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第拾話-詐欺
詐欺-14
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長四郎と燐は、浦安民の住む家に来ていた。
弟の壮馬が管理人に鍵を開けてくれるように頼んでくれたおかげで、部屋に入ることが出来た。
「お邪魔しまぁ~す」長四郎はそう言って、我先にと部屋に入っていく。
1ルームの狭い部屋に撮影機材がびっしりと置かれており、それらを壊さないように教授スペースであっただろう押入れに向かう長四郎。
「ちょっと! 一人で行かないでよ!」
燐も高価な物であろう撮影機材を壊さないように、長四郎の居る押入れに移動する。
そんな燐の言葉を無視し、押し入れの中を漁る長四郎。
「ねぇ、何を探しているの?」
「化粧品」
「それなら、ここにあるじゃない」
「え?」
燐が指差す方を見ると、床に大量の化粧品セットが籠の中に入れられた状態で置かれていた。
「あ、ホントだ。やるな、ラモちゃん」
長四郎は燐をおだてながら、オンジンの家で撮影した洗面台の下に置かれていた化粧品があるかを探す。
「こんだけ多くちゃ、どれが普段使いの物か見分けるのが大変だな」
民はメイク動画を配信していたようで、ヘアスプレー缶だけでも10本以上あった。
そんな頭を抱える長四郎の肩を燐は引っ張り、その場から引き離し代わりに自分が普段使いしているであろう化粧品の選定を始めた。
「ラモちゃん、分かんの?」
「静かに!」
長四郎の問いに黙るよう促し、燐はヘアスプレー缶を持っては下しを繰り返す。
そして、最後の一本を確かめ終えた燐は「これ」と言って8本目に確かめたヘアスプレー缶を長四郎に渡す。
長四郎も参考までに別の缶を持って見ると、確かに燐が渡した缶より重かった。
一方、燐はファンデーションの特定作業に移っていた。
長四郎は自分に出る幕はないと思い、オンジンの部屋に置いてあったヘアスプレー缶と同じ物か照合すると見事に同じ物であった。
しかし、オンジンの部屋にはこの並べられている一部のヘアスプレー缶が置いてあったので必ずしも民が使った物であると断言はできなかった。
「なぁ、一つ聞いて良いか?」
「何?」少し面倒くさそうに燐は用件を尋ねる。
「持ち運ぶようの化粧品っていうのは、家で使っている物とは別の物を使ったりするの?」
「どうかなぁ~人によると思うし」
「そうか、そうだよな。ありがとう」
長四郎の礼にも返事をせず、燐は黙ったまま普段使いのファンデーションを長四郎に渡した。
それから、約2時間近く経って燐の特定作業が終わった。
「これで、最後」口紅を長四郎に渡した。
「おっ、サンキュー」
長四郎はそう言って、渡された口紅を押し入れに敷かれた布団の上に置いた。
そこには、燐が特定した普段使いしているであろう化粧品が綺麗に並べられていた。
長四郎はその場に置かれた化粧品を写真に収めると「片付けよう」そう言って、燐が2時間近く掛けて散らかした化粧品をあっさりと元あったように戻した。
「これで、よしっと」パンっパンと手を叩き、長四郎は頷いて戻した化粧品を眺める。
「役に立った?」そう聞いてくる燐に「大いに役立った」と長四郎は嬉しそうに答えた。
「ラモちゃんにもう一つ聞きたいんだが」
「どうかしたの?」
「この写真を見て、女性一人分の化粧品の量だと思う?」
燐にオンジンの部屋で撮影した洗面台下の写真を見せた。
「う~ん、気分を変える女の子だったら、この量はおかしくないけど」
「けど?」
「普通、こんな物を洗面台の下にしまうかなぁ~と思って。ほら、あのオンジンって清廉潔白、聖人君子的なキャラで売っているわけでしょ? だとしたら、疚しい女の人でもない限り、こんな風に隠す必要ないと思うけどな」
「ラモちゃんの言う事はごもっともで。疚しい女ってさ、やっぱり」
「人妻ね」
「そうなるよな。普通は」
「でも、今回は普通じゃない。長四郎の考えを当ててみようか?」
「おう」
「オンジンの部屋に民さんが連れ込まれたそう思っているわけでしょ? 違う?」
「おっほっほぉ~正解!!」長四郎は拍手しながら燐を讃える。
「うしっ!」燐はガッツポーズを取る。
「問題は、連れ込まれてどこに行ったかだ。それに、この化粧品の数を見る限り民さん一人だけじゃなさそうだしな」
その時、長四郎のスマホにメッセージが入る。
差出人は一川警部で、“至急、警視庁に来られたし”とメッセージには書かれていた。
「という事だそうだ。俺はこれから警視庁に行くから、ラモちゃんは別行動を頼む」
「何でよ!!」
「ラモちゃん次第で、これからの捜査方針が決まるのよ」
「そ、そうなの?」
「そうだよぉ~じゃ、これから言うことをしっかりと聞いとけよ」
長四郎は燐に調査内容を伝えると、燐と別れて警視庁に向かった。
警視庁のサイバー犯罪対策課の部屋に長四郎が入ると、絢巡査長が待っていた。
「お待ちしてました」
「あれ? 一川さんは?」姿が見えない一川警部の居場所を尋ねる。
「齋藤君と一緒に捜査に出向きました」
「なるへそ。それで、俺を呼び出した訳を聞かせてもらいましょうか?」
「こちらへ」
絢巡査長に連れられ、一人のモブ女性捜査官のデスクへと案内される。
「こちらサイバー犯罪対策課の」
「そんなん良いから、早く説明してくれ」
絢巡査長の紹介を遮る形で長四郎は説明を求める。
「では、これを見てください」モブ女性捜査官はマウスをクリックし、とあるリストを出す。
「これは、kuunhuberで行方不明になっている女性のリストってところかな?」
「その通りです。よく分かりましたね」感心するモブ女性捜査官に「まぁね」とだけ答えてリストをまじまじと見つめる。
「そこまで分かっているなら、話は早いです。この人達全員、鎌飯社長から例の勧誘を受けていた事が判明しました」
モブ女性捜査官の説明を聞き「やっぱり。それでその勧誘を受けてからどの位で更新が止まっているの?」と長四郎は質問した。
「いえ、人によってまちまちです」
「ほうほう。その勧誘に返信した形跡は?」
「ありました。全員、kuunに来るようにとの指示を受けていました」
「なぁ、絢ちゃん。事務所が入っているビルの監視カメラって確認できるの?」
「令状なしで警備会社が話に応じてくれるかだと思います」
「じゃあ、あそこのビルの監視カメラ確認してくれるよう一川さんに頼んでくれない?」
「分かりました。一川さんじゃなくて私がやります」
「いや、絢ちゃんには別の事をやって欲しい」
「何をやれな良いんですか?」
「それは・・・・・・・」
長四郎は絢巡査長に調べて貰いたい事を伝えた。
弟の壮馬が管理人に鍵を開けてくれるように頼んでくれたおかげで、部屋に入ることが出来た。
「お邪魔しまぁ~す」長四郎はそう言って、我先にと部屋に入っていく。
1ルームの狭い部屋に撮影機材がびっしりと置かれており、それらを壊さないように教授スペースであっただろう押入れに向かう長四郎。
「ちょっと! 一人で行かないでよ!」
燐も高価な物であろう撮影機材を壊さないように、長四郎の居る押入れに移動する。
そんな燐の言葉を無視し、押し入れの中を漁る長四郎。
「ねぇ、何を探しているの?」
「化粧品」
「それなら、ここにあるじゃない」
「え?」
燐が指差す方を見ると、床に大量の化粧品セットが籠の中に入れられた状態で置かれていた。
「あ、ホントだ。やるな、ラモちゃん」
長四郎は燐をおだてながら、オンジンの家で撮影した洗面台の下に置かれていた化粧品があるかを探す。
「こんだけ多くちゃ、どれが普段使いの物か見分けるのが大変だな」
民はメイク動画を配信していたようで、ヘアスプレー缶だけでも10本以上あった。
そんな頭を抱える長四郎の肩を燐は引っ張り、その場から引き離し代わりに自分が普段使いしているであろう化粧品の選定を始めた。
「ラモちゃん、分かんの?」
「静かに!」
長四郎の問いに黙るよう促し、燐はヘアスプレー缶を持っては下しを繰り返す。
そして、最後の一本を確かめ終えた燐は「これ」と言って8本目に確かめたヘアスプレー缶を長四郎に渡す。
長四郎も参考までに別の缶を持って見ると、確かに燐が渡した缶より重かった。
一方、燐はファンデーションの特定作業に移っていた。
長四郎は自分に出る幕はないと思い、オンジンの部屋に置いてあったヘアスプレー缶と同じ物か照合すると見事に同じ物であった。
しかし、オンジンの部屋にはこの並べられている一部のヘアスプレー缶が置いてあったので必ずしも民が使った物であると断言はできなかった。
「なぁ、一つ聞いて良いか?」
「何?」少し面倒くさそうに燐は用件を尋ねる。
「持ち運ぶようの化粧品っていうのは、家で使っている物とは別の物を使ったりするの?」
「どうかなぁ~人によると思うし」
「そうか、そうだよな。ありがとう」
長四郎の礼にも返事をせず、燐は黙ったまま普段使いのファンデーションを長四郎に渡した。
それから、約2時間近く経って燐の特定作業が終わった。
「これで、最後」口紅を長四郎に渡した。
「おっ、サンキュー」
長四郎はそう言って、渡された口紅を押し入れに敷かれた布団の上に置いた。
そこには、燐が特定した普段使いしているであろう化粧品が綺麗に並べられていた。
長四郎はその場に置かれた化粧品を写真に収めると「片付けよう」そう言って、燐が2時間近く掛けて散らかした化粧品をあっさりと元あったように戻した。
「これで、よしっと」パンっパンと手を叩き、長四郎は頷いて戻した化粧品を眺める。
「役に立った?」そう聞いてくる燐に「大いに役立った」と長四郎は嬉しそうに答えた。
「ラモちゃんにもう一つ聞きたいんだが」
「どうかしたの?」
「この写真を見て、女性一人分の化粧品の量だと思う?」
燐にオンジンの部屋で撮影した洗面台下の写真を見せた。
「う~ん、気分を変える女の子だったら、この量はおかしくないけど」
「けど?」
「普通、こんな物を洗面台の下にしまうかなぁ~と思って。ほら、あのオンジンって清廉潔白、聖人君子的なキャラで売っているわけでしょ? だとしたら、疚しい女の人でもない限り、こんな風に隠す必要ないと思うけどな」
「ラモちゃんの言う事はごもっともで。疚しい女ってさ、やっぱり」
「人妻ね」
「そうなるよな。普通は」
「でも、今回は普通じゃない。長四郎の考えを当ててみようか?」
「おう」
「オンジンの部屋に民さんが連れ込まれたそう思っているわけでしょ? 違う?」
「おっほっほぉ~正解!!」長四郎は拍手しながら燐を讃える。
「うしっ!」燐はガッツポーズを取る。
「問題は、連れ込まれてどこに行ったかだ。それに、この化粧品の数を見る限り民さん一人だけじゃなさそうだしな」
その時、長四郎のスマホにメッセージが入る。
差出人は一川警部で、“至急、警視庁に来られたし”とメッセージには書かれていた。
「という事だそうだ。俺はこれから警視庁に行くから、ラモちゃんは別行動を頼む」
「何でよ!!」
「ラモちゃん次第で、これからの捜査方針が決まるのよ」
「そ、そうなの?」
「そうだよぉ~じゃ、これから言うことをしっかりと聞いとけよ」
長四郎は燐に調査内容を伝えると、燐と別れて警視庁に向かった。
警視庁のサイバー犯罪対策課の部屋に長四郎が入ると、絢巡査長が待っていた。
「お待ちしてました」
「あれ? 一川さんは?」姿が見えない一川警部の居場所を尋ねる。
「齋藤君と一緒に捜査に出向きました」
「なるへそ。それで、俺を呼び出した訳を聞かせてもらいましょうか?」
「こちらへ」
絢巡査長に連れられ、一人のモブ女性捜査官のデスクへと案内される。
「こちらサイバー犯罪対策課の」
「そんなん良いから、早く説明してくれ」
絢巡査長の紹介を遮る形で長四郎は説明を求める。
「では、これを見てください」モブ女性捜査官はマウスをクリックし、とあるリストを出す。
「これは、kuunhuberで行方不明になっている女性のリストってところかな?」
「その通りです。よく分かりましたね」感心するモブ女性捜査官に「まぁね」とだけ答えてリストをまじまじと見つめる。
「そこまで分かっているなら、話は早いです。この人達全員、鎌飯社長から例の勧誘を受けていた事が判明しました」
モブ女性捜査官の説明を聞き「やっぱり。それでその勧誘を受けてからどの位で更新が止まっているの?」と長四郎は質問した。
「いえ、人によってまちまちです」
「ほうほう。その勧誘に返信した形跡は?」
「ありました。全員、kuunに来るようにとの指示を受けていました」
「なぁ、絢ちゃん。事務所が入っているビルの監視カメラって確認できるの?」
「令状なしで警備会社が話に応じてくれるかだと思います」
「じゃあ、あそこのビルの監視カメラ確認してくれるよう一川さんに頼んでくれない?」
「分かりました。一川さんじゃなくて私がやります」
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