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メイルストロ厶討伐戦③
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「超特級デストロイヤー・メトロストロムの音の正体について何か知ってる?」
「そうですね、貴方方が聞いたという音の正体はマギ干渉が原因だと思いますわ」
「あの音に魔力が関係しているのですか?」
「ええ」
「ですが姉様、最初に戦った時は音などは」
「レストア化して、多様化したのでしょう」
レストアというのは傷を負ったデストロイヤーが巣に戻り修復された姿だ。戦闘蓄積データがあるため他のデストロイヤーよりも手強いのが特徴だ。
船田初は言う。
「とはいえ、あれは正確には音ではないと思います。メトロストロムは周囲の魔力を変質させることができる。周囲の魔力がデストロイヤー側に染められることで、その魔力の影響を強く受ける衛士に強力な精神負荷がかかってしまう」
『その精神負荷が音として認知される、と言うわけだね』
「その通りです、真昼さん」
「結果、周囲の魔力を受けやすいアサルトバーサークを使う衛士や強化衛士は戦闘継続に著しい悪影響が出るってことね」
高城は顔を難しい色に染めて言う。
「そうなると、ここにいる半数の衛士が戦闘不可能ということになってしまうわ。私も流星も、XM3の強化手術を受けたから」
「ふん、あの程度のデストロイヤーが私たちの天敵? 呆れますわね」
「でも」
心配そうにする流星に初が笑いかける。
「心配ご無用ですわよ。わたくしと純の場合、共感現象によって魔力干渉の悪影響を回避できますの」
「きょうかんげんしょー?」
『適正数値の波形が似ているコンビは強い、そう覚えてもらえれば結構だよ。フレデリカちゃん。だからMX3搭載型の衛士も同じ。共感現象によって相手の魔力干渉を跳ね除ける事が可能です』
「待って、私や高城ちゃんはともかく、他の人たちはそれに該当していないのだけれど」
「メトロストロムは魔力を負の魔力に固定する。だからその悪影響が強化されて音として認識されるようになったわけ」
「戦場は滞在する魔力が全て負の魔力になる事で普通の衛士にも影響が出た、と」
「はい」
「厄介ですね」
「全く、特型級の大群だけでも十分厄介だっていうのにね」
楪は怒りを露わにする。
それに心配そうにみぞれが問いかける。
「あの、そんなに数が多いんですか?」
「数も多いし、範囲も広い。しかもそれぞれ小規模な群れを作ってるから並大抵の衛士じゃ返り討ち。その点、量産型衛士は助かったといえば助かったけど」
「あまり、頼りにはしたくはありませんわね」
「こうしている間にも各地で激戦が繰り広げられています。まずは各個撃破しつつ、最終的にギガント級へ」
「却下、ですわね。メイルストロムが目撃されてからそれほど時間は経っていませんわ。即刻出向き、メイルストロムを討伐した後……いえ、量産型が信用できますの? ラプラスの英雄様?」
それに真昼は答える。
『うん。安心して。量産型スモール級程度なら始末できる能力はあるよ』
「なら、決まりですわ。この場にいる全員でメイルストロムを討伐します。守りが手厚くなって良かったわね?」
「まぁ、確かに。このメンバーなら魔力スフィアも可能だし、戦力的には十分か」
「では、早速参りましょう」
一同はメイルストロムの目撃現場へ移動した。しかしそこに待っていたのは大量の特型スモール級デストロイヤーだった。
「やれやれ、ですわね。スモール級の殲滅しつつメイルストロムの捜索。これで進めるしかないようです」
『その必要はないよ』
シールドにガトリングが取り付けられたシールド戦術機が空から現れて瞬く間に特型スモール級デストロイヤーを殲滅していく。
その火力は圧倒的で、B型兵装にも匹敵する火力を連射すると言うものだった。そして、空から桃色のラプラスが銃と剣を持って現れる。
「一ノ瀬真昼、現着」
真昼は船田姉妹を見つけると歩いていった。
「初めまして、船田純さん。貴方の噂は良く耳にします。B型兵装の改良案を飲んで下さってありがとうございました」
「別に、それが効率的だからやっただけですわ。貴方のためではありません」
「それで構いません。弱い者を救うためにとか、そんな言葉より信用できます。そしてこれが、最新のMX3アンプルです。これがあれば更に強くなれますよ。お姉さんの初様も一緒にどうぞ」
「必要ありませんわ」
それに真昼は少し意外そうな顔をする。
「確かに強化衛士に拒否感を示すのはわかりますが、貴方がそうなるとは思いませんでした。理由を伺っても?」
「そんな薬を打って強くなれるなら、人類はとっくの昔に勝っています。どうせ臨床実験も兼ねているんでしょう?」
真昼は心外だ、といった風に顔を膨らませた。
「そんな真似はしません! ちゃんと人体実験は済ませてあります! 副作用拒否反応共に無しの最良アンプルです!」
「だとしても、そんなものを使わなくてもメイルストロム程度になら勝てますわ」
香純の頑な態度に、真昼は折れたのか、アンプルをしまって歩き出す。
「どこに行きますの?」
「どこって、メイルストロムのところです」
「居場所を把握してますの!?」
「当然です。衛星カメラがばっちり捉えてます。今は時雨お姉様が足止めしているので早く増援に行かなければ」
それに驚くのは流星だ。
「一人でメイルストロムを相手にしているの!? 早く助けに行かなくちゃ」
「じゃあ案内するのでついてきてください」
真昼は大きくジャンプして、ビルの合間を縫って駆けていく。
「早い!?」
「まさか、このわたくしが追うので精一杯なんて」
真昼は曲芸じみた動きでビルの合間と合間をすり抜けて、瓦礫の山に到着する。そこにはタコのような姿をしたギガント級デストロイヤーが一人の衛士と戦っていた。
「お姉様!」
「真昼! 話は終わったのかい?」
「はい。あとは倒すだけです」
「あれが特型ギガント級デストロイヤーメイルストロム」
「攻撃、開始!!」
そこからは一方的だった。衛士達の一斉攻撃によってメイルストロムは装甲をガリガリと削られていく。手足は切断され、自慢の傷口には弾痕がつけられる。
「この反応、魔力干渉が来ますわよ!」
香純の声に応えたのは真昼と時雨の力強い声だった。
「「大丈夫」」
メイルストロムが魔力干渉で周囲を負の魔力に固定しようとする。しかし、真昼と時雨がそれを許さない。ラプラスの浄化能力によって、相手の能力を相殺したのだ。
それに気付いたメイルストロムはケイブを開いて大量の特型スモール級デストロイヤーとラージ級を召喚した。
『香純さん! 左!』
『言われなくてもッ!』
警告の言葉が発せられ、一秒あっただろうか。瞬間的に反応した船田香純のブレードが、ラージ級の頭を斜めに薙ぎ払った。トップヘビーの特性が十分に活かされた、遠心力の乗ったカーボンの刃が奔り、残ったのは頭部を失ったラージ級の身体だけ。
「次は右!」
「いちいち言われなくてもできますわ! 貴方こそそのシールドで負荷が重いのではなくて?」
「心配してくれてありがとう。鼻血が出る程度に抑えておくよ」
「それは大丈夫なんですの?」
切り飛ばされたラージ級の頭部はまるで硬球のように飛ばされ、数秒転がり続けると同じ衛士の足元に当たって止まった。見ただけで嫌悪の感情を抱かせられる物体が当たったのだが、衛士はその頭に見向きもしなかった。
余裕がなかったから、というのが正しい。巨大な足を荒野に据えたまま、前方に広がる青色の絨毯―――特型スモール級の群れに、淡々と魔力弾を叩きこむことに専念していた。点射ではない、やや断続的な射撃が音速を超過する速さで空を裂いた。引き金は絞り気味、ややフルオートに近い、まるで弾をばら撒くような撃ち方であったが――――
『す、すごい!』
流星が、感嘆の声をこぼした。出鱈目に撒かれたように見えた弾幕が、的確に特型スモール級の胴体を捉えていたからだ。同じように射撃をしているが、その撃破の速度はまるで違っていた。
命中率と射撃速度のどちらに重きを置くわけではない。ただ適当にばら撒くように無節操に、だけど化物どもにはきっちり・・・・と致命の報せを届けていた。
「流星ちゃんも練習すればこれくらいできるようになるよ」
「そうよね、負けてられないわ!」
「そう気張らないで、流星。メインディッシュは健在よ」
真昼の指揮下にある衛士たちはまるで風に吹かれる塵のように屠られていく特型スモール級と、また標的を淡々と処理していく自分たちの隊長の勇姿と、それでいて他の隊員のフォローまで忘れない姿を見て、思うことがあった。いつものふんわりした様子からは、まるで連想できない―――だけど、何をどう間違ってもこの人だけは敵に回したくないと。
『はいはい、ボクの真昼に見惚れるのも良いけど仕事はしようね!』
隊長の奮闘に気を取られ動きが鈍っている二人に発破をかけながらも、特型ギガント級に向けて次々に撃ち貫いていった。
銀色の髪の少女の剣幕に、動きが止まっていた二人が我に返る。急ぎ、同じように近づいてくる特型スモール級の対処に当たっていった。横に並んでの、火力を集中させた一斉射撃で迎え撃つ。隙間がほとんどない魔力弾の雨は、回避行動をしないデストロイヤーに命中した。
「流石、ですわね。ラプラスの英雄」
「そうでもないよ、まだまだ」
「それは心強いことで。ではあのメインディッシュはどうしますの?」
「魔力スフィア戦術」
「当然そうなりますよね」
「は、使わない」
「何ですって?」
「あれは、貴方が切り殺す。ちょうど、新型B型兵装の試し打ちに持って来いの相手だと思わない?」
「なるほど、そう言う事でしたら文句はありません。わたくしが叩っ斬ってあげます! お姉様!」
「ええ、聞いていたわ。やりましょう」
二人はメイルストロムから距離をとって武器を構える。
「最終必滅兵器B型兵装シャイニング・トラペゾヘドロン」
香純に搭載されたB型兵装が黄金に輝く。
「姉様、そばにいてくださいまし。貴方が一緒なら何でもできる」
「勿論よ、香純。私の愛する妹」
二人の手が重なり、黄金の鞘から剣が抜かれる。
『祈りの空より来たりて、切なる叫びを胸に』
『我ら明日への道を開く』
『汝、無垢なる翼・デモンストライク!!』
黄金の光が溢れ出し、周囲の特型スモール級ごとメイルストロムを真っ二つに切り裂いた。
「そうですね、貴方方が聞いたという音の正体はマギ干渉が原因だと思いますわ」
「あの音に魔力が関係しているのですか?」
「ええ」
「ですが姉様、最初に戦った時は音などは」
「レストア化して、多様化したのでしょう」
レストアというのは傷を負ったデストロイヤーが巣に戻り修復された姿だ。戦闘蓄積データがあるため他のデストロイヤーよりも手強いのが特徴だ。
船田初は言う。
「とはいえ、あれは正確には音ではないと思います。メトロストロムは周囲の魔力を変質させることができる。周囲の魔力がデストロイヤー側に染められることで、その魔力の影響を強く受ける衛士に強力な精神負荷がかかってしまう」
『その精神負荷が音として認知される、と言うわけだね』
「その通りです、真昼さん」
「結果、周囲の魔力を受けやすいアサルトバーサークを使う衛士や強化衛士は戦闘継続に著しい悪影響が出るってことね」
高城は顔を難しい色に染めて言う。
「そうなると、ここにいる半数の衛士が戦闘不可能ということになってしまうわ。私も流星も、XM3の強化手術を受けたから」
「ふん、あの程度のデストロイヤーが私たちの天敵? 呆れますわね」
「でも」
心配そうにする流星に初が笑いかける。
「心配ご無用ですわよ。わたくしと純の場合、共感現象によって魔力干渉の悪影響を回避できますの」
「きょうかんげんしょー?」
『適正数値の波形が似ているコンビは強い、そう覚えてもらえれば結構だよ。フレデリカちゃん。だからMX3搭載型の衛士も同じ。共感現象によって相手の魔力干渉を跳ね除ける事が可能です』
「待って、私や高城ちゃんはともかく、他の人たちはそれに該当していないのだけれど」
「メトロストロムは魔力を負の魔力に固定する。だからその悪影響が強化されて音として認識されるようになったわけ」
「戦場は滞在する魔力が全て負の魔力になる事で普通の衛士にも影響が出た、と」
「はい」
「厄介ですね」
「全く、特型級の大群だけでも十分厄介だっていうのにね」
楪は怒りを露わにする。
それに心配そうにみぞれが問いかける。
「あの、そんなに数が多いんですか?」
「数も多いし、範囲も広い。しかもそれぞれ小規模な群れを作ってるから並大抵の衛士じゃ返り討ち。その点、量産型衛士は助かったといえば助かったけど」
「あまり、頼りにはしたくはありませんわね」
「こうしている間にも各地で激戦が繰り広げられています。まずは各個撃破しつつ、最終的にギガント級へ」
「却下、ですわね。メイルストロムが目撃されてからそれほど時間は経っていませんわ。即刻出向き、メイルストロムを討伐した後……いえ、量産型が信用できますの? ラプラスの英雄様?」
それに真昼は答える。
『うん。安心して。量産型スモール級程度なら始末できる能力はあるよ』
「なら、決まりですわ。この場にいる全員でメイルストロムを討伐します。守りが手厚くなって良かったわね?」
「まぁ、確かに。このメンバーなら魔力スフィアも可能だし、戦力的には十分か」
「では、早速参りましょう」
一同はメイルストロムの目撃現場へ移動した。しかしそこに待っていたのは大量の特型スモール級デストロイヤーだった。
「やれやれ、ですわね。スモール級の殲滅しつつメイルストロムの捜索。これで進めるしかないようです」
『その必要はないよ』
シールドにガトリングが取り付けられたシールド戦術機が空から現れて瞬く間に特型スモール級デストロイヤーを殲滅していく。
その火力は圧倒的で、B型兵装にも匹敵する火力を連射すると言うものだった。そして、空から桃色のラプラスが銃と剣を持って現れる。
「一ノ瀬真昼、現着」
真昼は船田姉妹を見つけると歩いていった。
「初めまして、船田純さん。貴方の噂は良く耳にします。B型兵装の改良案を飲んで下さってありがとうございました」
「別に、それが効率的だからやっただけですわ。貴方のためではありません」
「それで構いません。弱い者を救うためにとか、そんな言葉より信用できます。そしてこれが、最新のMX3アンプルです。これがあれば更に強くなれますよ。お姉さんの初様も一緒にどうぞ」
「必要ありませんわ」
それに真昼は少し意外そうな顔をする。
「確かに強化衛士に拒否感を示すのはわかりますが、貴方がそうなるとは思いませんでした。理由を伺っても?」
「そんな薬を打って強くなれるなら、人類はとっくの昔に勝っています。どうせ臨床実験も兼ねているんでしょう?」
真昼は心外だ、といった風に顔を膨らませた。
「そんな真似はしません! ちゃんと人体実験は済ませてあります! 副作用拒否反応共に無しの最良アンプルです!」
「だとしても、そんなものを使わなくてもメイルストロム程度になら勝てますわ」
香純の頑な態度に、真昼は折れたのか、アンプルをしまって歩き出す。
「どこに行きますの?」
「どこって、メイルストロムのところです」
「居場所を把握してますの!?」
「当然です。衛星カメラがばっちり捉えてます。今は時雨お姉様が足止めしているので早く増援に行かなければ」
それに驚くのは流星だ。
「一人でメイルストロムを相手にしているの!? 早く助けに行かなくちゃ」
「じゃあ案内するのでついてきてください」
真昼は大きくジャンプして、ビルの合間を縫って駆けていく。
「早い!?」
「まさか、このわたくしが追うので精一杯なんて」
真昼は曲芸じみた動きでビルの合間と合間をすり抜けて、瓦礫の山に到着する。そこにはタコのような姿をしたギガント級デストロイヤーが一人の衛士と戦っていた。
「お姉様!」
「真昼! 話は終わったのかい?」
「はい。あとは倒すだけです」
「あれが特型ギガント級デストロイヤーメイルストロム」
「攻撃、開始!!」
そこからは一方的だった。衛士達の一斉攻撃によってメイルストロムは装甲をガリガリと削られていく。手足は切断され、自慢の傷口には弾痕がつけられる。
「この反応、魔力干渉が来ますわよ!」
香純の声に応えたのは真昼と時雨の力強い声だった。
「「大丈夫」」
メイルストロムが魔力干渉で周囲を負の魔力に固定しようとする。しかし、真昼と時雨がそれを許さない。ラプラスの浄化能力によって、相手の能力を相殺したのだ。
それに気付いたメイルストロムはケイブを開いて大量の特型スモール級デストロイヤーとラージ級を召喚した。
『香純さん! 左!』
『言われなくてもッ!』
警告の言葉が発せられ、一秒あっただろうか。瞬間的に反応した船田香純のブレードが、ラージ級の頭を斜めに薙ぎ払った。トップヘビーの特性が十分に活かされた、遠心力の乗ったカーボンの刃が奔り、残ったのは頭部を失ったラージ級の身体だけ。
「次は右!」
「いちいち言われなくてもできますわ! 貴方こそそのシールドで負荷が重いのではなくて?」
「心配してくれてありがとう。鼻血が出る程度に抑えておくよ」
「それは大丈夫なんですの?」
切り飛ばされたラージ級の頭部はまるで硬球のように飛ばされ、数秒転がり続けると同じ衛士の足元に当たって止まった。見ただけで嫌悪の感情を抱かせられる物体が当たったのだが、衛士はその頭に見向きもしなかった。
余裕がなかったから、というのが正しい。巨大な足を荒野に据えたまま、前方に広がる青色の絨毯―――特型スモール級の群れに、淡々と魔力弾を叩きこむことに専念していた。点射ではない、やや断続的な射撃が音速を超過する速さで空を裂いた。引き金は絞り気味、ややフルオートに近い、まるで弾をばら撒くような撃ち方であったが――――
『す、すごい!』
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命中率と射撃速度のどちらに重きを置くわけではない。ただ適当にばら撒くように無節操に、だけど化物どもにはきっちり・・・・と致命の報せを届けていた。
「流星ちゃんも練習すればこれくらいできるようになるよ」
「そうよね、負けてられないわ!」
「そう気張らないで、流星。メインディッシュは健在よ」
真昼の指揮下にある衛士たちはまるで風に吹かれる塵のように屠られていく特型スモール級と、また標的を淡々と処理していく自分たちの隊長の勇姿と、それでいて他の隊員のフォローまで忘れない姿を見て、思うことがあった。いつものふんわりした様子からは、まるで連想できない―――だけど、何をどう間違ってもこの人だけは敵に回したくないと。
『はいはい、ボクの真昼に見惚れるのも良いけど仕事はしようね!』
隊長の奮闘に気を取られ動きが鈍っている二人に発破をかけながらも、特型ギガント級に向けて次々に撃ち貫いていった。
銀色の髪の少女の剣幕に、動きが止まっていた二人が我に返る。急ぎ、同じように近づいてくる特型スモール級の対処に当たっていった。横に並んでの、火力を集中させた一斉射撃で迎え撃つ。隙間がほとんどない魔力弾の雨は、回避行動をしないデストロイヤーに命中した。
「流石、ですわね。ラプラスの英雄」
「そうでもないよ、まだまだ」
「それは心強いことで。ではあのメインディッシュはどうしますの?」
「魔力スフィア戦術」
「当然そうなりますよね」
「は、使わない」
「何ですって?」
「あれは、貴方が切り殺す。ちょうど、新型B型兵装の試し打ちに持って来いの相手だと思わない?」
「なるほど、そう言う事でしたら文句はありません。わたくしが叩っ斬ってあげます! お姉様!」
「ええ、聞いていたわ。やりましょう」
二人はメイルストロムから距離をとって武器を構える。
「最終必滅兵器B型兵装シャイニング・トラペゾヘドロン」
香純に搭載されたB型兵装が黄金に輝く。
「姉様、そばにいてくださいまし。貴方が一緒なら何でもできる」
「勿論よ、香純。私の愛する妹」
二人の手が重なり、黄金の鞘から剣が抜かれる。
『祈りの空より来たりて、切なる叫びを胸に』
『我ら明日への道を開く』
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