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壱幕
化け物と監視役
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6月17日。午前9時40分
『特殊部隊』本部・リビングにて
類は、持っていた資料とビトリアから貰った大福を机の上に置いた後、席について大福を一口食べる。
「美味しい……」
一人手作りの大福に舌鼓をうっている時、リビングにエイリスが戻ってた。
「は?お前まだいたの」
エイリスは、類を見るなり嫌そうにため息をつき、席に座る。だが突然、類に話しかけた。
「ねぇ、お前監視役なんでしょ?僕の名前言わずとも分かるよね?」
エイリスの言葉を聞いた類は机の上に置いていた資料を探し始める。
そして、何かを見つけたのか、資料に目を通しながら言葉を紡いだ。
「えーと……エイリス……くんだよね?」
「正解」
エイリスがめんどくさそうにそう言うと同時に、類の目先に本の角が現れる。見るとそれは、エイリスが手にしていた本だった。冷や汗が類の頬を伝う。
エイリスは冷たく淡々と言葉を紡ぎ始める。
「お前だよ、めんどくさいの。新米とかなんとか知らないんだけどさ……目障りなんだよ。気が散る」
「あと、言っておくけど僕らは化け物じゃない。僕らは好きで『こんな体』になった訳じゃない」
怒りを宿した目が類を見つめる。
「お前らが散々満足するまで……やってきたくせに」
「やって……きた……?それ、どう言うこと?」
類はエイリスに問いかけたが、彼はニヤリと笑う。
「僕さ、監視役を凍り付けにしたらどうなるか気になるんだよね。でも『上の奴らからやるなって命令されているからできないんだよね』。あーあ、本当にめんどくさい」
イラつきながらそう言ったエイリスは手を下ろし、席から立ち上がると、どこかに行ってしまった。
被験者 エイリス
能力 冷気
自身の体温または周囲の気温を低下させることができる。
凍結も可能
代償 味覚障害
ーーーーーーーーー
大福を食べ終えた類はお皿を置こうと、隣接した台所へ行こうと、立ち上がった瞬間、濃い茶色の髪の青年と薄い茶色の髪が来た。
「おや?新しい監視役さんですか。随分お早いことで」
濃い茶色の髪の青年はクスクスと楽しそうに笑った。目は黒い布で隠されているため分からない。彼は黒の軍服に身を包んでいた。手には黒の手袋をはめている。
一方、薄い茶色の髪をした青年はこちらを冷めた目で見ていた。彼もまた、軍服に身を包み込んでいたが、手袋の方は、指先が見える手袋をはめていた。類は彼ら二人に自己紹介を始める。
「初めまして今日から監視役になりました佐藤類と言います」
お辞儀をする類を見た、濃い茶色の髪をした青年・ケイは、クスクスと笑いながら言葉を紡ぐ。
「ご丁寧に自己紹介ありがとうございます。だけど、どうでも良いです。貴方の自己紹介なんて」
「え……」
彼の言葉に唖然とする類。青年は楽しそうに言葉を紡ぎ続ける。
「短い命なのでしょ?だったら……名前なんて名乗らなくて結構」
何も言えずにその場に立っている類を見ていた薄い茶色の髪をした青年が口を開く。
「お前らも怖がるんだな」
「!?」
類は驚いて黙っていた青年を見る。冷めた目をずっとこちら側に向けている青年。
彼を見た類は、資料で見た情報を思い出した。
彼って、人殺しの……未来さんから教えられた。上官からも。それに、渡された資料にもそう書いてあった。
怖がりながらも類は口を開く。
「監視役に手を出したら、また『地下牢』に入れることだって出きるんですよ?」
彼の言葉を聞いた薄い茶色の髪をした青年が明らかに動揺し始めた。
「どうして、それを……知って……」
「僕は監視役なんです。ある程度は知っているんですよ。貴方がやった殺人のことだって」
類が見て分かる程、青年は明らかに動揺していた。
「あそこには居たくない。戻りたくない。言われた通りにしないと……あそこは……あそこには……行きたくない。居たくない……」
動揺で過呼吸になりかけた青年を、濃い茶色の髪の青年が宥める。
「ジン、大丈夫。落ち着いて」
ジンと呼ばれた青年を宥めながら濃い茶色の髪をした青年は口を開く。
「さすが監視役ですね。人の心もない。では、僕のことも分かりますよね?」
青年の問いに怖がりながらも類は答えた。
「……ケイ……くんでしょ?」
彼は大量虐殺をした張本人……『紅目《あかめ》のメドゥーサ』。前の大戦で大勢の命を奪った化け物。
「ご名答です。僕はケイと言います」
濃い茶色の髪をした青年 ケイは微笑んだ。
「僕たちのことは知っていますね。では『僕ら以外の特殊部隊の隊員』のことも知っていますね」
「彼らって……」
「では僕たちはこれで。頑張ってくださいね、監視役さん」
被験者 ジン
能力 常人よりはるかに力が強い
暴走一回あり
人殺しのため要注意。
もし危害を加えられた場合、発砲を許可する。
代償 強い作用のある鎮静剤を服用しないといけない激しい痛みを全身に持っている。
被験者 ケイ
能力 目を合わせたモノを石化させることができる。
大量虐殺をした張本人『紅目のメドゥーサ』。
発砲の許可あり
代償 能力を長時間使い続けると血液の涙を流す。
『特殊部隊』本部・リビングにて
類は、持っていた資料とビトリアから貰った大福を机の上に置いた後、席について大福を一口食べる。
「美味しい……」
一人手作りの大福に舌鼓をうっている時、リビングにエイリスが戻ってた。
「は?お前まだいたの」
エイリスは、類を見るなり嫌そうにため息をつき、席に座る。だが突然、類に話しかけた。
「ねぇ、お前監視役なんでしょ?僕の名前言わずとも分かるよね?」
エイリスの言葉を聞いた類は机の上に置いていた資料を探し始める。
そして、何かを見つけたのか、資料に目を通しながら言葉を紡いだ。
「えーと……エイリス……くんだよね?」
「正解」
エイリスがめんどくさそうにそう言うと同時に、類の目先に本の角が現れる。見るとそれは、エイリスが手にしていた本だった。冷や汗が類の頬を伝う。
エイリスは冷たく淡々と言葉を紡ぎ始める。
「お前だよ、めんどくさいの。新米とかなんとか知らないんだけどさ……目障りなんだよ。気が散る」
「あと、言っておくけど僕らは化け物じゃない。僕らは好きで『こんな体』になった訳じゃない」
怒りを宿した目が類を見つめる。
「お前らが散々満足するまで……やってきたくせに」
「やって……きた……?それ、どう言うこと?」
類はエイリスに問いかけたが、彼はニヤリと笑う。
「僕さ、監視役を凍り付けにしたらどうなるか気になるんだよね。でも『上の奴らからやるなって命令されているからできないんだよね』。あーあ、本当にめんどくさい」
イラつきながらそう言ったエイリスは手を下ろし、席から立ち上がると、どこかに行ってしまった。
被験者 エイリス
能力 冷気
自身の体温または周囲の気温を低下させることができる。
凍結も可能
代償 味覚障害
ーーーーーーーーー
大福を食べ終えた類はお皿を置こうと、隣接した台所へ行こうと、立ち上がった瞬間、濃い茶色の髪の青年と薄い茶色の髪が来た。
「おや?新しい監視役さんですか。随分お早いことで」
濃い茶色の髪の青年はクスクスと楽しそうに笑った。目は黒い布で隠されているため分からない。彼は黒の軍服に身を包んでいた。手には黒の手袋をはめている。
一方、薄い茶色の髪をした青年はこちらを冷めた目で見ていた。彼もまた、軍服に身を包み込んでいたが、手袋の方は、指先が見える手袋をはめていた。類は彼ら二人に自己紹介を始める。
「初めまして今日から監視役になりました佐藤類と言います」
お辞儀をする類を見た、濃い茶色の髪をした青年・ケイは、クスクスと笑いながら言葉を紡ぐ。
「ご丁寧に自己紹介ありがとうございます。だけど、どうでも良いです。貴方の自己紹介なんて」
「え……」
彼の言葉に唖然とする類。青年は楽しそうに言葉を紡ぎ続ける。
「短い命なのでしょ?だったら……名前なんて名乗らなくて結構」
何も言えずにその場に立っている類を見ていた薄い茶色の髪をした青年が口を開く。
「お前らも怖がるんだな」
「!?」
類は驚いて黙っていた青年を見る。冷めた目をずっとこちら側に向けている青年。
彼を見た類は、資料で見た情報を思い出した。
彼って、人殺しの……未来さんから教えられた。上官からも。それに、渡された資料にもそう書いてあった。
怖がりながらも類は口を開く。
「監視役に手を出したら、また『地下牢』に入れることだって出きるんですよ?」
彼の言葉を聞いた薄い茶色の髪をした青年が明らかに動揺し始めた。
「どうして、それを……知って……」
「僕は監視役なんです。ある程度は知っているんですよ。貴方がやった殺人のことだって」
類が見て分かる程、青年は明らかに動揺していた。
「あそこには居たくない。戻りたくない。言われた通りにしないと……あそこは……あそこには……行きたくない。居たくない……」
動揺で過呼吸になりかけた青年を、濃い茶色の髪の青年が宥める。
「ジン、大丈夫。落ち着いて」
ジンと呼ばれた青年を宥めながら濃い茶色の髪をした青年は口を開く。
「さすが監視役ですね。人の心もない。では、僕のことも分かりますよね?」
青年の問いに怖がりながらも類は答えた。
「……ケイ……くんでしょ?」
彼は大量虐殺をした張本人……『紅目《あかめ》のメドゥーサ』。前の大戦で大勢の命を奪った化け物。
「ご名答です。僕はケイと言います」
濃い茶色の髪をした青年 ケイは微笑んだ。
「僕たちのことは知っていますね。では『僕ら以外の特殊部隊の隊員』のことも知っていますね」
「彼らって……」
「では僕たちはこれで。頑張ってくださいね、監視役さん」
被験者 ジン
能力 常人よりはるかに力が強い
暴走一回あり
人殺しのため要注意。
もし危害を加えられた場合、発砲を許可する。
代償 強い作用のある鎮静剤を服用しないといけない激しい痛みを全身に持っている。
被験者 ケイ
能力 目を合わせたモノを石化させることができる。
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