探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第弐拾玖話-行方

行方-5

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松重まつしげさん、お久しぶり」
 佐藤田警部補は美術館に遺棄された事件の捜査本部がある所轄署へと来ていた。
 そして、捜査一課の知り合いの刑事に声を掛けた。
「佐藤田さんじゃないか。久しぶりだな」
 小柄で丸々とした体を揺らしながら、嬉しそうな表情を見せる。
「聞いたよ。命捜班に移動したんだってな」
「いやぁ~ 異動というより左遷に近いけどなぁ~」
「で、俺に用があって来たんだろ?」松重刑事が本題を切り出すと、「あ、分かる?」佐藤田警部補は笑みを浮かべた。
 二人は自販機で珈琲を買ってから所轄署の屋上へと移して、話し始めた。
「今回の遺棄事件。松重さんの見解を聞かせてもらえる?」
「そうだな。手慣れている奴で、かなりの経験を積んでいるっていうのが俺の見解だ」
「流石は捜査一課の優秀な刑事。実はさ、松重さんにいいニュースと悪いニュースがあるの。どっちから聞きたい?」
「じゃあ、悪いニュースから」
「捜査でお忙しいところ申し訳ないんだけど、こっちの捜査を手伝ってもらえないかな?」
「どうせそんなこったろうと思ったよ。それで、良いニュースってのは?」
「それはね・・・・・・」
 そこから、イヴ・ウィンガードの事を松重刑事に話をした。
「てことは何かい? 犯人は外国人で、とんでもない殺人鬼ってことか」
「そうなるね。公安外事課の人の話だと」
「厄介な相手だな。FBIも追っているんだろ?」
「そうらしいけど。本当のところどうなのかは俺も分からないんだよな」
「そうか。じゃあ、その外国人を探せば良いわけだな。よぉ~し!」
 松重刑事は自身の顔をパンパンっと叩いて、気合いを入れる。
「佐藤田さん。その外国人の顔写真が欲しいな」
 捜査に行く前に手掛かりになるものを求めると、佐藤田警部補はジャケットジャケットの内ポケットから小幡から渡された似顔絵を渡す。
「似顔絵だけかい?」
「だけなの。FBIも写真までは持っていないんだと」
「参ったなぁ~」
 松重刑事は似顔絵から犯人を追うのは困難を極めるだろう、そう言う顔をする。
「松重さん。安心して、入管から入国した時に使ったであろう偽造パスポートのコピーは入手したから」
 これまた、ジャケットの内ポケットから使われた偽造パスポートのコピーを出し松重刑事に渡した。
「おい、佐藤田さん。これって・・・・・・」
「驚いたでしょ」
 いたずらっ子のような笑みを浮かべる佐藤田警部補であった。

 ドンっ! ドンっ!!
 部屋に監禁中の燐は、ドアに向かって体当たりをし続ける。
 二の腕には大きな痣ができていたが、燐は痛みに耐えながらドアに向かってタックルし続ける。
「ああ、ダメ。疲れた」
 息を切らし、燐は床に倒れこむ。
 あの後、男は燐の身体を嘗め回すように触るだけ触り満足したのか、触るのを止めて燐の足首に繋がれた鎖を5mはあるであろう物に付け替えると何も言わずに部屋を去った。
 燐は脱出の為に部屋を散策していると、コンクリート打ちとなっている壁の一部がコンクリートではないことに気づき触診でベニヤ板だと分かり、男が残していった短いチェーンを道具にしてベニヤ板を叩き壊すと、そこは部屋が隠されていた。この長い鎖に付け替えた理由はこの部屋で生活ができるようにするためなのだと燐は悟った。
 部屋には数日分の食料と飲み物が入った冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、テーブル、椅子、ソファー、ベッドが置かれており部屋にもう二つドアが隠されておりそこにはトイレと風呂があった。
「何が目的なの?」
 燐は男の考えている事が分からず、困惑するのだった。
 そうして、この部屋で過ごすこと三日。
 男が出入りしていたドアが勇逸の出入口だと判明し、燐は部屋にあった道具や自身の身体を使い脱出しようと試みていた。
「クソっ! クソっ!」
 固く握った拳を床に叩きつけ、この状況を打破出来ない自分に腹立てる。
 こんな時に、長四郎が居てくれればそう思い始める燐であった。
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