七不思議をつくろう

真山マロウ

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第五の不思議

押し負けた結果

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 さらなるごり押しに負け、動画撮影も翌日になった。懸念はゴスロリの正体。特定できても口外しないと香西さんは約束したが、どこまで信じていいか。なにかの拍子で、むちゃなことをしないとも限らない。

「嫌ならやめますか」
 メイクをしてくれていた福谷さんが手をとめる。顔がこわばっていたのが伝わったみたいだ。

「ありがとう、大丈夫だよ」
「でも、無理してまで続けるようなことじゃありませんよ」
 メイクブラシが置かれる。私が望めば本気で撮影を中止してくれるつもりだ。

「ごめんね、気をつかわせちゃって。でも本当に平気。ただ……」
 親身な福谷さんの真心に応えたくなった。これまで誰にもあかさなかった、本音をさらけだす。
「私、最低なんだ。ゴスロリの正体わかってもバラさないって約束してもらえたけど、信じられなくて。香西さんだからってわけじゃなく。人間不信なのかも」

 性格悪いとか思われたかな。やっぱり言わなきゃよかったかな。後悔がかけめぐる。が、福谷さんは意に介さず。

「安心してください。もし香西さんが約束を破ったら、ひっぱたいてやります」
「えっ! だめだよ、暴力は」
「早くて確実ですよ」
「だとしても、ほんと暴力だけはだめ。絶対だよ」
「じ、冗談です。叩いたりしませんよ」

 たぶん、って小さくつけ加えたの、聞きのがしてないよ。
「暴力ふるわないって約束して。そしたら私、ちゃんと信じるから」
 ココア色の虹彩が、瞬きもせず見つめてくる。
「わかりました。約束します。私は中垣さんを裏切りません」
 さしだされた小指に自分のをからめる。こんなことしたの何年ぶりだろう。

 指きりのあと福谷さんは、てきぱきとヘアメイクを完成させた。みんなの待つ教室に向かう。膨らんだスカートと高めのヒール靴で歩くのも、だいぶ慣れた。

「わ、本物だ。写真とってもいい?」
 私を見た香西さんがスマホを構える。
「あれ? もしかしてゴスロリちゃんって……」
 喋らないつもりでいたけれど、こうなったら観念するしかない。

「お願い、内緒にしてて」
「やっぱり中垣さんだ。なんで隠すの? 正体知りたがってる人けっこういるんだし、教えてあげたらいいのに」
「目立つのは避けたくて。それにメインは七不思議だから」
「ふーん。ま、そっちのほうが謎めいてて注目されそうだもんね。ゴスロリちゃんファン多いし」

 密かに加工された画像も出まわっているそうだ。それは単なるイジリなのでは。一刻も早く、心底やめてほしい。
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