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第5章:闇
1・二人だから頑張れる
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「うーん、なかなか上手くいきませんわ」
茉莉花が深いため息をつき、ジャージのそでで流れる汗をぬぐった。
「そりゃ、二週間も休んでたら、腕も落ちるって」
そう言ってゲラゲラ笑ったのは、賢さんだ。
二週間ぶりに妖気浄化訓練に参加した茉莉花は、私が大樹さんのコーチを受けている流れから、私と一緒に大樹さんにコーチをしてもらう事になった。
これに驚いたのは、もちろん茉莉花のお姉さんである、蘭華さんだ。
「茉莉花! 東の方にコーチをしていただくなど、いけません!」
って言って茉莉花を止めに来たんだけど、ここで大樹さんはあっさりと、別に構わないと答えたのだ。
「小花を見るついでだ。構わない。それに、お前の妹が一緒だと、小花も張り切るだろう。今日の小花は、久しぶりにとても楽しそうだ」
楽しそう、と大樹さんが言った事で、蘭華さんが眉を顰めた。
「訓練を、楽しむなんて」
と言う蘭華さんは、真面目な人なのだと思った。
「俺は、別に構わないと思う。それに、誰かと一緒だからこそ、力を発揮する事もあるだろう。特にこの二人は四家の者だ。四家同士が妖気浄化で連携できれば、妖気浄化の威力が増すかもしれない」
「連携?」
茉莉花と二人で首を傾げると、
「一人で無理なら、二人で行えば良いという事だ。一人では無理でも、二人でならより高いレベルの妖気浄化を行えるだろう」
と大樹さんは説明してくれた。
なるほど、と私と茉莉花は顔を見合わせる。
「小花、お前はまだまだ初心者だ。まずは低めのレベルで集中して、西園寺家の水の力のコントロールを覚えるんだ。南京極の妹、お前は姉と同じスタイルだが、持久力と集中力がない。地道な体力づくりと、小花と一緒に南京極の炎の力のコントロールの訓練を行え。そして、当面の目標は、お前たち二人でレベル2の妖気浄化だ」
「はい!」
大樹さんの指示に、私と茉莉花は頷いた。
「蘭華も将成も千隼も俊秀も、気づいた事があればこの二人に言ってやってくれ。まだまだ未熟者の二人だ。早く一人前にしてやらねば、怪我をするし下手をすれば命を落とす……そんな事させたくないだろう?」
怪我をするのも死んじゃうのも嫌だなぁと考えていると、
「そうですわね。茉莉花はわたくしの大切な妹ですし、それに、小花さんも……」
「そう、だな。小花に怪我をさせたくないな」
蘭華さんだけでなく、将成さんまでもが頷いた。
嫌われるより好かれている方が嬉しいけれど、とても意外だった。
じっと顔を見つめると、
「小花は、理想の妹、という感じでとても可愛いからな! 俺の事は、お兄さんと呼んでくれてもいいぞ!」
と言って、将成さんは豪快に笑う。
「いや、小花の兄貴は俺だから!」
慌てたようにちい兄が突っ込むと、将成さんは、そうだったな、と言ってまた豪快に笑った。
「まぁ、俺はまだ小花に教えてやれるレベルじゃないけどな」
「確かに、得物に頼る千隼のスタイルは、小花には合わないだろうな」
大樹さんの言葉に、ちい兄は苦笑する。
ちい兄の得物って、ヌンチャクなんだよね。
賢さんがこっそりと教えてくれたんだけど、ちい兄は賢さんに憧れて、自分の得物をヌンチャクにしたのだそうだ。
だからちい兄は、西園寺家の水の力の使い方を覚えるよりも、先にヌンチャクの使い方を覚えてしまい、妖気浄化が分家の人のように得物頼りになってしまっているらしい。
ちなみに賢さんの得物は、三節棍という、ヌンチャク三本繋がっているような武器で、賢さんはそれを軽々とカッコよく振り回している。
でも、そんな賢さんを見たら、憧れちゃうのは仕方がないよね。
「あの人が居れば、小花さんに上手く教えてあげられたかもしれませんわね」
ぽつんと呟くように、蘭華さんが言った。
大樹さんや将成さんが、あぁ、と頷き、ちい兄が俯く。
誰の事だろうと気になったけれど、
「小花、蘭華の妹、お前たち二人は、まずはレベル1を余裕でクリアできるようになれ」
と急かされて、私と茉莉花は妖滅室へと向かった。
茉莉花が深いため息をつき、ジャージのそでで流れる汗をぬぐった。
「そりゃ、二週間も休んでたら、腕も落ちるって」
そう言ってゲラゲラ笑ったのは、賢さんだ。
二週間ぶりに妖気浄化訓練に参加した茉莉花は、私が大樹さんのコーチを受けている流れから、私と一緒に大樹さんにコーチをしてもらう事になった。
これに驚いたのは、もちろん茉莉花のお姉さんである、蘭華さんだ。
「茉莉花! 東の方にコーチをしていただくなど、いけません!」
って言って茉莉花を止めに来たんだけど、ここで大樹さんはあっさりと、別に構わないと答えたのだ。
「小花を見るついでだ。構わない。それに、お前の妹が一緒だと、小花も張り切るだろう。今日の小花は、久しぶりにとても楽しそうだ」
楽しそう、と大樹さんが言った事で、蘭華さんが眉を顰めた。
「訓練を、楽しむなんて」
と言う蘭華さんは、真面目な人なのだと思った。
「俺は、別に構わないと思う。それに、誰かと一緒だからこそ、力を発揮する事もあるだろう。特にこの二人は四家の者だ。四家同士が妖気浄化で連携できれば、妖気浄化の威力が増すかもしれない」
「連携?」
茉莉花と二人で首を傾げると、
「一人で無理なら、二人で行えば良いという事だ。一人では無理でも、二人でならより高いレベルの妖気浄化を行えるだろう」
と大樹さんは説明してくれた。
なるほど、と私と茉莉花は顔を見合わせる。
「小花、お前はまだまだ初心者だ。まずは低めのレベルで集中して、西園寺家の水の力のコントロールを覚えるんだ。南京極の妹、お前は姉と同じスタイルだが、持久力と集中力がない。地道な体力づくりと、小花と一緒に南京極の炎の力のコントロールの訓練を行え。そして、当面の目標は、お前たち二人でレベル2の妖気浄化だ」
「はい!」
大樹さんの指示に、私と茉莉花は頷いた。
「蘭華も将成も千隼も俊秀も、気づいた事があればこの二人に言ってやってくれ。まだまだ未熟者の二人だ。早く一人前にしてやらねば、怪我をするし下手をすれば命を落とす……そんな事させたくないだろう?」
怪我をするのも死んじゃうのも嫌だなぁと考えていると、
「そうですわね。茉莉花はわたくしの大切な妹ですし、それに、小花さんも……」
「そう、だな。小花に怪我をさせたくないな」
蘭華さんだけでなく、将成さんまでもが頷いた。
嫌われるより好かれている方が嬉しいけれど、とても意外だった。
じっと顔を見つめると、
「小花は、理想の妹、という感じでとても可愛いからな! 俺の事は、お兄さんと呼んでくれてもいいぞ!」
と言って、将成さんは豪快に笑う。
「いや、小花の兄貴は俺だから!」
慌てたようにちい兄が突っ込むと、将成さんは、そうだったな、と言ってまた豪快に笑った。
「まぁ、俺はまだ小花に教えてやれるレベルじゃないけどな」
「確かに、得物に頼る千隼のスタイルは、小花には合わないだろうな」
大樹さんの言葉に、ちい兄は苦笑する。
ちい兄の得物って、ヌンチャクなんだよね。
賢さんがこっそりと教えてくれたんだけど、ちい兄は賢さんに憧れて、自分の得物をヌンチャクにしたのだそうだ。
だからちい兄は、西園寺家の水の力の使い方を覚えるよりも、先にヌンチャクの使い方を覚えてしまい、妖気浄化が分家の人のように得物頼りになってしまっているらしい。
ちなみに賢さんの得物は、三節棍という、ヌンチャク三本繋がっているような武器で、賢さんはそれを軽々とカッコよく振り回している。
でも、そんな賢さんを見たら、憧れちゃうのは仕方がないよね。
「あの人が居れば、小花さんに上手く教えてあげられたかもしれませんわね」
ぽつんと呟くように、蘭華さんが言った。
大樹さんや将成さんが、あぁ、と頷き、ちい兄が俯く。
誰の事だろうと気になったけれど、
「小花、蘭華の妹、お前たち二人は、まずはレベル1を余裕でクリアできるようになれ」
と急かされて、私と茉莉花は妖滅室へと向かった。
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