701 / 770
第参拾伍話-都市
都市-14
しおりを挟む
「っていう事があってな・・・・・・」
長四郎は依頼人である小学生の常盤紘一に事の顛末を話した。
「僕の身代わりになった警官の方は大丈夫だったんですか?」
自分の身に危険が及んでいたにもかかわらず、自身の身代わり役を買って出た警官の身を案じるこの心づかいに長四郎は感心した。
「大丈夫だよ」
「良かったぁ~」安堵する紘一。
「お前さんはホントに良い奴だな。将来が期待できるよ」
「ありがとうございます」
「どっかの女子高生に聞かせてあげたいっ!!」
「私がなんだって?」
事務所を訪れた燐の第一声はそれであった。
「来てたんだ。紘一君」燐は紘一に話しかける。
「あ、はい。お邪魔してます」
「で、聞いてどうだった?」紘一に感想を求める燐。
「トリガさんじゃなくて良かったと思っています」
「そうかぁ~」
「彼女はね、そういう事が聞きたいんじゃないんだよ。自分の推理で事件を解決したことを褒めて欲しいって言いたいのよ」
燐の気持ちを代弁する長四郎に燐のカウンターパンチがお見舞いされる。
「ぐげぼっ!!」
「か、かっけぇ~」
燐の技を見て、あまりのカッコよさに紘一は惚れ惚れする。
「ありがとう。それより、事件の犯人聞いた感想は?」
不躾な質問をする燐に長四郎は「はぁ~」と深いため息をつく。
「死に際の笑顔を見たいっていう理由で、顔を引きつらせていたって聞いた時はゾッとしました」
「やっぱり、そうだよね。私もそうだったの」
「ラモちゃんはそんな話をしに来たのか?」
「うん、そうだよ」
「ひっどい、女」
「そんなことないし。ねぇ」
「は、はい」何とも答え難そうな顔をする紘一に長四郎は同情する。
「じゃ、僕はこれで帰ります。ありがとうございました」
「おう、気を付けて帰れよ」
「はぁ~い」
斯くして、紘一は帰宅の途についた。
「ねぇ、私の連絡を無視している間に、塾を嵌める算段を取っていたんでしょ?」
「そうだよぉ~ 彼に近い身長の警官を用意してもらっている間に、病院にも協力を取り付けてさ」
「ホント、人を嵌めることに特化しているよね」
「お褒めの言葉ありがとう」
「ありがとうじゃねぇし」
「あ、そう言えば」長四郎はある事を思い出した。
「何?」
「紘一君が来た時、変なおばさんが居たんだよ。事務所に」
「ああ、それ。私のママ」
「ママ!?」
「うん。言ってなかった?」
「言ってねぇよ。んだよ。ラモちゃんのママかよ・・・・・・」
「あんたの事言ってたよ。頼りなさそうって」
「親子そろって、悪口かよ」
「でも、こうも言ってたよ。優秀そうだって」
「貶すか褒めるかどっちかにしてもらいたいものだな」
「ま、良いじゃない。今回の事件を解決したって、話したら褒めてたよ。うちのママが褒めるって珍しいんだから」
「ヘイヘイ」
長四郎はこの親子に苦しめられそうだなとそう予感するのだった。
完
長四郎は依頼人である小学生の常盤紘一に事の顛末を話した。
「僕の身代わりになった警官の方は大丈夫だったんですか?」
自分の身に危険が及んでいたにもかかわらず、自身の身代わり役を買って出た警官の身を案じるこの心づかいに長四郎は感心した。
「大丈夫だよ」
「良かったぁ~」安堵する紘一。
「お前さんはホントに良い奴だな。将来が期待できるよ」
「ありがとうございます」
「どっかの女子高生に聞かせてあげたいっ!!」
「私がなんだって?」
事務所を訪れた燐の第一声はそれであった。
「来てたんだ。紘一君」燐は紘一に話しかける。
「あ、はい。お邪魔してます」
「で、聞いてどうだった?」紘一に感想を求める燐。
「トリガさんじゃなくて良かったと思っています」
「そうかぁ~」
「彼女はね、そういう事が聞きたいんじゃないんだよ。自分の推理で事件を解決したことを褒めて欲しいって言いたいのよ」
燐の気持ちを代弁する長四郎に燐のカウンターパンチがお見舞いされる。
「ぐげぼっ!!」
「か、かっけぇ~」
燐の技を見て、あまりのカッコよさに紘一は惚れ惚れする。
「ありがとう。それより、事件の犯人聞いた感想は?」
不躾な質問をする燐に長四郎は「はぁ~」と深いため息をつく。
「死に際の笑顔を見たいっていう理由で、顔を引きつらせていたって聞いた時はゾッとしました」
「やっぱり、そうだよね。私もそうだったの」
「ラモちゃんはそんな話をしに来たのか?」
「うん、そうだよ」
「ひっどい、女」
「そんなことないし。ねぇ」
「は、はい」何とも答え難そうな顔をする紘一に長四郎は同情する。
「じゃ、僕はこれで帰ります。ありがとうございました」
「おう、気を付けて帰れよ」
「はぁ~い」
斯くして、紘一は帰宅の途についた。
「ねぇ、私の連絡を無視している間に、塾を嵌める算段を取っていたんでしょ?」
「そうだよぉ~ 彼に近い身長の警官を用意してもらっている間に、病院にも協力を取り付けてさ」
「ホント、人を嵌めることに特化しているよね」
「お褒めの言葉ありがとう」
「ありがとうじゃねぇし」
「あ、そう言えば」長四郎はある事を思い出した。
「何?」
「紘一君が来た時、変なおばさんが居たんだよ。事務所に」
「ああ、それ。私のママ」
「ママ!?」
「うん。言ってなかった?」
「言ってねぇよ。んだよ。ラモちゃんのママかよ・・・・・・」
「あんたの事言ってたよ。頼りなさそうって」
「親子そろって、悪口かよ」
「でも、こうも言ってたよ。優秀そうだって」
「貶すか褒めるかどっちかにしてもらいたいものだな」
「ま、良いじゃない。今回の事件を解決したって、話したら褒めてたよ。うちのママが褒めるって珍しいんだから」
「ヘイヘイ」
長四郎はこの親子に苦しめられそうだなとそう予感するのだった。
完
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる