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第壱話-結成
結成-10
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その夜、長四郎と一川警部は燐のアルバイト先、居酒屋ヒマラで一杯ひっかけながら
捜査会議をしていた。
「いやぁ~仕事の後の一杯は、沁みるぅぅぅぅぅ」
一川警部は生ビールを一気に飲み干し唸る。
「全くです」
同意しながら、長四郎もまた生ビールを呑む。
「はい、冷奴です」
燐がテーブルに冷奴を置く。
「ラモちゃんの成果を聞きたいな」
長四郎は悪びれる様子もなく本日の成果を、アルバイト中の燐に聞く。
「なんで、人が仕事してる時に聞くの?」
「さっさと答えなさいよ。「収穫はありませんでした」って」
嫌味たらっしく言う長四郎の前に勢い良く四つ折りにしたレポート用紙を叩きつける。
「これが、報告書よ!! 失礼します!!!!」
燐はそれだけ言い残して、仕事に戻って行った。
「お~ 怖っ!」身震いする一川警部。
「嫁の貰い手ねぇ~ぞ」長四郎は、ぼそっと呟いた。
「なんか言った?」
偶々、通りがかった燐が長四郎を睨みつけ警告する。
「ヴぇ! マリモ!!!!(訳:いえ、なにも)」
長四郎は、恐怖のあまり嚙んで発言する。
「で、何が書いとうと?」
「そうですね」
長四郎は四つ折りのレポートを開いて中身を確認する。
レポート用紙には次のようなことが箇条書きで書かれていた。
“岡田君に痴漢の噂が流れている。
流しているのは生徒会の黄山という女子生徒。
取り敢えず、この黄山に接触できるよう根回し中。
お昼代・1100円”
以上の事が書いてあり、宛名が熱海探偵社になっている領収書が添付されていた。
「今時の女子高生は、しっかりしとるねぇ~」
領収書を添付しているのを見て、感心する一川警部。
「そんなことより、気になりますね。これ」
長四郎は生徒会の欄をトントンと、指で叩く。
「おひゃね(訳:そやね)」
冷奴を咀嚼しながら、一川警部は返事をする。
「そう言えば、西谷笑って生徒会に入っていたってお母さんが言ってましたね」
「なんか臭うね」
「ええ。事件当夜、学校に行った理由も生徒会の集まりだったので」
「いや、そうじゃなくて」一川警部は否定する。
「え? 何か気づいたことありますか?」
「この臭い、くさややね。あたし、くさやに目がないと」
「はぁ」
「店員さぁ~ん」
燐が注文を取りに来る。
「はい、注文お伺いしますね」
顔は笑っているように見えるが目は笑っていなかった。
「くさや一つ」
「はい。くさや一丁!!!!」
厨房に注文を伝えると「くさや一丁!!」と返事がすぐさま聞こえてきた。
「後ね、長さんも注文あるって」
「何でしょうか?」
「取り敢えず、明日から黄山って子というよりかは生徒会の人間にマークしてくれ」
「それは分かっているから、注文を」
「じゃあ、生ビールをもう一つ」
長四郎は空になったグラスを掲げる。
「はい。すぐお持ちしますね」
グラスを取り上げ、ビールを注ぎに行く燐。
「これから別の居酒屋にしません」
「嫌だ」
長四郎の申し入れをあっさり断る一川警部であった。
翌日、燐は長四郎の指示のもと生徒会の黄山という女子生徒について聞き込み調査を行っていた。
が、燐の調査方法に問題があるのか他の生徒から白い目で見られこれといった情報が集められず、時間は過ぎ去り放課後になっていた。
「ったく、使えない奴らめっ!」
燐は近くの消火器を蹴り飛ばす。
「痛っ!!」
思っていたよりも固く燐は、つま先を抑えながら蹲る。
「あんた、私の事、聞きまわっているのは?」
後ろから声をかけられ恐る恐る振り返ると、黄山 涼子が仁王立ちして立っていた。
「さぁ? 何のことですか?」
「白を切っても無駄。私の事、嗅ぎまわって何がしたいの?」
「来季の生徒会に立候補しようかな、なんて」
「はぁ?」
「もう辞めます。でも、その前に一つ良いかな?」
人差し指を立て、燐は質問をする。
「何よ」
「何で、死んだ岡田君が痴漢したって噂流しているの?」
「誰から聞いたの?」
「誰だったけ? でもさ、その噂って証拠あるの?」
「それは・・・・・・」
返答に困る黄山だったが、「どうしたの?」と声をかけて来る男子生徒。
「あ、青山っち! こいつが変ないちゃもんつけてくるんだよ」
「いちゃもん? また、男寝取ったの」
「んなわけないじゃん!」
青山の発言を速攻で否定する黄山。
「何をそんなに揉めているの?」
青山は、この状況の説明を黄山に求める。
「私が、槙太が痴漢したって言う噂を流しているんだって」
「それはない。ない」青山もまた否定する。
「そうだよね。言いがかりにも程があるわ」
黄山は燐を睨みつける。
「というか、岡田君って生徒会だったの?」
「そうだけど」
なぜ知らないのかと言わんばかりの顔で青山は、燐を見る。
「ふ~ん。そうなのか」
「何、どうしたの?」青山が聞く。
「いや、何でもない。そんじゃあ」
燐はその場を去る。
「変な奴」
立ち去る燐を見ながら青山に話す黄山。
「それより、生徒会室行くぞ。警察が動いているらしくて今日も学校に来ているって」
「分かった」
黄山はそう返事をし、神妙な面持ちで生徒会室に向かった。
捜査会議をしていた。
「いやぁ~仕事の後の一杯は、沁みるぅぅぅぅぅ」
一川警部は生ビールを一気に飲み干し唸る。
「全くです」
同意しながら、長四郎もまた生ビールを呑む。
「はい、冷奴です」
燐がテーブルに冷奴を置く。
「ラモちゃんの成果を聞きたいな」
長四郎は悪びれる様子もなく本日の成果を、アルバイト中の燐に聞く。
「なんで、人が仕事してる時に聞くの?」
「さっさと答えなさいよ。「収穫はありませんでした」って」
嫌味たらっしく言う長四郎の前に勢い良く四つ折りにしたレポート用紙を叩きつける。
「これが、報告書よ!! 失礼します!!!!」
燐はそれだけ言い残して、仕事に戻って行った。
「お~ 怖っ!」身震いする一川警部。
「嫁の貰い手ねぇ~ぞ」長四郎は、ぼそっと呟いた。
「なんか言った?」
偶々、通りがかった燐が長四郎を睨みつけ警告する。
「ヴぇ! マリモ!!!!(訳:いえ、なにも)」
長四郎は、恐怖のあまり嚙んで発言する。
「で、何が書いとうと?」
「そうですね」
長四郎は四つ折りのレポートを開いて中身を確認する。
レポート用紙には次のようなことが箇条書きで書かれていた。
“岡田君に痴漢の噂が流れている。
流しているのは生徒会の黄山という女子生徒。
取り敢えず、この黄山に接触できるよう根回し中。
お昼代・1100円”
以上の事が書いてあり、宛名が熱海探偵社になっている領収書が添付されていた。
「今時の女子高生は、しっかりしとるねぇ~」
領収書を添付しているのを見て、感心する一川警部。
「そんなことより、気になりますね。これ」
長四郎は生徒会の欄をトントンと、指で叩く。
「おひゃね(訳:そやね)」
冷奴を咀嚼しながら、一川警部は返事をする。
「そう言えば、西谷笑って生徒会に入っていたってお母さんが言ってましたね」
「なんか臭うね」
「ええ。事件当夜、学校に行った理由も生徒会の集まりだったので」
「いや、そうじゃなくて」一川警部は否定する。
「え? 何か気づいたことありますか?」
「この臭い、くさややね。あたし、くさやに目がないと」
「はぁ」
「店員さぁ~ん」
燐が注文を取りに来る。
「はい、注文お伺いしますね」
顔は笑っているように見えるが目は笑っていなかった。
「くさや一つ」
「はい。くさや一丁!!!!」
厨房に注文を伝えると「くさや一丁!!」と返事がすぐさま聞こえてきた。
「後ね、長さんも注文あるって」
「何でしょうか?」
「取り敢えず、明日から黄山って子というよりかは生徒会の人間にマークしてくれ」
「それは分かっているから、注文を」
「じゃあ、生ビールをもう一つ」
長四郎は空になったグラスを掲げる。
「はい。すぐお持ちしますね」
グラスを取り上げ、ビールを注ぎに行く燐。
「これから別の居酒屋にしません」
「嫌だ」
長四郎の申し入れをあっさり断る一川警部であった。
翌日、燐は長四郎の指示のもと生徒会の黄山という女子生徒について聞き込み調査を行っていた。
が、燐の調査方法に問題があるのか他の生徒から白い目で見られこれといった情報が集められず、時間は過ぎ去り放課後になっていた。
「ったく、使えない奴らめっ!」
燐は近くの消火器を蹴り飛ばす。
「痛っ!!」
思っていたよりも固く燐は、つま先を抑えながら蹲る。
「あんた、私の事、聞きまわっているのは?」
後ろから声をかけられ恐る恐る振り返ると、黄山 涼子が仁王立ちして立っていた。
「さぁ? 何のことですか?」
「白を切っても無駄。私の事、嗅ぎまわって何がしたいの?」
「来季の生徒会に立候補しようかな、なんて」
「はぁ?」
「もう辞めます。でも、その前に一つ良いかな?」
人差し指を立て、燐は質問をする。
「何よ」
「何で、死んだ岡田君が痴漢したって噂流しているの?」
「誰から聞いたの?」
「誰だったけ? でもさ、その噂って証拠あるの?」
「それは・・・・・・」
返答に困る黄山だったが、「どうしたの?」と声をかけて来る男子生徒。
「あ、青山っち! こいつが変ないちゃもんつけてくるんだよ」
「いちゃもん? また、男寝取ったの」
「んなわけないじゃん!」
青山の発言を速攻で否定する黄山。
「何をそんなに揉めているの?」
青山は、この状況の説明を黄山に求める。
「私が、槙太が痴漢したって言う噂を流しているんだって」
「それはない。ない」青山もまた否定する。
「そうだよね。言いがかりにも程があるわ」
黄山は燐を睨みつける。
「というか、岡田君って生徒会だったの?」
「そうだけど」
なぜ知らないのかと言わんばかりの顔で青山は、燐を見る。
「ふ~ん。そうなのか」
「何、どうしたの?」青山が聞く。
「いや、何でもない。そんじゃあ」
燐はその場を去る。
「変な奴」
立ち去る燐を見ながら青山に話す黄山。
「それより、生徒会室行くぞ。警察が動いているらしくて今日も学校に来ているって」
「分かった」
黄山はそう返事をし、神妙な面持ちで生徒会室に向かった。
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