探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第拾壱話-仲間

仲間-12

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「俺に出て行けと言うのかっ!!」
 夏月会長は病室の外まで聞こえる程の声で、退院するよう促す担当医を怒鳴りつける。
「夏月会長はどこも悪くないんですよ」
「そんな訳あるか!! 腹が痛むと言っているんだ!!!」
「そんだけ、怒鳴る元気のあるジジィが何を言ってんのだか」
 その言葉に、部屋に居た全員の視線が一気に集まる。
「そんなに私を見つめないでよ。照れるじゃない」長四郎は恥ずかしそうに照れる。
「何しに来た」
「何しに来たって、退院を勧めに来たの?」
「ふざけるな!」
「あんた、さっきから ! が多いよ」
「うるさい!」
「ほら、言った側から」
「あんた、いい加減にしな」話が進まないと踏んだ燐は長四郎を諌め本題に入る。
「すいません。実は犯人の目星がついたんです。それで、会長さんには家に帰って頂いても問題ない事を伝えに来ました」
「犯人は捕まったのか」
「まだだよぉ~」
 長四郎は窓からの景色を眺めながら、吞気に返答する。
「捕まってないのに、ここを出ろと言うのか。ふざけてるのか?」
「至って、真面目だぁ~」
 長四郎は振り向きざまに変顔を夏月会長に披露する。
「貴様ぁ~」
 夏月会長は顔を真っ赤にし、再び背もたれにしていた枕を投げつける態勢に入る。
 そんな長四郎は「ダッフンダ!!」と答えたその瞬間、長四郎の顔面に枕が投げつけられるが長四郎は華麗にその枕を受け止めて、燐にパスをする。
 受け取った燐は、夏月会長の顔面目掛けて思いっきり投げつけた。
 すると、燐の投げた枕は夏月会長の顔にHitし、そのまま白目向いてベッドに横たわる。
「じゃあ、連れて帰りますんで。退院手続きを」
 長四郎は気絶したのを確認し、担当医にそう告げるのだった。
 斯くして夏月会長は作田総合病院から退院する事になり、長四郎達は迎えの車に今、揺られていた。
「貴様、この私を殺す気か?」
 隣に座っている長四郎を睨みながら問う夏月会長。
「そうねぇ~殺されても仕方ないんじゃない? 新垣正道って人に」
 夏月会長の顔は、どうして分かったといった表情になる、
「あらぁ~心当たりがあるんですねぇ」
「そ、そんなわけないだろう」
「ホントですかぁ~」
 燐も夏月会長に疑いの目を向けながら、問い詰める。
「知らないものは、知らんっ!!」夏月会長は腕を組みムスクれる。
「だってさ、ラモちゃん」
「困った子だねぇ~」
 燐は呆れた感じの物言いで夏月会長を見る。
 そうこうして、夏月会長の自宅に着いたまでは良かったのだが長四郎と燐は夏月会長からお役御免を申し付けられ接触すら禁じられてしまった。
「参ったな」
 夏月会長の家の高い塀を見上げながら長四郎はそう呟いた。
「人間触れられたくない事を突っついてくる奴は、排除するに限るでしょ」
「珍しくまともな事言うじゃん。高校生」
「ふふっ」
 長四郎に褒められ、少し嬉しくなりほくそ笑んでしまう。
「何、ほくそ笑んでだよ。行くぞ、絢ちゃんが待っている」
「そうね」
 二人は気分を変えて、警視庁へと赴いた。
 いつも通り命捜班の部屋に入ると絢巡査長の姿は無く、長四郎は真っ先に自分が飲むためのコーヒーを使い捨てカップに注ぎ入れる。
「私にも頂戴」
「ヤダ」
「なんでよ」
 そんな会話をしていると、「遅れてごめんなさぁ~い」と現在までの捜査資料を持って部屋に入ってきた。
「お疲れ様です」燐は真っ先にそう言うと「そちらこそ、お疲れ様」という返答がきた。
「で、試作品のエアコンプレッサーは出来たの?」
 長四郎は絢巡査長にコーヒーを差し出しながら質問する。
「鋭意製作中だと思います」
「そ」と素っ気ない返事をする長四郎。
「それで、そちらの方はどうだったんですか?」
 今度は長四郎達の成果を聞かれたので、長四郎はめんどくさそうな顔をした。
 代わって、燐がその質問に答える。
「新垣正道さんが事件の根幹にあるのは、間違いないと思います」
「そう。貴島、磯部と接触してみてどうだった?」
「私個人が思ったことは、あの二人が事件に関わっているようにはあまり思えないんですよね」
「長さんはどうなんです?」
「俺は武器を作れるのは、あの二人しか居ないと思うんだけどなぁ~」
「その技術を持っているという事ですか?」
「職場と経歴から見て判断しただけだが」
 町田萬侍苦巳の改造バイクのほぼ全ては、この二人が中心となって作り上げていたのだ。
 その為、長四郎は銃を作る為の知識、製造技術を持っている人物としてマークした。
「そうですか。私の方も電話で報告したことぐらいしか成果がなくて」
「まぁ、仕方ないでしょ」長四郎の言葉にうんうんと頷いて同意する燐。
「とはいえ、会長を病院から連れ出して良かったんですか?」
「良いんじゃない? 健康そのものなんだし」
「いや、そういう事ではなくて」
「殺されるかもって事ですよね?」
「そう、ラモちゃんの言う通り」
「まぁ、大丈夫なんじゃない。殺すんだったら、今まで殺せるチャンスはあったわけだし」
「それどういう意味? その言い方じゃ、犯人は近くに居るみたいじゃん」
「これだから勘のいいガキは嫌いなんだ」
 長四郎は燐の質問に明確な答えは示さず、コーヒーに口をつけた。
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