迸れ!輝け!!営業マン!!!

飛鳥 進

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第3話-報道

報道-5

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 打ち合わせを終えた三邉ミミは取材準備の為、メイク室でメイクをしてもらっていた。
「これからどこ行くの?」メイクアップアーティストにそう聞かれたミミは「麻布のレストランです」と答えた。
「へぇ~美味しいのかな?」
「美味しかったら良いんですよ。美味しくなかったら、私の腕の見せ所です」
「じゃあ、頑張って頂戴!!」
 両肩をポンポンっと叩かれたミミは「ありがとうございました」と礼を言い、メイク室を出る。
 メイク室の前で、京助と薫が待っていた。
「先程はどうも」京助がそう声を掛けた。
「どうも」
 軽い会釈だけして歩き始めるミミに帯同する二人。
「実は三邉さんにお聞きしたいことがありまして」
「私にですか? アナウンス部を取り仕切る重部に聞いた方が宜しいのではないでしょうか? 私より、重部の方が田沢さんの事をよく知っていると思いますよ」
「いや、その方には別の刑事が聞いていますから」薫が事情を説明した。
「はぁ」
 どこか納得していない様子のミミは急ぎ足でアナウンス部に戻ろうとする。
「これからのスケジュールは?」
「麻布で取材です」
「そうですか。もし宜しければ、同行させてもらっても良いでしょうか?」
「え?」
 思わず立ち止まってしまうミミを、何を驚く必要があるという顔で見る京助と薫。
「ダメでしょうか?」京助がそう尋ねる。
「何故、付いてこられるんですか?」
「お忙しそうなので、同行させて頂きながらお話を伺えたらと」
 薫は申し訳なさそうに願い出る。
「分かりました。ディレクターに伝えておきますから」
「よろしくお願いします」薫はミミに一礼する。
「では、地下駐車場で待っていてください。私、準備してきますから」
 ミミは二人に告げると、アナウンス部へと足早に向かっていった。
「金智さん、どうして彼女にこだわるんですか?」
 アナウンス部へと向かうミミを見ながら、京助に質問をする。
「どうしてって、可愛いから」
「ちょっと、真面目に捜査してください!」
「真面目って言われてもな。俺、刑事じゃないし。それにさ、よく言うじゃん。可愛い子には毒があるって」
「それ、綺麗なバラには棘があるじゃないですか?」
「そうとも言う」
「全く、地下駐車場に行きますよ」
「はぁ~い」
 京助は薫と共に、地下駐車場へと移動するのだった。
 アナウンス部の女性ロッカールームに入ってすぐミミは、嗚咽を漏らす。
「大丈夫?」
 近くにいた出社したばかりの先輩アナウンサーが心配そうに声を掛けた。
「大丈夫です。心配かけてすいません」
「ううん、無理ないわよ。あんなことがあったんだから・・・・・・」
「そうですよね。あ、すいません。気をつかせてしまって」
「気にしないで」
「ロケ、行ってきます」
 ミミは自分のロッカーからバックと春物コートを取り出し、大急ぎで地下駐車場へと向かった。
 だが、ミミは気づいていなかった。自分のロッカーから小瓶が落ちた事を。
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