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31:墓参り
金の卵を産む鳥よ。
その陶磁器のごとき美しき肌で私を惑わし、苦しめ、滅ぼした。
そなた専用の鳥籠を用意し、愛を囁こう。
芳しい薔薇を手折り、捧げよう。
薔薇の棘は鳥を突き刺す。
誰にも鳥の悲鳴も嘆きも聞こえない。
鳥はただ耐えるばかり。
最後に白金の卵を産み、羽を折られて息絶えた
「お兄ちゃん、それ何の歌?」
教会の前で花束を持って歌っていると、小さな子どもたちがワラワラと集まってきてアヒムを囲んだ。
「塔に囚われた錬金術師の歌だよ」
「囚われたのは錬金術師なの? お姫様じゃなくて?」
「お姫さまは閉じ込められる理由がないだろう。錬金術師はたくさんの秘密をしっているから閉じ込められるんだ」
子どもたちはわかったのかわかっていないのか曖昧な返事をした。
「アヒムさま、場所がわかりました」
アヒムは呼ばれたので立ち上がって、子どもたちに別れを告げた。
アヒムは、世話係との戯れの時間に城から抜け出した。その時間だけはオスヴァルトすら目を瞑る格好のタイミングだった。彼も持て余すアヒムを城から追い出したかったのかもしれない。
アヒムは、城からの脱出を手助けした世話係の案内のもと、国を出て墓地を歩いている。
「ここです」
言われた場所をみると、フリートヘルムの名前がかかれた墓地がある。
「会いに来ましたよ。約束を果たしに」
アヒムは磁器でできた骨壺を取り出した。
そして、目配せをすると、世話係は墓を掘り起こしはじめた。
フリートヘルムは伝統的な土葬によって眠っているようで、掘り起こされた棺を開けると、まだ一年も経っていないから形を保っている。
「会いたかった」
アヒムは死体の唇に口づけをした。
彼を骨にしてアヒムの磁器に入れるこはできない。だからせめてもと、棺の中にアヒムの磁器を入れた。
しばらくのフリートヘルムとの逢瀬を楽しんで別れを告げた。
「さようなら。愛しいおじさま」
アヒムの言葉とともに棺は再び閉まり、土が被せられる。
これは立派な犯罪だ。だが、目撃者はいない。世話係がちゃんと根回しをしたから。
「ベン、行こうか。そんな物欲しそうな顔をしないでおくれ」
軽い足取りで墓地を歩いて、宿に行こうとする。
ふと、見慣れた青年がいて、アヒムはわらった。
「アヒム。ここで何してるんだよ」
「ジーク。君こそどうして? フリートヘルムさんの墓参りかい? 羨ましいな。君は自由に出歩けて」
アヒムはジークに近寄った。
ジークは、アヒムの側にいた男が土のついたシャベルを持っており、血の気が引いた。
「お前、何してたんだ。まさか、墓を暴いたのか?」
「面白いことを言うね。僕はただ約束通りに僕の磁器を届けにきて、別れの言葉を伝えただけだよ」
ジークはアヒムの言葉を信じられなかった。彼はもうとっくの昔に狂ってしまっているのだから。
「お前、今までどこに行っていたんだ。陛下が、お前を探すために自らの軍を率いているんだぞ」
「まあ、恐ろしい」
アヒムは言葉とまったく異なる表情をしていた。
「陛下と破滅への円舞曲を踊ろうじゃないか」
アヒムは歌を口ずさみながらステップを踏んで歩いた。
「金の卵を産む鳥よ。
その陶磁器のごとき美しき肌で私を惑わし、苦しめ、滅ぼした。
そなた専用の鳥籠を用意し、愛を囁こう。
芳しい薔薇を手折り、捧げよう。
薔薇の棘は鳥を突き刺す。
誰にも鳥の悲鳴も嘆きも聞こえない。
鳥はただ耐えるばかり。
最後に白金の卵を産み、羽を折られて息絶えた」
その陶磁器のごとき美しき肌で私を惑わし、苦しめ、滅ぼした。
そなた専用の鳥籠を用意し、愛を囁こう。
芳しい薔薇を手折り、捧げよう。
薔薇の棘は鳥を突き刺す。
誰にも鳥の悲鳴も嘆きも聞こえない。
鳥はただ耐えるばかり。
最後に白金の卵を産み、羽を折られて息絶えた
「お兄ちゃん、それ何の歌?」
教会の前で花束を持って歌っていると、小さな子どもたちがワラワラと集まってきてアヒムを囲んだ。
「塔に囚われた錬金術師の歌だよ」
「囚われたのは錬金術師なの? お姫様じゃなくて?」
「お姫さまは閉じ込められる理由がないだろう。錬金術師はたくさんの秘密をしっているから閉じ込められるんだ」
子どもたちはわかったのかわかっていないのか曖昧な返事をした。
「アヒムさま、場所がわかりました」
アヒムは呼ばれたので立ち上がって、子どもたちに別れを告げた。
アヒムは、世話係との戯れの時間に城から抜け出した。その時間だけはオスヴァルトすら目を瞑る格好のタイミングだった。彼も持て余すアヒムを城から追い出したかったのかもしれない。
アヒムは、城からの脱出を手助けした世話係の案内のもと、国を出て墓地を歩いている。
「ここです」
言われた場所をみると、フリートヘルムの名前がかかれた墓地がある。
「会いに来ましたよ。約束を果たしに」
アヒムは磁器でできた骨壺を取り出した。
そして、目配せをすると、世話係は墓を掘り起こしはじめた。
フリートヘルムは伝統的な土葬によって眠っているようで、掘り起こされた棺を開けると、まだ一年も経っていないから形を保っている。
「会いたかった」
アヒムは死体の唇に口づけをした。
彼を骨にしてアヒムの磁器に入れるこはできない。だからせめてもと、棺の中にアヒムの磁器を入れた。
しばらくのフリートヘルムとの逢瀬を楽しんで別れを告げた。
「さようなら。愛しいおじさま」
アヒムの言葉とともに棺は再び閉まり、土が被せられる。
これは立派な犯罪だ。だが、目撃者はいない。世話係がちゃんと根回しをしたから。
「ベン、行こうか。そんな物欲しそうな顔をしないでおくれ」
軽い足取りで墓地を歩いて、宿に行こうとする。
ふと、見慣れた青年がいて、アヒムはわらった。
「アヒム。ここで何してるんだよ」
「ジーク。君こそどうして? フリートヘルムさんの墓参りかい? 羨ましいな。君は自由に出歩けて」
アヒムはジークに近寄った。
ジークは、アヒムの側にいた男が土のついたシャベルを持っており、血の気が引いた。
「お前、何してたんだ。まさか、墓を暴いたのか?」
「面白いことを言うね。僕はただ約束通りに僕の磁器を届けにきて、別れの言葉を伝えただけだよ」
ジークはアヒムの言葉を信じられなかった。彼はもうとっくの昔に狂ってしまっているのだから。
「お前、今までどこに行っていたんだ。陛下が、お前を探すために自らの軍を率いているんだぞ」
「まあ、恐ろしい」
アヒムは言葉とまったく異なる表情をしていた。
「陛下と破滅への円舞曲を踊ろうじゃないか」
アヒムは歌を口ずさみながらステップを踏んで歩いた。
「金の卵を産む鳥よ。
その陶磁器のごとき美しき肌で私を惑わし、苦しめ、滅ぼした。
そなた専用の鳥籠を用意し、愛を囁こう。
芳しい薔薇を手折り、捧げよう。
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