探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

文字の大きさ
588 / 770
第参拾話-将軍

将軍-23

しおりを挟む
 ゲネラールに逃亡された翌日、長四郎は事務所のソファーでぐっすりと眠っていた。
 当のゲネラールを見つけるのは警察の仕事だという事で、長四郎はそそくさと自宅兼事務所に帰ってきて今に至るのだ。
 あれからすぐに検問が引かれたが、ゲネラールはパトカーをすぐに乗り捨て検問に引っかかることはなかった。光浦はこれに業を煮やし、自身が現場に出て無駄な陣頭指揮を執り現場の捜査員達の意見に耳を傾けることもなく、捜査員達のフラストレーションが溜まっていくばかりで結局、ゲネラールを逮捕することはできなかった。
 そんな事を知らない長四郎は疲れを癒すように睡眠をむさぼっていたが、それを邪魔する着信メロディーがスマホから流れ始める。
「あ! はい、はい」
 ソファーから身体を起こし、着手相手を確認する。そこに書かれていた名前は不登校高校生。ここまでお付き合いの読者の方は察せると思う。ここまで読んで頂き本当にありがとう。
 では、お話に戻ろう。
「しもしも?」長四郎は不機嫌そうな口調で電話に出た。
「しもしも? じゃないでしょ。ま、良いや。ちょっと、顔貸しなさいよ」
「え~ 嫌だよぉ~」
「子供みたいな事を言わないで」
「精神年齢は5歳だから、無理」
 長四郎がきっぱりと言うと、電話の向こうに居る燐の溜息が聞こえてきた。
「今、甘木田さんと居るの?」
「はい?」
 甘木田はゲネラールとの対峙した後、警察へその身柄を保護されたのだった。それが今は燐と居る。長四郎はまた面倒くさい事になったな。そう思いながら口を開いた。
「ラモちゃんさ。どうして自ら危ないことに首を突っこむの?」
「楽しいから」その一言が全てを語っていた。
 付き合わされるこっちの身にもなれよ。そう思う長四郎は頭を掻きむしり覚悟を決めた顔つきとなり、「どこに行けば、良いの?」と告げた。
 燐に指定された場所は、更利満の遺体が発見された渋谷の再開発地区であった。
「なんでここなんだよ?」
 場所に着いた長四郎の第一声はそれであった。
「なんで、って。それをこれから話すんじゃない!」燐は両手を腰に当てムスッとする。
「熱海さん実はですね」甘木田が話し始めた。
 警視庁にその身柄を保護された後、事情聴取が行われた。
 ゲネラールについてあれこれ聞かれたが、甘木田は知らぬ存ぜぬと答えるしかなく四時間の間中、この押し問答が繰り返されもう狙われる事もなかろうと判断され保護は行われない事となり解放された。
 解放されたとはいえ、命を狙われているかもしれない身。甘木田は、警視庁庁内に居座ろうと食堂に向かい、そこで朝食を食べていた燐と遭遇し、燐に身柄の保護を依頼したのだ。
「女子高生に依頼するかね。普通」
 ここまで話を聞いた長四郎は毒を吐いた。
「いや、熱海さんの助手だって言うので」甘木田はお恥ずかしいみたいな顔をする。
「ツッコむところはそこじゃないでしょ? なんで、私達がここに居るのか?」
「ラモちゃん。それはさ、おおよその検討は付いているんだよ」
 長四郎は呆れ口調で燐に言った。
「ムカッ! あんたの検討は当たっているはずよ」
「で、奴さんからなんて連絡が来たんだい?」長四郎が本題を切り出した。
「ここに甘木田さんを連れてこい。それだけよ」
 依頼を引き受けた燐は一言文句を言ってやろうと思いたち、甘木田を命捜班の部屋で暇そうにテレビを見ていた一川警部に預け一人、捜査本部に乗り込んだ時の事であった。
 燐が捜査本部に足を踏み入れたその瞬間、ゲネラールから着信が入った。
 そこで、ゲネラールからの指示は最初の事件現場に甘木田照悟を連れてこいというもので次の指示はそこから追って知らせるという内容であった。
 大慌てで、甘木田の行方を捜索し始める捜査員達を出し抜き、燐はひっそりと甘木田を警視庁庁舎から連れ出して今、ここに居るのだった。
「ラモちゃんの行動力には感心するけど、ゲネラールからの指示はどうやって受けるつもりだったの?」
「どうやって? あ、ホントだ」
 捜査本部に預けている長四郎のスマホにゲネラールからの指示が来るが、この場所にはない。燐は詰めが甘かった。そう反省した。
「ホントだ。じゃないよ。ったく、どうせ次の指示はご本人から発せられるんじゃないか?」
 長四郎が言った瞬間、「その通りだよ。探偵さん」そう言いながら、ゲネラールは姿を現した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

処理中です...