120 / 125
第6章:不和
23・小花の立場――西園寺家――
しおりを挟む「ひどい……ひどいよっ……」
私はもう、何が何だかわからなくなっていた。
ただひどいと……それしか思えない。
七海さんと亜紀さんが目の前で乱暴されているというのに、誰も助けようとしないこともひどいと思う。
これが他家のことには口を出せないっていうことなのかもしれないけれど、それにしてもひど過ぎるよ!
「もう、本当にやめてってば!」
思い切り暴れて将成さんの腕を振り払うと、私は海斗の元へと駆け寄り、彼の頬を打った。
頬を打たれた海斗は、絶対に避けることができたはずなのに、避けずに私に殴られ、何故か嬉しそうに笑う。
「なぁ、そのやめてって言うのは、西園寺家の末娘であり、真中の姫と判明した小花様からの命令か?」
「え? 何、それ……」
西園寺家の末娘っていうのはともかく、真中の姫って呼び名は何なのって思う。
西園寺家の水の力とは別に、真中の治癒の力に目覚めたからってことなのかな?
「命令って言ったら、七海さんに乱暴するのをやめてくれるの?」
「あぁ、俺は小花様のボディーガードになるからな。小花様の命令に従う」
海斗はニヤニヤ笑いながら頷いた。
「じゃあ、ボディーガードなんて要らないけど、もう七海さんにひどいことをするのを止めて! これは命令だよ!」
私がそう言うと、海斗は頷きその命令を素直に聞いてくれた。
だけど私が七海さんの傷を治そうと手を伸ばすと、
「小花様、それは駄目だ」
と言い、遮る。
「どうして邪魔をするの? 邪魔しないでよ! これも命令だよ!」
「いくら命令でも聞けないことはある。小花様は真中の治癒の力を使うとき、相手の傷を自分の体に移して治すだろう。小花様が再び傷を負うなど、許されることではない。これだけは、どんなに命令されても従うことはできない」
どうやら海斗は私の体のことを心配してくれているらしい。
「それに、分家にそんな優しさは要らない。その優しさは、分家に勘違いをさせ、つけ上がらせる。そして分家をつけ上がらせた結果が、今の小花様だ」
「え?」
分家をつけ上がらせた結果が、今の私--。
私はみんなと仲良くしたかっただけなのに、どうして上手くいかないんだろうな。
本家と分家の溝って、埋められないのかな?
いや、埋めちゃいけないものなのかな?
「そんなに心配しなくても、これ以上こいつには手を上げないから安心しろ」
安心しろと言われても、七海さんはボロボロだ。
だけど、どうしても海斗は七海さんの治療をさせてくれなかった。
でも、これ以上は七海さんの手を上げないと言っているから、海斗のことを少しは信じていいのではないかと思う。
じゃあ、次は亜紀さんの方だと、私は裏東家のおじいさんを睨みつけた。
1
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。
西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。
私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。
それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」
と宣言されるなんて・・・
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる