探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第拾壱話-仲間

仲間-15

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 翌日、長四郎と燐は絢巡査長に連れられて、科捜研へと来ていた。
「これが試作した改造銃です」
 分析官は作成した改造銃を指差しながら、三人に見せる。
「これは、エアコンプレッサーですか?」
「そうですね。市販されているのを少し改造して、精度の高い物に仕上げました」
「それは、それはありがとうございました」
 長四郎は苦労を労うように頭を下げる。
「いえ、仕事ですし。少し楽しかったです。普段の業務では出来ないことをやれましたから」
 分析官は嬉しそうに答えながら、エアコンプレッサーの電源を入れる。
「あのこれから、何をするんですか?」燐の問いに「試射よ。試射」絢巡査長は淡々と答える。
「的はあのマネキンか」
 100m程離れた所に、男のマネキンが二体立っていたのだが、顔の部分に印刷物が貼ってあった。
「あれ、誰?」長四郎は目を細めながらマネキンの顔を見るのだが、あまりよく見えない。
「私も分かんない人だ」燐は視力が良いのか、堂々とマネキンの顔を確認する。
「私もです」絢巡査長も知らない人物らしく首を傾げている。
「気にしないで下さい」と分析官はそう答えながら、改造銃に弾を込める。
 発射準備が出来たのか、分析官は銃を構えて発射態勢に入る。
「行きますよ」
 分析官がそう宣言し、燐は大慌てで消音ヘッドホンを耳にかけるが長四郎と絢巡査長はそんなものはかけず試射を見届ける。
 サイレンサーが効いているのか、発砲音はほぼ聞こえない音で弾はマネキンの脳天を貫通する。
「おおっ、お見事ぉ~」長四郎は手を叩きながら、見事な射撃の腕に感心する。
「ありがとうございます。おかげで、すっきりしました」
 その言葉に触れてはいけないと思った三人は愛想笑いを浮かべる。
「にしても、音がほぼ出ててないですね。このエアコンプレッサーの音が凄いからなんでしょうけど」絢巡査長は感想を述べると「そう思われるかもしれませんが、これを聞いたうえで感想を述べて欲しいですね」分析官はそう言って、音楽プレイヤーの再生ボタンを押す。
 スピーカーから車の走行音が流れ始める。
 それもかなり大きい音だ。
「あの、うるさいんですけど」絢巡査長は耳を塞ぎながら、分析官に音を小さくするように懇願する。
「あ、すいません。少し下げますね」
 分析官は音量を少し下げる。
「あのこの音って」
「はい、この音は事件現場で録音した音です。事件当日の完全再現までとはいきませんが、当時とさほど変わらない交通量の時の音です」
 燐の質問に答えながら再度、銃に弾を込める。
「では、撃ちますね」そう宣言し、再びもう一体のマネキンに向けて発砲する。
 今度は、さっきと違いエアコンプレッサーの音が綺麗に搔き消されていた。
「今度はコンプレッサーの音が聞こえませんね」
「そうです。美味いこと誤魔化せるぐらいの音にはなっています。でも」
「でも?」復唱する絢巡査長に「本物の改造銃はもっとエアコンプレッサーの音が小さいそう言いたいんでしょ」と長四郎は改造銃のエアコンプレッサーをまじまじと見ながら答える。
「その通りです。よく分かりましたね」
「探偵ですから」
 分析官に照れながら長四郎はマネキンを見に行く。
「ま、こっちは変わった所はないよな」
「ねぇ、湘南には行かなくて良いの?」
 マネキンを見る長四郎にそう声を掛ける燐に「行かなくて良いの」とだけ答えて絢巡査長が居る方に戻る。
「長さん、河合の身柄が確保されたそうです」
 長四郎が戻ってきたと同時に、絢巡査長が伝えた。
「そう、それは良かった」
「え、どういう事?」
「実はね。昨晩に長さんから連絡があって、河合が湘南に潜伏しているかもって連絡してくれて神奈川県警に協力要請して捜索してもらってたんだけど。経った今、見つけて拘束したって連絡が」
「へぇ~そんな事がぁ~」
 燐は「どうして自分には言わないんだ」といった目で長四郎を見る。
「あ、そうだ。そろそろ会長の所に行かなくちゃ」
 燐の目を掻い潜るようにその場から逃げ出そうとするのだった。
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