コールド伯爵令息の身勝手な愛は、一国を滅ぼす

明衣令央

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第二章:ベル・ガンドール

24・決意

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 もしも、落ち着いた場所で、私が広範囲の防御魔法……結界を張り続ける事ができたら。

 それができれば、伯父様やみんなは、戦わずに済むかもしれない。
 魔法の修行を積んで、もっと強力な魔法が使えるようになれば、東と西の森から魔物を消す事ができるかもしれない。
 そんな事をちらりと考えてしまった私は、少しは前向きになったのかもしれなかった。

 それに、一つ気にかかる事がある。
 私の結婚は、オウンドーラ王と伯父様との間で、すでに決まってしまっているという事だ。
 王様と契約したと、伯父様は言っていた。
 それなら、私が嫌だと駄々をこねたら、伯父様の立場が悪くなってしまうのではないだろうか。

「ベル……だいぶ、落ち着いたかい?」

「大丈夫?」

 私を心配してくれる親友二人に、私は頷いた。
 結婚の話を聞いてから、すでに三日経っていた。
 この間、私は癇癪を起して、伯父様と一言も口をきいていない。
 確か、結婚式は一週間後だと言っていたから、あと四日しかないというのに、何をしていたのだろうと思う。

「うん、だいぶ、落ち着いた……」

 私が頷くと、タイラーとマディは安心したように笑った。
 私も笑って……二人に決意を伝える。

「私、結婚するね」

「ベル……」

「手紙、書くね。二人とも、返事をちょうだいね……」

「うん、絶対手紙、書くよ!」

「タイラーと二人で、必ず会いに行く……」

「あぁ、必ず俺たち二人で、ベルに会いに行くよ」

 二人の言葉は嬉しかったが、私は首を横に振った。
 気持ちは嬉しいけれど、会いに来なくてもいい。
 その代わり、私は二人にお願いがあった。

「ベル、お願いって、何だい?」

「何でも言って?」

「ありがとう! あのねっ……伯父様の事なんだけどっ……。伯父様の事を、どうか、よろしくお願いしますっ」

 そう言って頭を下げると、タイラーとマディは駆け寄ってきて、私をギュっと抱き締めてくれた。

「もちろんだよ、ベル」

「大丈夫よ、任せて」

「ありがとう……」

 伯父様はとても体が大きくて、見かけは怖いけれど、本当はとても優しい人。
 だから、いつも自分の事は放ったらかしで、誰かを庇って傷ついてしまう。
 でも、ひどい怪我をしても放ったらかしで、熱が出てもそのままで。
 私がそばに居ないと、無茶ばっかりする可能性があるから。

「タイラー、マディ、伯父様の事、よろしくね。私の代わりに、あの人が無茶しないように、見ててあげてねっ」

 繰り返すと、わかっている、と二人も繰り返し言ってくれた。

 王都に行ったら、私はしっかり魔法の修行をしよう。

 それで、防御魔法で結界を張って、この国を、ううん、この砦のみんなを、魔物たちから守るんだ。

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