探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第弐拾捌話-御祭

御祭-17

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 長四郎は佐藤田警部補と遊原巡査と別れ、一人で国巳の尾行をしていた。
 国巳は品川駅内にあるコーヒーショップへと入っていった。
 長四郎もそれに続いて入店し、席に着いた国巳に声を掛けた。
「よっ!」
「あ、探偵」驚いた顔をする国巳。
「奇遇だな。こんな所で出会うとは」
「もしかして、俺のこと、尾行していたんですか?」
「とんでもない」長四郎は首を横に大きく振って否定する。
「本当ですか?」
 国巳は疑い深い目で長四郎を見る。
「本当だよ。な、おじさんと話しようや」
「話って。話すことなんて何もないですよ」
「いや、世間話で良いんだよ」
「俺、勉強したいんで」
 そう言いながら、バッグからミニタブレットを出した。
「やっぱりさ、今時の高校生ってタブレットをノート代わりに使うの?」
「いいえ。学校の勉強じゃありません」
「ヘェ~ 資格勉強とか?」
「違いますよ。プログラミングです」
「プログラミング。最先端をいく勉強だな」
「そうでもないですよ。ただ、俺にはこれが向いているっていうだけで」
「じゃあ、趣味の勉強って感じか。良いなぁ~ 身につく趣味を持っているのは」
「あの、俺のこと疑っているんですか?」
 くだらない会話に痺れを切らした国巳は、本題と思えるものを突きつけた。
「とんでもない。めっちゃ気にするじゃん」
「気にしますよ。クラスメイトに確認したら、聞き込みにきたのは僕だけだったようですし」
「あ、そう言うので確認したから気にしているって事ね。納得したわ」
 長四郎は白を切り、適当に誤魔化す。
「で、僕のこと疑っているんですか?」身を乗り出して聞いてくるので長四郎は背筋を伸ばし姿勢を正してから口を開いた。
「答えは、Noだ。第一、君を疑うだけの材料が集まっていないもの」
 そう言うと、国巳の緊張した表情が少し緩んだ。
「な、これで少しは信じてくれた?」
「ええ、まぁ」
「でさ、ホッバーってなんなの?」
「ホッバーですか。あれは、会話用ツールですよ。アホが勝手にAIツールとか言い出し始めましてね。びっくりしましたよ」
「あれ? この前はホッバーとは無関係だって言っていたのに。急に白状したね」
「あの時は変に答えて付き纏われるのは、嫌だったもので」
「一理あるな。で、ホッバーって君が作ったの?」
 長四郎の問いに「はい」と答える。
「きっかけは彼女が入院した事でした」
 国巳はホッバー誕生のきっかけを長四郎に話し始めた。
 都姫が学校で倒れて、病院に担ぎ込まれて入院してすぐの頃であった。
「友達と気軽に話したいなぁ~」都姫はそう呟いた。
 見舞いに来ていた国巳は、その願いを叶えるべく専用アプリホッバーを開発した。
 ホッバーの利点は、最も多く使われているLINEより少ない通信量で通話やメッセージ送信ができることにあった。
「これ、使ってみて」
 国巳はホッバーのアプリを入れたスマホを都姫にプレゼントした。
「ありがとう」
 都姫がスマホを手に取った瞬間に、クラスメイト全員からのメッセージが送られてきた。
 クラスメイトは都姫の病気が良くなるようにと言う励ましのメッセージを送っていた。
 都姫はホッバーを使いながら、病院から学校の授業を受けていたりもした。
「なんか、良い話だね」
 長四郎はしみじみとした顔で感想を述べた。
「ありがとうございます」
「で、なんでホッバーはAIツールなんて言われるようになったの?」
 長四郎は1番の疑問をぶつけた。
「それはですね、都姫とクラスメイトの会話を自動生成AIに学習させたんですよ。それで僕が面白半分でそのAIを質問回答ツールとしてアプリに組み込んだらあれよ、あれよと広がりましてね」
「成程なぁ~ つまりはだ、学習した内容しか喋らないってことだろ? ホッバーは」
「そうなります」
「にしても、凄い物を君は作ったよ。で、彼女は退院できたの?」
 長四郎は敢えて、この質問をしてみた。
「いえ、彼女は亡くなりました」
「そうか。辛い話を聞いちゃってごめんな。じゃ、俺、もう行くわ」
 バツが悪くなったような感じで長四郎はそそくさと店を出て行った。
 そんな長四郎を見送った後、国巳は堪えていた物を我慢できなくり吹き出して大きく笑うのだった。
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