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壱幕
監視一日目
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6月17日 午前9時37分
『特殊部隊』本部・リビングにて。
「今日から新しく監視役になります!佐藤類です!よろしくお願いします!」
お辞儀をする類を見たエイリスは、本を閉じ類を睨み付ける。
「で?何?どっかいけよ」
彼の態度に、顔をあげながら唖然とする類。そんな彼の前にライナが近寄ってくる。胸元や袖などにあるフリルやレースが可愛らしいシャツを身に付け、七分丈の黒いズボン。彼の姿は可愛らしかった。
「へぇー君が新しい監視役なんだね!僕ライナって言うんだ!よろしくね!」
「はい、よろしくお願いします!」
類は差し出された手を握り返す。だが、握り返した瞬間、グイッと顔を近付けられた。
「お前も未来みたいにノエルをいじめるなよ?」
「え?」
感情が少しも籠っていないライナの声に驚く類。ライナは、淡々と言葉を紡ぎ続けた。
「あれ本当に嫌だったんだよね。ノエルとても悲しんでた。怖がってた……分かる?」
「え、あ、えーと……」
圧にたじろぐ類を無視して、ライナは淡々と、静かに、冷たく言葉を話続ける。
「怖いって、苦しいって。もしさ、お前が兵隊さんを虐めるようなことしたら、王子が許さないから」
黙っている類を見たライナは近付けていた顔を引き離し目が笑っていない笑みを浮かべる。
「んふふ!よろしくね!監視役!!」
「え、あ、はい……」
類の返事を聞いたライナは「じゃぁね」と踵を返し、リビングから去っていった。
無言だったエイリスも苛立ちながら椅子から立ち上がりその場を後にし、リビングに一人取り残される類。そんな彼にある人物が後ろから声をかけられた。
「あの、貴方が新しい監視役ですか?」
後ろを振り返るとそこには、ビトリアが大福が入った皿をもって立っていた。ピシッ!とつけたシャツ。ズボンもシワ一つない、綺麗で、清潔感溢れる着こなしをしているビトリア。
「はい。佐藤 類って言います」
類の言葉を聞いたビトリアは目を輝かせる。
「僕ビトリアって言います!!よろしくお願いします!」
ビトリアはお辞儀をしたあと、なにか思い出したかのか、皿を類に差し出した。
「あの……お近づきの印にこれを……」
「大福……?」
訝しげに大福を見つめる類に、元気よく頷くビトリア。
「はい!僕が作りまして……その……お近づきの印にどうかなぁと……」
毒が入ってそうで怖い……相手は化け物だ。
何を考えているのか分からない。
僕を毒で一気に殺すことだって考えているだろう。
だって彼らは人ではないのだから。
怪訝そうな顔をしている類を見たビトリアは慌てて口を開く。
「毒とか入っていませんので!!どうぞ!!ちゃんと『イオさん』に毒味をして貰いましたので!!毒が入っていないのは本当です!!」
「本当?」
「本当です!!」
類の言葉に、全力で頷くビトリア。
信じても良いのかな……。
悩んだ末、類は大福を受け取ることにした。
「ありがとう。いただくね」
「ありがとうございます!!」
受け取ってくれたことに嬉しくなったビトリアはまた勢いよくお辞儀をした。
『特殊部隊』本部・リビングにて。
「今日から新しく監視役になります!佐藤類です!よろしくお願いします!」
お辞儀をする類を見たエイリスは、本を閉じ類を睨み付ける。
「で?何?どっかいけよ」
彼の態度に、顔をあげながら唖然とする類。そんな彼の前にライナが近寄ってくる。胸元や袖などにあるフリルやレースが可愛らしいシャツを身に付け、七分丈の黒いズボン。彼の姿は可愛らしかった。
「へぇー君が新しい監視役なんだね!僕ライナって言うんだ!よろしくね!」
「はい、よろしくお願いします!」
類は差し出された手を握り返す。だが、握り返した瞬間、グイッと顔を近付けられた。
「お前も未来みたいにノエルをいじめるなよ?」
「え?」
感情が少しも籠っていないライナの声に驚く類。ライナは、淡々と言葉を紡ぎ続けた。
「あれ本当に嫌だったんだよね。ノエルとても悲しんでた。怖がってた……分かる?」
「え、あ、えーと……」
圧にたじろぐ類を無視して、ライナは淡々と、静かに、冷たく言葉を話続ける。
「怖いって、苦しいって。もしさ、お前が兵隊さんを虐めるようなことしたら、王子が許さないから」
黙っている類を見たライナは近付けていた顔を引き離し目が笑っていない笑みを浮かべる。
「んふふ!よろしくね!監視役!!」
「え、あ、はい……」
類の返事を聞いたライナは「じゃぁね」と踵を返し、リビングから去っていった。
無言だったエイリスも苛立ちながら椅子から立ち上がりその場を後にし、リビングに一人取り残される類。そんな彼にある人物が後ろから声をかけられた。
「あの、貴方が新しい監視役ですか?」
後ろを振り返るとそこには、ビトリアが大福が入った皿をもって立っていた。ピシッ!とつけたシャツ。ズボンもシワ一つない、綺麗で、清潔感溢れる着こなしをしているビトリア。
「はい。佐藤 類って言います」
類の言葉を聞いたビトリアは目を輝かせる。
「僕ビトリアって言います!!よろしくお願いします!」
ビトリアはお辞儀をしたあと、なにか思い出したかのか、皿を類に差し出した。
「あの……お近づきの印にこれを……」
「大福……?」
訝しげに大福を見つめる類に、元気よく頷くビトリア。
「はい!僕が作りまして……その……お近づきの印にどうかなぁと……」
毒が入ってそうで怖い……相手は化け物だ。
何を考えているのか分からない。
僕を毒で一気に殺すことだって考えているだろう。
だって彼らは人ではないのだから。
怪訝そうな顔をしている類を見たビトリアは慌てて口を開く。
「毒とか入っていませんので!!どうぞ!!ちゃんと『イオさん』に毒味をして貰いましたので!!毒が入っていないのは本当です!!」
「本当?」
「本当です!!」
類の言葉に、全力で頷くビトリア。
信じても良いのかな……。
悩んだ末、類は大福を受け取ることにした。
「ありがとう。いただくね」
「ありがとうございます!!」
受け取ってくれたことに嬉しくなったビトリアはまた勢いよくお辞儀をした。
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