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第2章:周央学園
8・双子の兄姉
しおりを挟む「双子?」
「そう。優介と麗華っていう、兄と姉。その二人が、大樹たちと同じ学年に居る。俺はあいつらの事、二人まとめてユーレイって呼んでる」
「ユーレイって……」
「優介と麗華だから、二人まとめてユーレイだろ?」
確かにそうかもしれないけれど、自分のお兄ちゃんとお姉ちゃんをまとめてユーレイとかって、ひどくない?
「ちい兄、もしかして、そのお兄ちゃんとお姉ちゃんとは、仲が悪いの?」
そう尋ねると、ちい兄は何の躊躇いもなく、大きく頷いた。
「兄弟って言っても、奴ら、俺の事なんて、ほとんど無視してやがるからな。俺の兄弟は、お前だけだって思ってる。だいたい、あの二人がしっかりしてたら、俺があの家に連れて行かれる事もなかったかもしれないんだよ。そう考えたら、本当にいろいろとムカつく」
「え? どういう事?」
高校入学と同時に、いろんな事を聞いて、頭がパンクしそうだ。
「小花、さっき千隼が、四家は互いにライバル視し過ぎてるって言ってただろ? 覚えているか?」
大樹さんの問いに、私は覚えていると頷いた。
「互いをライバル視するのは、俺たちの親世代がある事で揉めて、仲が悪くなったせいだ。まぁ、うちの親はそれほどでもなかったが、西園寺、南京極、北御門の三家は仲が悪くてな。同学年に子供が生まれた事もあり、絶対に一番を取れ、というプレッシャーを子供に与え続けていたんだ。うちは、そうでもなかったんだけどな」
賢さんが言っていた、我関せずを貫いていた、というのを思い出す。
何故かはわからないけれど、大樹さんの東宮司家だけは、子供にプレッシャーを与えるような事をしなかった、という事らしい。
家によっていろいろなんだなぁ。
「小花は、あいつらに会ってみたいか?」
大樹さんに聞かれ、私は考える。
少し心配そうな表情で、ちい兄やおじいちゃんたちが私を見つめていた。
考えた結果、
「よくわからない」
というのが、私の気持ちだった。
ちい兄以外の兄姉が居るって言われても、なんか信じられないし、私はお父さんにだってまともに会った事がないのだ。
例え血が繋がっていたとしても、お父さんや顔も知らない双子の兄姉を、家族だとは全く思えなかった。
「別に、会えなくてもいいかな」
会っても、どんな反応をすればいいのかわからないし。
私がそう言うと、大樹さんは、そうか、とだけ答えた。
「でも、私から会いに行った方がいいのかな?」
ちらりとちい兄を見ると、
「会う必要なんてねぇよ。気にするな」
と言う。
「あいつらには今そんな余裕はないし、会ったら、お前、絶対にがっかりするからさ」
「え?」
ちい兄がぽつりと呟くように言って、私はそれがどういう意味なのかちょっと気になったけれど、それ以上聞く事ができなかった。
「わぁっ」
賢さんの膝でおにぎりを食べていた昌央が、ジュースを取ろうとしてひっくり返してしまったからだ。
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