』

 コード991──
 デストロイヤーを出現を知らせるコードである。
 それがなぜ、この時、この場所に出たのかは分からない。
 広域的に見れば極東方面の基地とはいえ、神庭はその中では最後方に位置している。そこに至るまでの防衛線が突破された、などという情報は全く聞こえていない。

「…………」

 いくらデストロイヤーの行動が予測できないとはいえ、この状況はあからさまにおかしかった。ネストから防衛線を突破してここに出現するまで、その存在を誰にも察知させなかったなど、到底考えられない。

 もし隠密行動でここまでやってきたのだと仮定すると、何かの目的があって防衛線の戦力をことごとく回避してきた事になるが、そんな隠密行動を取ってきたにもかかわらず、疲労しているとはいえ衛士が集まっている演習場に現れたのも不可解だ。これではまるで、演習場に来ることが目的だったかのようだ。

 この状況に作為的なものが感じられないわけではない。真昼はまさかとは思ったが、オルタネイティヴ5推進派か、或いは──
 しかし理由はどうあれ、こうやって神凪のごく近くにヒュージが出現した事は紛れもない事実。今は考えていても仕方がない。
 スクリーンに投影されたマップ上には、デストロイヤーを示す赤い光点が次々と増え続け、それは真昼たちの周辺にもぽつぽつと現れ始めた。
 とにかく武器が必要だ。演習用のペイント弾、模擬戦術機では役に立たない。

「私が引きつけるから、デストロイヤーを破壊しながら現地の衛士達に戦術機を届けて」
「で、ですが真昼様はお怪我を!」
「片腕でも、私の強さの本質はラプラスある。心が折れない限り、敗北はない。わかったすぐに行く!!」
「分かったわ。あなたも気をつけて」
「了解」

 真昼はデストロイヤーの真っ只中に突っ込んで行った。それに呼応するように、周辺のデストロイヤーが真昼に群がり始める。

「今!! 流星ちゃん!!」
「了解ッ!」

 流星達が跳躍で戦線を離脱してゆく。それを確認すると、真昼は跳躍で空中に躍り出た。上空からデストロイヤーの種類を確認しようというのだ。
 もしラージ級以上の存在ががいたとしても、とりあえずは緊急回避で避けられるので問題は無い。
 上空からざっと地上を見渡すと、確認できたのはスモール級、ミディアム級、ラージ級、厄介なギガント級と、図体のでかいアストラ級は見当たらない。

 演習地形の市街地跡での戦闘になるので、ラージ級の優位は若干薄れるだろう。その代わり小回りの効くスモール級には気を付けなければならないが。
 次に友軍衛士を確認すると……やはり、突然の出来事に混乱している。
 特に神凪の衛士レギオンの展開が鈍く、新陣形の優位性を活かせないまま、撃破されてしまうケースが多くあった。

「いくら新陣形が有用でも、それを扱える指揮官がいないと駄目か」

 悪態をつく真昼、と同時に、背中にぞくり、と怖気が走る。空中を魔力を固めて蹴り飛ばし、移動する、らそれまでいた場所にラージ級のレーザーが通り抜けていく。真昼は重力に任せて地表に降り立った。

「ラージ級は厄介だけど乱戦に持ち込めば……いや、そうなると今度は味方が邪魔になるか……仕方ない」

 真昼は通信回線を開いた。

「一ノ瀬真昼より司令部、演習エリアの友軍衛士を全員戦術機保管庫に後退させて武器の補給に向かわせて。その間は私が囮になる」
『──司令部より一ノ瀬真昼。後退は認められない。繰り返す──』
「そんな事、言ってる場合じゃ──」
『──構いません、彼女の言う通りにして』
『校長先生! いきなり何を!?』
『彼女はこういう逆境をいくつも潜り抜けてきたのよ。魔力なし武器なしの衛士達で壁を作るよりマシな筈。頼みましたよ、一ノ瀬真昼さん』
「ご協力に感謝します」
『りょ、了解しました……。
 ──司令部より演習地域に展開中の各機。即時後退せよ。繰り返す──』
「これで、私が頑張れば良い。ラプラスはまだ発動するべきじゃない」

 ラプラスは味方の士気向上やその他多くの恩恵をもたらすが、今の状態で使っても効果は薄い。演習用の装備から実戦用の装備に持ち替えて、殲滅戦に移行してからラプラスの力は発揮される。

 演習地域に展開していたレギオン衛士と入れ替わりに、真昼のストライクイーグルがデストロイヤーを攻撃して撹乱しながら戦域に突入していく。デストロイヤーの脅威度判定が更新されて真昼にデストロイヤーが集り始める。デストロイヤーは陽動に引っかかり、真昼を敵と定め、方向転換して追い始める。
 友軍衛士がエリアからいなくなる頃には、梨璃はすっかり孤立する形でデストロイヤーに囲まれていた。

 ……しかしこの状況こそ、真昼が狙っていたものだった。
 この手の戦いなら、もっと不利な状況を嫌というほど経験してきている。時間稼ぎをするくらい、どうという事はない。
 だからと言って、真昼はそれだけで終わらせるつもりはなかった。
 ラプラスに頼らなくとも、時雨お姉様から譲渡された力がある。今まではラプラスの力の一端として使わなかった場面もあったが、譲渡された力だと理解したなら、切り分けて使うことができる。

「──さあ、やりましょう。お姉様」
『良い顔だ。魔力を同調させて! 真昼!』

 魔力クリスタルが輝く。
 真昼の身体能力が飛躍的に上昇していく。
 完全な乱戦になっているので、地上戦ではラージ級のレーザーは無力化したも同然だ。しかし、だからと言って無視できる存在でもない。ラージ級がいる限り立体的な戦闘が出来ず、機動力が激減してしまうからだ。

 衛士に対レーザーの緊急回避運動が可能とされている事からも分かるように、ラージ級が狙いを定めてからレーザーを発射するまで、若干のタイムラグがある。そこが狙い目だ。
 真昼は地面に魔力を集めて跳躍して宙に舞い上がった。

 それにラージ級が照準を合わせ、照射体勢に入る。この場には真昼しかいないので、狙ってくるタイミングはバカ正直なまでに見え見えだ。そのタイミングを計りながら魔力の足場を構築し、ラージ級の一体に向かって突進した。
 ラージ級のレーザーには絶対に味方を誤射しないという性質がある。そのため、地表に降り立って他のデストロイヤーを楯にする事で射線を著しく制限し、また逆にラージ級以外のデストロイヤーの動きも、ある程度コントロールする事が出来る。

 それを利用して真昼は正面の敵に集中した。

 レーザーが照射される瞬間、真昼はラージ級の頭上をすり抜けて背後を取る。そのままラージ級を切り裂く。
 他のデストロイヤーの攻撃を躱しながら、そのパターンを何度か繰り返し、まずは把握している限りのラージ級を駆逐して、とりあえずの制空権を確保した。

「ラージ級は大体今ので全部か。後はよりどりみどり……だね」

 敵戦力の中核を成すミドルが、衛士に向かってきた。

「制圧射撃」

 真昼はスモール級の前腕から繰り出される攻撃を巧みな動きで避けながら後退しつつ銃撃する。背後は時雨が確認して、障害物があるときは忠告してきてくれる。
 馬鹿正直に正面から突っ込んでくるスモール級を引き撃ちで殲滅させて、ビルの上に立つ。

「校庭に穴を開けたデストロイヤーは……あれか」

 神凪の校庭から黒く大きな体が起立している。

「ギガント級」
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