411 / 770
第弐拾肆話-議員
議員-1
しおりを挟む
「はぁ、はぁ」
男の荒い息遣いが、深夜の住宅街に響き渡る。
男は顔を隠すようにフードを目深に被り、その場を立ち去っていく。その背後には、顔中血まみれの男の死体が転がっていた。
一ヶ月後、ワイドショーでは、政治家秘書が相次いで狙われている事件のニュースを大きく取り扱っていた。
「この事件、早く解決しないと政治家の人達も安心して政治活動出来ませんよね」
ニュースキャスターが、コメンテーターに意見を求める。
「そうですね。一刻も早く解決してもらわないと」
「何が、一刻も早く解決してくれないとだよ。他人事だと思って適当なこと言うなって」
私立探偵の熱海 長四郎はテレビに向かって、悪態をつく。
「何、テレビに向かって喋ってんの?」
居るはずのない人間の声が聞こえた長四郎は「うわぁ!」と大声を上げながら、座っていたソファーから飛び上がる。
「ビビってやんの」
羅猛 燐が肩を揺らして笑う。
「ラモちゃんかぁ~ 驚かすなよ。今日、平日だぞ。学校は?」
「ん? 抜けてきた」
「何が抜けてきただよ。サボって来ただけだろう?」
「ひっど~い。私はこう見えて、成績優秀枠で通っているから、こうして授業を抜け出しても許される訳」
「そうですか」長四郎は呆れたといった口調で座っていたソファーに腰を下ろす。
「今日も暇なの?」
「暇って。つかの間の休息中なの」
「つかの間休息ねぇ~」
燐は訝しんだ目でテレビを見る長四郎を見つめる。
「で、今日は何しに来たの?」長四郎が用件を尋ねると「暇だから、来た。只、それだけ」と答えながら事務所の冷蔵庫から、燐が以前に買っていたオレンジジュースの紙パックを手に取り、そのまま直飲みする。
そんな時に、事務所のドアがノックされる。
長四郎は慌ててテレビを消しながら、「はい。どうぞぉ~」と返事をした。
「失礼します」そう言いながら、ドアを開けて入ってきたのは、年の頃は三十代前半の高級スーツを来た男であった。
「こちらへどうぞ」
長四郎はそう言って、自分が座っているソファーへと男を案内し「ラモちゃん、お珈琲を用意して」と燐に指示を出す。
「何で、私が?」
「あんた、助手なんでしょ。それぐらいやりなさいよ」
「へいへい。分かりました」
燐は舌を出して、珈琲を出す準備を始める。
「すいませんね。教育が行き届いてなくて」
「いえ、気にしてないので」と答えながら、男は長四郎に名刺を差し出した。
「私、参議院議員の西 天光の秘書をしております。小岩 明人と申します」
「頂戴します」長四郎は名刺を受け取り用件を聞こうと耳を傾けようとすると「西天光って、今、話題の人じゃん」珈琲を出しながら燐が反応をすると長四郎が咳払いして、話に入って来ないように注意する。
この西天光は数々の国会議員の不正を見つけ出しては追及する、今や時の女性議員であった。
「それで、こんなしがない探偵にどのようなご依頼でしょうか?」
「身辺警護をお願いしたく参りました」
「身辺警護ですか?」
思わぬ依頼に長四郎は驚いた顔で、小岩を真っ直ぐと見るのだった。
男の荒い息遣いが、深夜の住宅街に響き渡る。
男は顔を隠すようにフードを目深に被り、その場を立ち去っていく。その背後には、顔中血まみれの男の死体が転がっていた。
一ヶ月後、ワイドショーでは、政治家秘書が相次いで狙われている事件のニュースを大きく取り扱っていた。
「この事件、早く解決しないと政治家の人達も安心して政治活動出来ませんよね」
ニュースキャスターが、コメンテーターに意見を求める。
「そうですね。一刻も早く解決してもらわないと」
「何が、一刻も早く解決してくれないとだよ。他人事だと思って適当なこと言うなって」
私立探偵の熱海 長四郎はテレビに向かって、悪態をつく。
「何、テレビに向かって喋ってんの?」
居るはずのない人間の声が聞こえた長四郎は「うわぁ!」と大声を上げながら、座っていたソファーから飛び上がる。
「ビビってやんの」
羅猛 燐が肩を揺らして笑う。
「ラモちゃんかぁ~ 驚かすなよ。今日、平日だぞ。学校は?」
「ん? 抜けてきた」
「何が抜けてきただよ。サボって来ただけだろう?」
「ひっど~い。私はこう見えて、成績優秀枠で通っているから、こうして授業を抜け出しても許される訳」
「そうですか」長四郎は呆れたといった口調で座っていたソファーに腰を下ろす。
「今日も暇なの?」
「暇って。つかの間の休息中なの」
「つかの間休息ねぇ~」
燐は訝しんだ目でテレビを見る長四郎を見つめる。
「で、今日は何しに来たの?」長四郎が用件を尋ねると「暇だから、来た。只、それだけ」と答えながら事務所の冷蔵庫から、燐が以前に買っていたオレンジジュースの紙パックを手に取り、そのまま直飲みする。
そんな時に、事務所のドアがノックされる。
長四郎は慌ててテレビを消しながら、「はい。どうぞぉ~」と返事をした。
「失礼します」そう言いながら、ドアを開けて入ってきたのは、年の頃は三十代前半の高級スーツを来た男であった。
「こちらへどうぞ」
長四郎はそう言って、自分が座っているソファーへと男を案内し「ラモちゃん、お珈琲を用意して」と燐に指示を出す。
「何で、私が?」
「あんた、助手なんでしょ。それぐらいやりなさいよ」
「へいへい。分かりました」
燐は舌を出して、珈琲を出す準備を始める。
「すいませんね。教育が行き届いてなくて」
「いえ、気にしてないので」と答えながら、男は長四郎に名刺を差し出した。
「私、参議院議員の西 天光の秘書をしております。小岩 明人と申します」
「頂戴します」長四郎は名刺を受け取り用件を聞こうと耳を傾けようとすると「西天光って、今、話題の人じゃん」珈琲を出しながら燐が反応をすると長四郎が咳払いして、話に入って来ないように注意する。
この西天光は数々の国会議員の不正を見つけ出しては追及する、今や時の女性議員であった。
「それで、こんなしがない探偵にどのようなご依頼でしょうか?」
「身辺警護をお願いしたく参りました」
「身辺警護ですか?」
思わぬ依頼に長四郎は驚いた顔で、小岩を真っ直ぐと見るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる