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わたしの心はあなたのもの
しおりを挟む結婚式の後、お食事会が開かれた。
そこでマリエナの父は花婿のアデラールにこれでもかと酒を飲ませた。
断ろうとすると、「俺様の酒が飲めねぇってぇのかぁ」と既に呂律が回らずぐでぐての絡み酒で飲めば飲むほどに飲まされた。
やっと寝室へと入ってきた時にはアデラールの足取りはフラフラで意識が朦朧としていた。
「だいじょーぶ、だいじょーぶだから」
そう言いながらベットに入るなり高鼾をかくアデラールに少しがっかりするマリエナであった。折角の初夜だから、えっちな下着だし、着ている服もみてほしかったのに……。
「お父様のバカ」
真夜中にきゅう、と抱き締められて嬉しくて半分覚醒する。
「マリエナ」
触れるだけのキスに心地よさを覚える。
きしり
ベットが軋む音が響く。
目を開けると、嬉しそうな顔をしたアデラールがマリエナを全身で抱き締めている。
「アディ」
不埒な手が、マリエナの身体を確かめるように薄い服の端から入ってきて撫でる。
その手がとても気持ちよくてうっとりとする。
窓のカーテンは閉められていて、月明かりすら入らない暗闇の中、かわいい、かわいいと撫でられ、しゃぶられ、マリエナは快楽の渦に飲み込まれていく。
「……誓いを」
指と指を絡めて、アデラールはそういった。
?誓い?
何のとこだか見当もつかず、アデラールを見つめる。
仄かに金に光る強い瞳が合う。
「この命、続く限り、マリエナに愛を捧げます」
こくり、と喉が鳴る。心臓が煩い程になって飛び出そうになる。真っ赤になったマリエナを催促するように繋いだ手がきゅ、と強く握られる。
おでこをくっつけて、アデラールの金の瞳とマリエナの碧の瞳が絡み合う。
掠れた声で「受け入れて」とアデラールはマリエナを催促した。
「私も、あなたを生涯愛します」
キンッ
そのまま、唇と唇が重なり合い、次第に深さが増していく中、マリエナの耳元で何か高い音が聞こえた。
その日のアデラールは焦るかのように、まだ準備の出来ていないマリエナの秘部に熱く逞しい棒を当てて入れようとした。マリエナの入り口を指で開き、中に当てる。
二度ほど押し込もうとして、何かを手に取り、それを結合部分に垂らした。ふわりと、ジャコウの香りがした。
「あっ!」
するり、と油分がふたりの摩擦を無くし、マリエナはアデラールを受け入れる。
ぬちゃ、ぬちゃ、ぬちゃ、ぬちゃ
ゆっくりと、しかし力強い動きにマリエナは声が出る。マリエナの手に無造作に捨て置かれた薬壺がコツン、と当たる。
そのピンクの宝石が付いた壺をぼんやりと見つめて、やがてそれすら気にならなくなる。次第に速度が上がり、お互いの荒い呼吸が心地いい。
「マリエナ」
ぽたり、ぽたり
金の瞳から涙がマリエナに降り注ぐ。
「君だけだ、君だけが、俺の」
泣き虫なアデラールの頭を撫でる。
「よしよし、いいこ、いいこ」
「あ、あ、あ、あ、あ!」
慰めるようによしよししてあげるとアデラールは泣き叫びながら激しくマリエナを攻める。
ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん
「いっちゃう!ああっ!いっちゃうの!!」
ぐ、ぐ、と奥にペニスを押し付けマリエナを高みに連れて行き、その中の痙攣をアデラールは味わう。
激しく二度、三度と痙攣してアデラールを締め付けたあと、力が抜けるマリエナを更に抱き締めてアデラールは震えた。
「愛している……愛しているんだ」
そのまま緩やかにマリエナの膣内を、何度も往復してアデラールは中に全てを吐き出した。
アデラールはソファーの上からぼんやりとベットのカーテン越しに二つの影が快楽を求め合う姿を見ていた。
叫んで止めたい気持ちもあるが、ぼんやりとして、身体が重くて動けない。
なんとか這ってベットへ辿り着き、ベットの端を登る。
金色の髪の毛が、銀色の髪の毛と混ざり合い、溶け合う。自分のマリエナへの最初のプレゼントである薬の香りの中、エクトルとマリエナは幸せそうに抱き合っていた。
「マリエ……ナ」
ベットが軋み、エクトルがアデラールに気付く。
エクトルは指先に魔力を込めてアデラールに飛ばした。
「あと少しだけ」
「大丈夫、夢だから」
マリエナにも認識障害の魔法を重ねがけする。
とろりと笑うマリエナにキスを落とす。
幸せな花嫁には不安なことなど何もない。
ただ、彼女は愛されて、幸せであればいい。
そのままマリエナへの誓いを果たして、エクトルは永遠に彼女を愛していくのだろう。
後ろから激しく貫かれてマリエナは快楽に啜り泣きのような声で喜ぶ。
「良いの、エクトル様……」
その声はか細く、彼の耳へと届くことはなかった。
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