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金色と碧のアデラール
しおりを挟む爽やかな朝日の中、マリエナは目を覚ました。
起きあがろうとして、身体がひどく重い事に気付く。
起きあがろうとして、お腹に力を入れると下半身から何かが出てくるのも感じた。
見ると透明な液がマリエナの性器からどろりと出てきている。そこから色々と思い出した。
昨夜もアデラールとセックスして、疲れ果てて見た夢でエクトル様ともセックスを……。
カッと顔が赤くなる。
エクトル様が私の事を愛してるって何度も言っていたなんて……私にまだエクトル様への未練があるのだわ。
虚しくなって笑う。
エクトル様が私の事を好きだなんてありえないのに、ね。
もし、もしもあんなに愛してるって言われたら……でもエクトル様に戻ることは出来ない。私も、アデラールも誰も幸せにならない。
ズキっと肩が痛み、見ると新たな歯形がついていた。
その歯形を愛おしそうに指でなぞる。
エクトルは自室にてひどく落ち込んでいた。
マリエナが起きた時、受け入れてくれている。そう勘違いした。彼女がああも柔らかく受け止めてくれたのはアデラールという奴にされている、と勘違いしていたからだ。
月さえ出なければ、眠りの魔法を受けて意識の朦朧とした彼女は最後まで奴に抱かれている、と認識していたのだろうか。肩を噛みさえしなければ、その痛みで目を覚ますこともなかったのだろうか。
何故、最初の時に優しくしてあげられなかったのか。いつから、アデラールと関係をしていたのか。
身体の様子から、はじめのときはまだ何もされていなかった。かつてはぴったりと閉じたマリエナは花開き快楽を覚え、蕩けていた。
キスも、自ら舌を絡めてきた。
エクトルの涙が溢れた。
「……愛している」
これから先彼女を抱きしめて、膣内を穿つのは、俺じゃ無い。
二度と自分のものになることは無い。
次から次に涙が落ち、マリエナの部屋から持ち帰った枕を抱きしめてにおいを嗅ぐ。
そこに金色の糸を見つけ、それをじっと見つめる。
マリエナはあの男のものになる。
せめて、その幸せを祈ろう。
その日からエクトルは未熟であった眠りの魔法を練習するようになった。
「エルー様ぁ!」
ひょっこりとメイドのアリスがノックもなしにエクトルの部屋に入る。
そして椅子に座るエクトルに後ろから抱きつく。
「うふふ、朝のお誘いに来ましたぁ」
エクトルの頬にキスをして、胸を背中に押し付ける。
――?
嫌だやめてくれと言っても、最後には顔を真っ赤にしてノリノリでアリスの中を楽しんでいたエクトルは、無反応だった。
前に回って、うふふ、と余裕ぶって笑いながらブラウスのボタンを全て外すアリス。
ブラごとおっぱいをエクトルの顔に押し付けて両脇からキュッキュッと挟んで刺激する。
「ほぉらぁ、我慢なんてしなくていいんですよ」
そう言いながら熱くなっているエクトルのアレをスラックスの上から撫で――。
「あれ?」
そこにあるはずのものが無かった。
ふにゃ、と何かはあるけれど……?
エクトルの前に跪き、あざとくエクトルを見上げながら口でチャックの金具を咥える。
じ、じ、じ、と下まで下ろしてパンツの隙間からエクトル自身を取り出す。
それは芯を持たず、ふにゃ、としたままだった。
動揺を隠しながらアリスはそのふにゃふにゃちんちんをぺろりと舐める。
全く何も反応してくれない。
そのまま口に含み、強弱をつけたり舌で撫でたり、持てる技術を駆使したけれど何も変わらなかった。
「気が済んだか?」
見上げると、そこにはかつて無いほどに冷めた目でこちらを見るエクトルがいた。
「もう、お前では勃たない」
二度とくるなと言われ、アリスは信じられなぃ!と、怒りながら出ていった。
マリエナなら。
マリエナのあの小さな舌でこの欲望の塊を舐められたりしたら……。
それは無くしたものが惜しくなる感情なのか、本当に好きだからなのか最早エクトルにも、わからなかった。
情けなくマリエナの唇を思い出しながら、エクトルは再び目的もない精子を吐き出すのだった。
少しずつ季節は流れ、貴族にしては短い準備期間を経て、今日マリエナとアデラールは結婚式を挙げる。
式を待つ間に花嫁の控室に花婿姿のアデラールがやってきた。
アデラールの金の瞳には純白の何物にも穢されることのないマリエナが写る。
「アディ!もう!会うのは式の時の楽しみにするって言っていたじゃない」
薄く笑うアデラールはポカポカ叩いてくるマリエナを眩しそうに見ている。
そのかわいい手を掴んで引き寄せる。
ちゅ、とキスを頬に落として綺麗だとアデラールは囁いた。
「逢いたかった、マリエナ」
そのまま抱き締めて、手がいやらしく動く。
「アディ、や、なに?」
ドレスから胸を出されて甘噛みしながら、スカートの下で不埒な動きをするアデラールの手。
マリエナの身体が快楽で震える。
そのまま下着を下ろされて、後ろからずぷりとアデラールが入り込んでくる。
「嘘っ!あっ!やだっ!アデラール!そんなっ」
口を塞ぐように手を当てられて、その大きな指を口内に入れられてしゃぶらされる。
「ん、ん、ん、ん!」
動かされる衝動で声が出る。
目の前のテーブルに縋るように体重を預けて、マリエナは混乱していた。
顔を動かされ、大きな鏡の方を見させられる。
そこにはいやらしく赤くなった顔をする淫らな花嫁がいた。
「ああっ!アディ!」
きゅう、とアデラールのペニスを締め付け呆気なくイくマリエナ。
マリエナが逝ったのにアデラールはそのまま激しく貫く。乳首をきゅうきゅうに摘まれて頭が狂いそうになる。
ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん
びゅる、びゅる、びゅる
ああ、また。
最近アデラールはマリエナの中に出すのを控えていたのに、最初の頃のように中に出してもらえた。
熱い精子を中に感じ満たされるような気分になるマリエナ。
ぬこ、とペニスを抜くとマリエナをひっくり返して腕の中に閉じ込めるように熱いキスを落としてくるアデラール。
そのキスに応えていると更に中にアデラールは入ってくる。
「あっ、あっ、あっ、あっ!」
ドレスからはみ出た胸が律動に合わせてぷるぷると動いてそれをアデラールは穴が開くほどに見ている。
恥ずかしくて、見てもらえるのが嬉しくて、アデラールの頭を撫でる。
「大きくなった」
そう言いながら胸を食べるように舐めるアデラール。
褒めてもらえたのが嬉しくて、笑いながらマリエナが言う。
「大きくしたのはアディでしょ」
一瞬、動きが止まり更に激しく貫かれてマリエナは何も考えられなくなる。
「きて!アディ!ああっ!好きなの!」
唸りながら中を蹂躙するアデラールはそのまま幾度も中に精を放つ。
びゅく、びゅく、びゅく
出る度に奥へ、奥へと押し込まれマリエナも絶頂から戻ってこれなくなる。
アデラールの金の瞳と熱く視線を絡めてキスをするのだった。
何事もなかったように式の時間には綺麗な装いに戻ったマリエナは片付けるだけ片付けして去っていったアデラールに怒っていた。
(時間ギリギリになって焦ったじゃない!アデラールったら)
父親とヴァージンロードを(はじめて歩くから処女じゃなくてもヴァージンで良いよね?)なんて考えながら静々と歩く。
その先には愛しくて憎らしいアデラールが居た。
碧の瞳を大きく開いた後に極上の微笑みを浮かべて私を迎えてくれた。
何かわからないが、違和感を感じた。
神官が祝詞をあげ、神に誓いを立て、アデラールに近づく。
そしてマリエナのヴェールを上げるとアデラールが笑いかけてきた。
「綺麗だよ、マリィ」
そう囁いて触れるだけのキスを落としてくる。
何かわからないが、マリエナの中に蟠りが渦巻いていた。
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