探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第参拾漆話-試練

試練-1

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“No.1ビル開業レセプションパーティーへ参加の方は、100階へとお上がり下さい”

 そうアナウンスが流れる。

「ほらっ、上がるよ」羅猛 燐らもう りんは友人の海部うみべ リリ、私立探偵の熱海 長四郎あたみ ちょうしろうを引き連れてエレベーターに乗ろうとする。

「あ、待ってよ。燐」リリは平然とした感じなのに対して長四郎はというと。

「俺、やっぱ帰るわ」とUターンして帰ろうとするのを燐が首根っこを掴み阻止する。

「ここまで来て何、言ってるのよ」

「いや、セレブには似つかわしくないから」

「そんなことないと思いますけど」とリリが言う。

「リリ。こいつ、高い所が苦手と見えた」燐に見透かされた長四郎はギクッと思わず声に出しそうになる。

「行くよ」燐に引きずられる形で長四郎は100階のパーティー会場へと連れて行かれた。

 高速エレベーターであっという間に100階のフロアに到着した。

「グズグズしないで降りるよ」

 まだ、駄々をこねる長四郎を燐は無理矢理、引き連れて行く。

「うわっ! もうダメっ!!」長四郎は目を覆う。

 100階から外の景色が一望できる全フロアガラス張りなので、高所恐怖症の長四郎にとっては酷な場所であった。

「すっごーい一面、ガラス張りだ!!」
 リリは窓の方に駆けっていく。

「ちょっと、リリ。はしゃがないよ」

「燐も来なよ。すごいよぉ~ 人がまるでゴミのようだ」

「行けよ、逃げないから・・・・・・」顔が真っ青な長四郎は燐にそう言い燐はその言葉に従う。

「何、子供みたいにしてるのよ」

「ごっめぇ~ん」とリリは手を合わせて謝る。

「でも、見てみなよ」
 リリは窓の先を指差して燐に見るように促す。

「あ、本当だ。人がまるでゴミのようだ」

 そうこうしていると“ウェルカムドリンクをお受け取り下さい”とアナウンスが流れる。

 燐達は未成年なのでジンジャーエールをもらい、血相をかいている長四郎はシャンパンをもらう。

 着付けに一杯、長四郎は乾杯の前にぐぅ~っと飲み干す。

「ふぅ~ 生き返った」

「なんで、乾杯の前に飲み干す訳?」

「不安な時にグッと気合いを入れるにはこれよ」

 そう答える長四郎の目に、不自然に置かれた箱が目に入る。

 ラッピングされているがテーブルとテーブルの間に置かれ、正直言って通路の邪魔になる場所に置かれていた。

 とはいえ、取り立てて気にするものではないと思い、放っておくことにした。

「あ、どうも」

 長四郎はスタッフから二杯目のシャンパンをもらい、乾杯の合図まで待つ。

“本日、来賓されているお客様に申し上げます。本日のレセプションパーティーにはサプライズが多くとても楽しいものとなっております。どうぞ、ご期待ください”

 そうアナウンスが流れたその時!!

 天井の空調の排出口から黄色のガス流れ始める。

 会場の客から歓声の声が上がった。サプライズの類らしい、客達はそう思った。

 一人を除いて。

 30秒程、経った頃、一人の客がバタッと倒れた。それに続いて、二人、三人と続いていく。

「口と鼻を覆え!!!」長四郎は燐とリリに指示を出す。

 すぐに二人はその指示に従ってハンカチで鼻と口を覆う。

「あれか!」

 長四郎は気になっていた箱を開けると、防毒マスクが6個入っていた。

 それを燐とリリ、近くに居た人間に手渡し難を逃れた。

 ガスが充満した頃には、会場に居たほとんどの人が倒れていた。

「どういう事?」燐が説明を求めると「俺が知るか!」と答える長四郎。

「そんな事、言ってないで。警察に通報しないと」リリは冷静に警察に通報しようとスマホを出すのだが、圏外になっていた。

「圏外だ!」

「やられたな・・・・・・」長四郎は苦虫を嚙み潰したような顔をする。

 残った人間が戸惑っていると、アナウンスのスイッチが入った音が聞こえた。

“この場に残った皆さんに朗報です。これから5つの試練を乗り越えてもらいます。さすれば、このビルから脱出できます! さぁ、ゲームの始まりだぁ!!!”
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