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序幕
序幕③
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6月16日。午前11時45分。
『特殊部隊』本部・リビングにて。
リビングに来たエイリスは、ソファーに座り、机の上に置いてあった本を手に取り、無言で開く。だが、そんな彼の耳に聞きなれた声が入ってくる。
「エイリス、また本を読んでいるのか?」
声がした方を見ると、右目に眼帯をした焦げ茶色の髪をした青年・ルアンがいた。いつもと変わらない黒のシャツ姿だった。
「ウゲェッ……兄貴いたのかよ……」
嫌そうな顔をするエイリスに、「ウゲェッとはなんだ。私悲しいぞ」と、分かりやすく落ち込むルアン。
「で、エイリス。本ばかり読んで飽きないのか?」
「うるさい、兄貴には関係ないでしょ。あっち行け」
ツンとしたエイリスの態度にまた、分かりやすく落ち込むルアン。だが一瞬にして立ち直り、言葉を紡ぎ始める。
「じゃ、お兄ちゃんは『検診』に行ってくるぞ!」
「あっそ。早く行けば?」
バイバーイと、目を合わせず適当に手を振るエイリスに悲しくなったルアンだったが、「では、行ってくる」と言い残し、リビングを後にしたのであった。
ーーーーーーーーーーーー
6月16日。午後20時51分。
首都『東京』・街中にて。
暗い夜道に輝く金髪。小柄の可愛らしい青年・ライナが、地面に倒れている人物を覗き込んでいた。
「あれ?もう終わりなの?んふふ!早いねぇ」
ライナは楽しそうに笑う。鈍色の軍服に、外套を羽織り、癖毛の金髪の左側には黒いリボンが結ばれている。彼の目は特徴的なオッドアイで、右目が青色、左目が灰色の瞳だった。
「始まってまだ、少しも立ってないのに……お前は、弱いんだね」
ニコニコと笑いながらそう言葉を紡ぐ青年。床に倒れていた男性は、怯えていた。
「な、なんなんだよ!お前は!」
「え、僕?うーんとね……お前たちが散々言ってる『化け物』だよ」
男性の目の前に右手を出すライナ。彼の顔は笑顔であったが、目が全然笑っていなかった。
「僕の能力は、『人型をしたモノを操ることができる』。お前の手を操って、お前がお前を殺すことだってできる」
すると、男性の意思関係なく、彼の右手が動き始め、ゆっくりと男性の首へと動いていく。
「お人形遊びはもう飽きた。これでおしまい」
男性が恐怖で怯える中、ライナはニッコリと楽しそうな笑みを浮かべた。
ーーーーーーーーーー
冷たくなっている男性を見つめながら立ち上がるライナ。そんな彼の耳に声が聞こえてくる。
「ライナ!やっと見つけた!」
振り向くと、黒い鎖骨服のような軍服に身を包んだ、小柄な黒髪の青年がこちら側へ走ってくる。彼の黒髪は、癖一つないストレートでありながら、長過ぎず短すぎない整えられた髪型をしていた。両手には、質素な黒地の手袋がはめてある。
「あ!ノエル!!」
ライナはノエルと呼んだ青年を見るなり、走って行き、ギュッ!抱き締める。自身を抱き締めているライナの頭を優しく撫でながらノエルは口を開く。
「もう。今までなにしてたの。急に先に行って……」
「ごめん、ごめん!『お目当ての人間』を見つけたから……つい……」
「大丈夫。謝らなくて良いよ、ライナ」
そう言って、ノエルはライナの頭を撫でる。
「ところで、ライナ。この地面に倒れてる人間がお目当ての?」
「うん!!もう、動かないから安心して!!」
「分かった。じゃ、本部に帰ろう。ルアンやイオたちが待ってるから」
ノエルの言葉に「うん!」と、元気に頷くライナ。彼の返事を聞いたノエルは、「さぁ、行こうか」と微笑んだ。
『特殊部隊』本部・リビングにて。
リビングに来たエイリスは、ソファーに座り、机の上に置いてあった本を手に取り、無言で開く。だが、そんな彼の耳に聞きなれた声が入ってくる。
「エイリス、また本を読んでいるのか?」
声がした方を見ると、右目に眼帯をした焦げ茶色の髪をした青年・ルアンがいた。いつもと変わらない黒のシャツ姿だった。
「ウゲェッ……兄貴いたのかよ……」
嫌そうな顔をするエイリスに、「ウゲェッとはなんだ。私悲しいぞ」と、分かりやすく落ち込むルアン。
「で、エイリス。本ばかり読んで飽きないのか?」
「うるさい、兄貴には関係ないでしょ。あっち行け」
ツンとしたエイリスの態度にまた、分かりやすく落ち込むルアン。だが一瞬にして立ち直り、言葉を紡ぎ始める。
「じゃ、お兄ちゃんは『検診』に行ってくるぞ!」
「あっそ。早く行けば?」
バイバーイと、目を合わせず適当に手を振るエイリスに悲しくなったルアンだったが、「では、行ってくる」と言い残し、リビングを後にしたのであった。
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6月16日。午後20時51分。
首都『東京』・街中にて。
暗い夜道に輝く金髪。小柄の可愛らしい青年・ライナが、地面に倒れている人物を覗き込んでいた。
「あれ?もう終わりなの?んふふ!早いねぇ」
ライナは楽しそうに笑う。鈍色の軍服に、外套を羽織り、癖毛の金髪の左側には黒いリボンが結ばれている。彼の目は特徴的なオッドアイで、右目が青色、左目が灰色の瞳だった。
「始まってまだ、少しも立ってないのに……お前は、弱いんだね」
ニコニコと笑いながらそう言葉を紡ぐ青年。床に倒れていた男性は、怯えていた。
「な、なんなんだよ!お前は!」
「え、僕?うーんとね……お前たちが散々言ってる『化け物』だよ」
男性の目の前に右手を出すライナ。彼の顔は笑顔であったが、目が全然笑っていなかった。
「僕の能力は、『人型をしたモノを操ることができる』。お前の手を操って、お前がお前を殺すことだってできる」
すると、男性の意思関係なく、彼の右手が動き始め、ゆっくりと男性の首へと動いていく。
「お人形遊びはもう飽きた。これでおしまい」
男性が恐怖で怯える中、ライナはニッコリと楽しそうな笑みを浮かべた。
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冷たくなっている男性を見つめながら立ち上がるライナ。そんな彼の耳に声が聞こえてくる。
「ライナ!やっと見つけた!」
振り向くと、黒い鎖骨服のような軍服に身を包んだ、小柄な黒髪の青年がこちら側へ走ってくる。彼の黒髪は、癖一つないストレートでありながら、長過ぎず短すぎない整えられた髪型をしていた。両手には、質素な黒地の手袋がはめてある。
「あ!ノエル!!」
ライナはノエルと呼んだ青年を見るなり、走って行き、ギュッ!抱き締める。自身を抱き締めているライナの頭を優しく撫でながらノエルは口を開く。
「もう。今までなにしてたの。急に先に行って……」
「ごめん、ごめん!『お目当ての人間』を見つけたから……つい……」
「大丈夫。謝らなくて良いよ、ライナ」
そう言って、ノエルはライナの頭を撫でる。
「ところで、ライナ。この地面に倒れてる人間がお目当ての?」
「うん!!もう、動かないから安心して!!」
「分かった。じゃ、本部に帰ろう。ルアンやイオたちが待ってるから」
ノエルの言葉に「うん!」と、元気に頷くライナ。彼の返事を聞いたノエルは、「さぁ、行こうか」と微笑んだ。
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