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勝手知ったる
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さて、ここで少しばかり時間をさかのぼりましょう。
ところかわって、宮殿の裏手ではアルマンとモモが離宮をめざしていました。敷地のすみっこに位置するそこへ向かうには、背高の植えこみにそって一直線に進むのが最短ルートです。
「ロワンジルは、俺たち以外めったに寄りつきません。王太后様の幽霊がでると噂があるので。けれど心配無用です、九分どおり現れません」
黄昏にそまる木々のかげをつたい歩きアルマンが言うと、なおいっそうモモはしょげかえりました。
「そうですか、残念です」
「意外ですね。怖くありませんか」
「ロランさんの大好きなおばあさまなら素敵な方だと思うので、幽霊でもお会いしてみたかったです」
「そうでしたか。期待させてすみません。じつはその噂、宮中の者たちに邪魔されず過ごすため、俺とロラン様で流したデマです」
植えこみが終点になると、ぱっと視界がひらけました。ここに来るまでいたるところが人工的な意匠だったのに対し、切りとられたように自然の風景。田舎じみた庭の奥には小規模な建物が見えます。
「どうしました、モモさん」
「いい場所ですね。素朴で」
「そうですね。伏魔殿にあって唯一、ロラン様がやすらげる場所です」
眺めにみとれて立ちつくしていたモモが下唇を噛みます。そんな大切なところで自分を守ってくれるのが、嬉しくも耐えられなくもありました。
「やはり戻りましょう。私だけ隠れるなんてできません」
「聞きわけのないこと言わないでください。あなたになにかあれば、俺は一生ロラン様に恨まれます」
「足手まといにはなりません。お約束します」
強い意志を宿す瞳は、まるで今までと別人。アルマンの胸のうち、しまいこんでいた黒いもやが鎌首をもたげます。
「ずっと思ってたんですが、モモさん、本当は何者なんですか」
疑念が顕在化し空気がピリッと締まると、強固だった彼女の目が揺るぎました。
が、やがて決心したらしく唇を開きかけたそのとき、背後から妨害するものが。
「誰だ、そこにいるのは」
声の主は宮廷内の兵たちとは違う制服の、剣をたずさえた壮年の男でした。ロラン王子を目の敵にしている、でっぷり肥えた大臣の私兵隊長です。
「見慣れない格好を……ん? おい、お前アルマンじゃないか! てことは、ロラン王子も近くにいるかもしれないぞ、探せ!」
随伴の部下たちに指示。その虚をついて、彼を敵と即断したアルマンが微塵の躊躇なくこめかみを殴りつけました。
隊長は失神。部下たちがどよめきます。
「まじかこいつ!」「なんかヤベェ!」「くそっ、先に女だ!」
アルマンとやりあっても勝てないと踏んだ彼らはモモに狙いをつけましたが、彼女は両手で控えめに裾をからげながら、襲ってくる者たちを軽々すり抜けます。
「うわ、すっげえ逃げる!」「そっち行ったぞ。早く捕まえろ!」
けれども頭のほうにきた腕をかわした拍子、ロラン王子から贈られた八重桜の飾りが落ちたのを拾おうとして、まんまと捕らえられてしまいました。
「手間、かけさせ、やがって……!」
息もたえだえ、三下然とした若者がモモを後手にします。彼女が敵を翻弄していたあいだ、三人ほどブッ倒したアルマンは太刀に手をかけました。
「同胞と剣をまじえるのは気が進みません。退いてもらえませんか」
「嘘つけ、やる気まんまんだろ! 隊長のこと瞬殺しやがって!」
「よく見てください、死んでません」
「実際の生き死には関係ねえよ!」
「いずれにしろ兵士ならば死は覚悟のうえでしょう」
「俺は非正規雇用だ! お前らの矜持なんか知るか、バーカ!」
大臣の人望不足による人材不足は深刻で、私兵隊は隊長以外すべて傭兵でした。ゆえに、この男も金で臨時に雇われただけ。志もへったくれもありません。
「でしたら、なおさら相手をするのは避けたいのですが」
「じゃあ、お前も大人しく捕まってもらおうか。さもないと、この女が……」
「しかたありません。モモさん、ご自身で対処をお願いします」
開いた口がふさがらない三下男。アルマンは柄から手を離します。
「先ほど見たあなたの実力なら、その程度の輩どうにだってできるでしょう」
「でも、痛い思いをさせるのはかわいそうです」
拘束されながらも、モモは相手の心配をしています。自分より体の小さい年下の女の子にそんなことを言われ、三下は憤慨。
「お前なめてんのか!」
「どうか逃げてください。私が手をくださなくても、アルマンさんが本気になってしまったら、あなたは無傷じゃいられません」
「うるせえ! どう考えても現状こっちが有利だろ!」
「いいえ、ほんの少しだけでも隙をつくれば、彼は必ずあなたを攻撃します。むやみに誰かが傷つくのは見たくありません。見逃すよう約束してもらいますから、どうか私を解放してください」
「そんなのに騙されるほど甘くねーわ! こっちは報奨金かかってんだよ! それに、うちの雇い主さまは評判の好色豚野郎だからな、お前を連れてきゃ礼をはずんでもらえ……」
言葉なかば、ゴッと鈍い音がしたかと思うと、男は白目をむいて倒れこみました。
知らぬうち彼の背後に立っていた人物が、それを蔑む目つきで見おろします。
西日にきらめく金色の髪。この国の嫡子であるレオン王太子です。
それを契機、彼らのまわりで動静を探っていた残りの兵がばったばったと倒れました。レオン王太子の側近の青年二人――褐色の肌をした屈強な武人と、白いローブをまとったキノコみたいな髪型の魔術師のしわざです。
「王太子殿下、どうしてこちらに。騎士団と北へ行かれたのでは」
アルマンが謹んで片膝をつきます。
「盗賊どもは鎮圧した。事後処理は騎士団長に任せてある。お前こそ、なぜここにいる。ロランはどうした」
アルマンが経緯を話すあいだ、土に汚れた八重桜をモモが丁寧に拾いあげます。攻防のどさくさ|三下男に踏んだり蹴ったりされたせいで、ぐにゃぐにゃに曲がって花びらが何枚かもげています。
涙ぐむ彼女にレオン王太子が心づきました。
「この者は」
「ニリオン国の娘さんです。チヨさんのところで厄介になっている」
紹介されたモモがお辞儀。しかし、レオン王太子はそれよりも深く頭をさげました。
「我が国の人間が失礼なことをした。すまない」
「そんな恐れ多いこと……! 私は大丈夫ですから」
「その髪飾りはあとで修理させよう」
「いえ、どうかこのままで」
「だが、大事なものなのだろう」
「大事だからこそ、自分の手でなおしたいんです」
「ほう、随分と殊勝なことを言う」
と、そばにいた魔術師が鼻をひくつかせて宙を嗅ぎ、レオン王太子の上着の裾をひっぱります。
「玉座の間あたりで変な感じがする。移動は術じゃないほうがいいかも」
「そうか。みなが案じられる、急ごう」
立ち去ろうとするレオン王太子の正面、モモがまわりこみます。
「お願いします、私も一緒に連れていってください!」
必死にすがりつく琥珀色の目。レオン王子はその奥の光を見極めると、
「いいだろう、ついてこい」
王太子の決断には、誰も異を唱えられません。
ロラン王子の叱責を予見、アルマンは諦念の息を忍びはきました。
ところかわって、宮殿の裏手ではアルマンとモモが離宮をめざしていました。敷地のすみっこに位置するそこへ向かうには、背高の植えこみにそって一直線に進むのが最短ルートです。
「ロワンジルは、俺たち以外めったに寄りつきません。王太后様の幽霊がでると噂があるので。けれど心配無用です、九分どおり現れません」
黄昏にそまる木々のかげをつたい歩きアルマンが言うと、なおいっそうモモはしょげかえりました。
「そうですか、残念です」
「意外ですね。怖くありませんか」
「ロランさんの大好きなおばあさまなら素敵な方だと思うので、幽霊でもお会いしてみたかったです」
「そうでしたか。期待させてすみません。じつはその噂、宮中の者たちに邪魔されず過ごすため、俺とロラン様で流したデマです」
植えこみが終点になると、ぱっと視界がひらけました。ここに来るまでいたるところが人工的な意匠だったのに対し、切りとられたように自然の風景。田舎じみた庭の奥には小規模な建物が見えます。
「どうしました、モモさん」
「いい場所ですね。素朴で」
「そうですね。伏魔殿にあって唯一、ロラン様がやすらげる場所です」
眺めにみとれて立ちつくしていたモモが下唇を噛みます。そんな大切なところで自分を守ってくれるのが、嬉しくも耐えられなくもありました。
「やはり戻りましょう。私だけ隠れるなんてできません」
「聞きわけのないこと言わないでください。あなたになにかあれば、俺は一生ロラン様に恨まれます」
「足手まといにはなりません。お約束します」
強い意志を宿す瞳は、まるで今までと別人。アルマンの胸のうち、しまいこんでいた黒いもやが鎌首をもたげます。
「ずっと思ってたんですが、モモさん、本当は何者なんですか」
疑念が顕在化し空気がピリッと締まると、強固だった彼女の目が揺るぎました。
が、やがて決心したらしく唇を開きかけたそのとき、背後から妨害するものが。
「誰だ、そこにいるのは」
声の主は宮廷内の兵たちとは違う制服の、剣をたずさえた壮年の男でした。ロラン王子を目の敵にしている、でっぷり肥えた大臣の私兵隊長です。
「見慣れない格好を……ん? おい、お前アルマンじゃないか! てことは、ロラン王子も近くにいるかもしれないぞ、探せ!」
随伴の部下たちに指示。その虚をついて、彼を敵と即断したアルマンが微塵の躊躇なくこめかみを殴りつけました。
隊長は失神。部下たちがどよめきます。
「まじかこいつ!」「なんかヤベェ!」「くそっ、先に女だ!」
アルマンとやりあっても勝てないと踏んだ彼らはモモに狙いをつけましたが、彼女は両手で控えめに裾をからげながら、襲ってくる者たちを軽々すり抜けます。
「うわ、すっげえ逃げる!」「そっち行ったぞ。早く捕まえろ!」
けれども頭のほうにきた腕をかわした拍子、ロラン王子から贈られた八重桜の飾りが落ちたのを拾おうとして、まんまと捕らえられてしまいました。
「手間、かけさせ、やがって……!」
息もたえだえ、三下然とした若者がモモを後手にします。彼女が敵を翻弄していたあいだ、三人ほどブッ倒したアルマンは太刀に手をかけました。
「同胞と剣をまじえるのは気が進みません。退いてもらえませんか」
「嘘つけ、やる気まんまんだろ! 隊長のこと瞬殺しやがって!」
「よく見てください、死んでません」
「実際の生き死には関係ねえよ!」
「いずれにしろ兵士ならば死は覚悟のうえでしょう」
「俺は非正規雇用だ! お前らの矜持なんか知るか、バーカ!」
大臣の人望不足による人材不足は深刻で、私兵隊は隊長以外すべて傭兵でした。ゆえに、この男も金で臨時に雇われただけ。志もへったくれもありません。
「でしたら、なおさら相手をするのは避けたいのですが」
「じゃあ、お前も大人しく捕まってもらおうか。さもないと、この女が……」
「しかたありません。モモさん、ご自身で対処をお願いします」
開いた口がふさがらない三下男。アルマンは柄から手を離します。
「先ほど見たあなたの実力なら、その程度の輩どうにだってできるでしょう」
「でも、痛い思いをさせるのはかわいそうです」
拘束されながらも、モモは相手の心配をしています。自分より体の小さい年下の女の子にそんなことを言われ、三下は憤慨。
「お前なめてんのか!」
「どうか逃げてください。私が手をくださなくても、アルマンさんが本気になってしまったら、あなたは無傷じゃいられません」
「うるせえ! どう考えても現状こっちが有利だろ!」
「いいえ、ほんの少しだけでも隙をつくれば、彼は必ずあなたを攻撃します。むやみに誰かが傷つくのは見たくありません。見逃すよう約束してもらいますから、どうか私を解放してください」
「そんなのに騙されるほど甘くねーわ! こっちは報奨金かかってんだよ! それに、うちの雇い主さまは評判の好色豚野郎だからな、お前を連れてきゃ礼をはずんでもらえ……」
言葉なかば、ゴッと鈍い音がしたかと思うと、男は白目をむいて倒れこみました。
知らぬうち彼の背後に立っていた人物が、それを蔑む目つきで見おろします。
西日にきらめく金色の髪。この国の嫡子であるレオン王太子です。
それを契機、彼らのまわりで動静を探っていた残りの兵がばったばったと倒れました。レオン王太子の側近の青年二人――褐色の肌をした屈強な武人と、白いローブをまとったキノコみたいな髪型の魔術師のしわざです。
「王太子殿下、どうしてこちらに。騎士団と北へ行かれたのでは」
アルマンが謹んで片膝をつきます。
「盗賊どもは鎮圧した。事後処理は騎士団長に任せてある。お前こそ、なぜここにいる。ロランはどうした」
アルマンが経緯を話すあいだ、土に汚れた八重桜をモモが丁寧に拾いあげます。攻防のどさくさ|三下男に踏んだり蹴ったりされたせいで、ぐにゃぐにゃに曲がって花びらが何枚かもげています。
涙ぐむ彼女にレオン王太子が心づきました。
「この者は」
「ニリオン国の娘さんです。チヨさんのところで厄介になっている」
紹介されたモモがお辞儀。しかし、レオン王太子はそれよりも深く頭をさげました。
「我が国の人間が失礼なことをした。すまない」
「そんな恐れ多いこと……! 私は大丈夫ですから」
「その髪飾りはあとで修理させよう」
「いえ、どうかこのままで」
「だが、大事なものなのだろう」
「大事だからこそ、自分の手でなおしたいんです」
「ほう、随分と殊勝なことを言う」
と、そばにいた魔術師が鼻をひくつかせて宙を嗅ぎ、レオン王太子の上着の裾をひっぱります。
「玉座の間あたりで変な感じがする。移動は術じゃないほうがいいかも」
「そうか。みなが案じられる、急ごう」
立ち去ろうとするレオン王太子の正面、モモがまわりこみます。
「お願いします、私も一緒に連れていってください!」
必死にすがりつく琥珀色の目。レオン王子はその奥の光を見極めると、
「いいだろう、ついてこい」
王太子の決断には、誰も異を唱えられません。
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