七不思議をつくろう

真山マロウ

文字の大きさ
35 / 65
第四の不思議

一致団結

しおりを挟む
 放課後までずっと、鬼塚くんからの伝言をどうするか迷っていた。嫌な気分になるのがわかるから、みんなには言いたくない、できれば。

「お待たせ。遅くなってごめんね」
 理事長室からの足どりも重く、いつもより時間がかかった。もちろん、誰もそれを責めたりしてこない。
「今日は海老煎餅だって」

 箱をひらく。丁寧に個包装。一枚いただく。手のひらより一回り小さい、ギザついたピンクベージュの円形。ざくっと噛みしめたら海老の香りが鼻の奥まで広がった。旨味もぎゅぎゅっと凝縮。噛めば噛むほど海老感が強くなって……これはもはや海老!

「鬼塚に呼びだされたらしいな」
 夏木くんに言われ、海老まみれの世界から呼び戻される。
「どうして知ってるの。クラスのやつとか見てたりする?」
「なんだそれ」

 メッセージアプリのグループを説明。夏木くんはピンときていなかったけれど、義井くんと志倉くんは、
「僕はチェックしてる。七不思議のことも気になるし」
「俺も一応。情報は共有しておいたほうが、なにかとスムーズだ」

 福谷さんは、あまり興味がなさそうだ。
「今は見てないです。悪ふざけとかが増えてから面倒くなりました」
 夏木くんは言わずもがな。存在すら知らなかった。

「それで、なんだったんですか、鬼塚くんのは」
 福谷さんの瞳が好奇心に輝く。どのみちどこからか情報がまわってくるなら、ここで話したほうがいいのかも。

「七不思議やめてほしいって」
「えっ、なんでですか!」
「風紀を乱すだとかで」
「風紀? 乱してますかね?」

 インチキという単語を使わず説明しようとしていたのに、
「インチキ臭えことやってるからじゃねの」
 夏木くん、きみってやつは人の苦労も知らないで。

「エンタメとして楽しむよう伝えてはいるが、真にうけるやつがいるかもしれないしな。効果がなければ逆恨みされることもある。鬼塚は、そこを心配しているんじゃないか」
 すかさず志倉くんが補足。こういう言い方なら、私だって理解も納得もしやすい。

「で、どうするんだ。俺は続けたいと思っている。物事を途中でやめるのはしょうにあわない」
 意思表示に、福谷さんと義井くんは、
「私もです。こんなに楽しいことやめられません!」
「僕も。それに、鬼塚くんのとりこし苦労になるかもしれないし」
 夏木くんは「どっちでもいい」と聞くまでもない。

 私は……。
「続けたい。せっかく、ここまできたんだから」
 七つ揃ってこその七不思議。三不思議で終わらせるわけにはいかないでしょ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...