探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第弐拾玖話-行方

行方-8

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「手短に願いますよ」
 佐野はそう言ってゲーミングチェアに座った。
「あんたの情報源を知りたいんだが」長四郎がそう言うと「言う訳ないでしょ」と一蹴される。
 佐野の投稿していた動画は連続して起きている女性誘拐事件の犯人は、池袋駅に潜んでいるという内容であった。
「あんたの情報はかなり的を得ているよ。実際にあんたの動画通りに調べていた奴が誘拐されているんだからな」
「まさかぁ~」信じられないといった感じの顔をする佐野。
「本当なんですよ。だから、教えて貰えませんか?」明野巡査が頭を下げてお願いする。
 佐野は少し考えこみ、自身の中で考えをまとめると口を開いた。
「分かりました。答えますよ。但し、条件があります」
「条件ですか?」絢巡査長は困った奴だなといった表情を見せる。
「そうです。教える代わりに警察が持つ情報を教えてください」
「無理です。教えたら動画にするんですよね?」
「そうですよ」佐野は当たり前のように明野巡査の疑問に答えた。
「良いでしょう。教えますよ」そう答えたのは遊原巡査であった。
「ちょっと!? 何言って」抗議する絢巡査長の口を塞ぎ遊原巡査は「ですが、こちらも条件を。リーク元は絶対に漏らさない。それともう一つ貴方の情報が嘘であった場合、公務執行妨害で逮捕する。どうでしょうかね?」と告げた。
「面白い刑事さんだ。分かりました。その条件で呑みましょう」
「話はまとまったな。じゃ、話してください」と長四郎が言うと佐野話し始めた。
「あれは、数日前に飲みに行った時に・・・・・・」
 佐野は撮影を終え日頃通うジムで汗を流した後、行きつけのバーへと向かった。
 そのバーは池袋駅東口を出てサンシャイン通りを一本外れたガールズバー、メイド喫茶が入る雑居ビルの地下にあるバーで池袋界隈の情報はここで手に入ると言っても過言ではない場所であった。
 そんなバーのカウンターに座り、一人酒を楽しんでいると真後ろのテーブル席から面白い会話が聞こえてきた。
「例の誘拐事件の犯人。駅に潜んでいるらしい」
「まさかぁ~」
 そんな会話に聞き耳を立て、佐野は話に入り込むチャンスを伺う。
「どうもな。駅に居るホームレスの話だと、割と良い給料を提示しに来る男がいるんだと」
「なんか、闇バイトみたいだな」
「俺も最初はそう思ったんだよ。でも、話を聞いたホームレスはそんな仕事じゃなかったって言うんだ」
「どういう事だよ」
 そこで、話をしている男達が飲んでいる酒が入ったグラスを持った佐野が「どうもぉ~」と言いながら二人の会話に割って入る。
「これ良かったら、飲んでください」
 困惑する男二人に持ってきた酒をテーブルに置く。
「記者か。何かですか?」
「はい。フリーの記者です。もし良かったらなんですけど、先程のお話を」
「これ、ご馳走になっても?」男は佐野が持ってきたグラスを見つめながら問うと、「ええ、取材費だと思って頂いて構いませんので」そう答えた。
「じゃあ、ありがたく頂きます」男は酒を口にした。
「で、そのホームレスの方はどのような仕事をなさったんでしょうか?」
「なんでも、買い出しを頼まれたと」
「買い出しですか?」
「日用品を買わされたとか言ってましたね。自分が必要な物も買わせてもらったとか」
「そうですか。他には?」
「う~ん。あ、なんかかなりのイケメンで高級スーツを着ていたとか」
「高級スーツですか? でも、何でその男が誘拐事件の犯人だと?」
「それがですね。後日にその男が誘拐するところを目撃したんですって」
「というのが、僕が聞き出した情報です」
 話終えた佐野は凝った首をコキコキと鳴らす。
「良い情報ですね。どうも、ありがとう」長四郎は礼を言いすぐに部屋を出ていく。
「あ、長さん!?」絢巡査長はその後をすぐに追っかける。
「で、警察の情報を教えてもらいましょうか?」
「お恥ずかしい話、有益な情報はないんですよ。だから、聞いてもニュースと変わりませんよ。ありがとうございました」
 遊原巡査は堂々とした態度で、佐野宅を後にした。
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