剣と銃がついたデカイ武器を振り回す女の子は好きですか!?

ウィリアム・ブロック

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変わりゆく世界①

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 柊シノアはノックの後、理事長室のドアを開ける。そこには夕立時雨が高級そうな椅子に腰を落ち着かせて座っていた。
 その光景にシノアは面食らう。

「あの? ここは理事長室では? 何故、時雨様がここに?」
「ああ、理事長代理は鬼籍に入られたよ。ガーデン首脳陣で行われる会議からの帰りに衛士脅威論の信者に車ごとドカーンだ」
「時雨様が殺したのではなく?」
「勿論。それを予期していたのか彼は私に遺言を残していた。自分にもしものことがあったら変わりに衛士訓練校を導いてほしいと、つまりはそういうわけだ。さぁ、お茶を淹れよう座っていいよ」
「はい、わかりました」

 シノアは、当然の理事長代理の死に衝撃をうけながらも、言われな通りソファーに座り、出されたお茶を飲む。

「ではここに足を運んでもらった訳を話そうか。いくつか質問するからそれに答えるだけで良い。因みに今飲んだお茶には毒が入っていて、半日後には死ぬ。僕が気に入らない答えを返して殺す。生き残るには僕の質問をよく考えて返答して、僕から解毒剤を渡してもらうことだ」
「毒……えっ? えっ? は?」
「じゃあ質問その一、正義と悪についてどう考える?」
「正義と悪……そんなものはこの世にないと思います。あるのは都合だけ。それぞれの都合だけだと思います」
「どうしてそう思う? 人を殺すの悪じゃないのか? 法律を守らないのは悪ではないと? 私達衛士は悪のデストロイヤーから身を守る正義ではないのか」
「それはそうなんですけど、正義も悪も表裏一体というかAの立場から見れば正義、Bの立場から見れば悪ってよくある話なんだと思うんです。そこから同条件のものを引いてみれば、残るのは都合だけ、かな、と」

 夕立時雨は笑みを深くする。

「興味深い話だ。では問二、幸せと不幸について、どう考える?」
「幸せとは自分で決断した道を歩むこと、不幸とは理不尽に他人に道を決められる、もしくは阻まれること」
「一般論を言わないね、君は。普通なら好きな人と一緒になるとか、身近な人が死ぬとか、お金を持っているとか、貧困に喘ぐとかそういう答えが出て来そうなものだけど」
「かもしれません。ですけど、大多数が幸せが思うからと言って自分に当てはまるとは限らないのが現実です。お金持ちになった、しかし周囲の人を信じられなくなった。貧困生活を送っている、だけど信頼する仲間に出会える可能性だってあるはずです。幸せになる可能性は、いや、幸せになる条件は、自分が幸せになろうと思うことから始まるのですから。待っているだけの雛鳥はそのまま飢えて死ぬだけです」

 夕立時雨は真っ直ぐとシノアを見つめる。

「とんでもない一年生だ。では最後に味方と敵は何だ?」

 柊シノアは、躊躇いなく答えた。

「私と真昼様。敵はデストロイヤー。そして貴方です、夕立時雨様」
「自分が命を握られている自覚はあるのかな?」
「貴方は真昼様のお姉様です。信頼され、信用されている。だけど、それは別に貴方が敵にならない理由にはならない。何なら、真昼様は貴方の話ばかりするからです」
「つまり?」
「私との時間の最中に、貴方の話ばかり出てくる。それだけなら惚気ですんだでしょう。しかし過去の話を聞くと重要なターニングポイントでは必ず貴方が関わっている。貴方が真昼様の生きる方向性を決めている」

 でも、と言葉を続ける。

「それが良いか悪いかの話はしていません。そういうこともあるでしょう。しかし貴方は、真昼様からの好意や信頼と信用を利用して、わざと自身が傷つくことで真昼様が自分で自分の道を選んだように錯覚させている。その結果、真昼様は心に傷を受けながら前へ進むことになってしまった。私の大切なお姉様を傷つける貴方は明確な敵です。許せない行為です」
「よくそこまでわかっているね。正直驚いたよ。しかも命を握られているにも関わらず真昼を最優先に考えている。うん、これなら認めても良いだろう、真昼の妹として認めよう」
「ありがとうございます?」
「お茶の件は嘘だ。毒なんて盛ってないよ。ああ、後、真昼ヴァルキリーズは解体して、君を隊長に据えたシノア隊を再結成するから」
「えっ、なんで?」
「簡単に言えば英雄を作らない為だ。確かに英雄という存在がいれば士気が上がるだろう。しかしそれは一時的なものでなければならない。英雄に頼りっきりなった、その英雄が消えたとき容易く崩れる。だからこそ、君のように才能あるけど特別ではない存在を各地に配置することで盤石な盤面を築く」
「各地にって事は……私以外にも部隊を作るんですか?」
「そうだね、テロリストによって殺された首脳は横浜衛士訓練校だけではない。お台場、イェーガー、コピピコ、そこらへんを含めた有名所は全滅した。防衛隊もそうだ。その全員が僕に委任状という名の遺書を託している。だからボクはこれからこう呼ばれることになるだろう」

 夕立時雨は暗い笑みを浮かべて、こう言った。

「地球統一防衛戦線総指揮官、夕立時雨とね」
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