コールド伯爵令息の身勝手な愛は、一国を滅ぼす

明衣令央

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第三章:それぞれの思惑

57・傭兵たちのこれから

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 話は、数時間前に戻る。
 ベルを休ませたいという理由から、ギルベルトたちは王都オフレンドに宿を取っていた。

「ビル、ベルはどうだ?」

 ベルの診察をしていた、マディの父親であり医者でもあるビル・ヒドルスは、ギルベルトと、タイラーの父親であるダンカン・ダウソンの待つ部屋に戻って来ると、苦笑した。

「そうだな……あの傷で、よく生きていたものだ。ギルベルト、フェンリルくんには本当に感謝した方がいい。彼が居なければ、ベルは確実に死んでいただろう」

 ベルを診察したビル・ヒドルスは、そう言ってギルベルトを見つめた。

「ベルの体は、完全に元のようにはならないだろうね。もちろん、リハビリを続ければかなり動けるようになるだろうが、完全に元通りにはならないよ。あと、ずっと失っていた記憶を取り戻したばかりだと言っていた。不自由な体に、精神的疲労、そしてオウンドーラの王宮での防御魔法の使用で、かなり衰弱してしまっている。命には別条ないが、しばらくの間はどこかに留まって、ゆっくりした方がいいだろうね」

「そうか……」

 ベルの体にとって一番いいのは、この王都オフレンドに留まる事だろうが、それはしたくなかった。
 それはフェンリルたちも同じだろう。
 では、どうするか……フェンリルたちは、何か考えているのだろうか?

「誰か、来た……」

 ドアの外に誰かの気配を感じ、ギルベルトは呟いた。
 ドア近くに居たダンカンが立ち上がり、ドアを開けると、そこに居たのはチェスター・パーシーだった。

「うわっと……驚いた……」

 チェスターは、ワインを持ち、トレイにワイングラスとつまみを載せてそこに居た。

「チェスターくん、どうしたんだい?」

「いや、今後の事を相談したいと思いまして、ね。西の砦は、だいたい頭を使う事は、俺がやらされるんですよ。相談に乗ってください。あと……飲みましょうよ。みんな、砦の警備から解放されて遊びに行ってますから、こっちも楽しくやりましょう」

 ダンカンがちらりとギルベルトへと目を向けた。
 ギルベルトが頷くと、ダンカンはチェスターを部屋の中に入れる。

「じゃあ、失礼しまぁす」

 チェスターはテーブルにワインとトレイを置くと、コルクを抜き、グラスに注いでいく。

「じゃ、晴れて森の砦から解放されたって事で、乾杯」

「あぁ、乾杯」

 苦笑しながら、四人はグラスを合わせた。
 砦に居る時は、魔物の襲撃があるため、ゆっくり飲む事ができなかった酒を味わう。

「ところで、いきなり本題なんですけど……」

「あぁ、そうだな」

「みんなで、村でも作っちゃいません?」

「は?」

 チェスターの言葉に、ギルベルト、ダンカン、ビルの三人は、首を傾げた。
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