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第三章:それぞれの思惑
56・オウンドーラ王国のこれから
しおりを挟む「さてと、一つずつ片づけていかねばな……」
やらなくてはならない事は、山ほどあった。
それを一つずつ片づけていかねばならない、とかなり冷静になったオウンドーラ王は思う。
まず始めに、第二砦と第三砦の守りを強化しなければならなかった。
東と西の森からどのくらいの魔物たちが出てくるかはわからない。
ギルベルトたちが、東の森の九割の魔物たちを倒していたと言っていたから、同じ数の魔物をフェンリルたちが西の森で倒していたとすると、それらが全て森から出てくる事になるーーオウンドーラ王はその様子を想像し、ぞっとした。
だが、第二砦と第三砦を守る騎士や兵士たちには、この国のために、なんとしても踏ん張ってもらわなければならなかった。
そのためにも、できるだけ多くの回復アイテムを用意してやらねばならない。
次に、騎士や兵士と共にこの国のために魔物と戦ってくれる者を、集めなければならなかった。
本当なら、ギルベルトたちがそうしていたように、第一砦を守ってもらいたいところではあるが、贅沢を言っている場合ではない。
第二砦でも第三砦でも、どこだっていい。魔物と戦ってくれる者たちを集めねばならなかった。
そして、一番大切な事――。
東と西の第一砦を守る傭兵たちが手を引く事を、国民たちに知られてはならなかった。
それを知れば、きっと国民たちはパニックに陥るだろう。
だが、万が一知られてしまったとしても、この国の戦力だけで戦えるのだと言い、安心させてやればいい。
国民たちがオウンドーラ王を、この国を信じれば、パニックは収まるだろう。
そのために、国民に最も知られてはいけない事は、コールド伯爵の三男がしでかした事と、オウンドーラ王が傭兵たちにした行いだった。
それを国民に知られれば、オウンドーラ王は国民の信頼を失い、本当の大パニックになるだろう。
これだけは、どうあっても避けねばならなかった。
オウンドーラ王は側近や王立騎士団の団長を呼び、全ての指示をした後、深い息をついた。
「ギルベルトたちに、口止めをしておくべきだったか……」
オウンドーラ王はそう思ったが、大丈夫だろうと思い直した。
ギルベルトたちはきっと、すでにこの国を出てしまっているだろう。
だが、オウンドーラ王のその考えは、間違っていた。
この日の夜、王都オフレンドでは、オウンドーラ王が最も恐れていた事態が起こり、王宮とコールド伯爵家には、多くの国民たちが押しかけた。
「コールド伯爵の息子と、オウンドーラ王がギルベルト様たちを怒らせて、東と西の第一砦の傭兵が、両方この国から手を引くっていうのは、本当なんですか!」
「コールド伯爵の息子が、結婚相手のギルベルト様の娘さんを殺して、別の女と暮らしていたっていうのは、本当なんですか! そして、オウンドーラ王がそれを見て見ぬ振りをしていたっていうのは、本当なんですか!」
「オウンドーラ王! ギルベルト様の娘さんを捕らえて、ギルベルト様を脅そうとしたっていうのは、本当の事なのですか!」
押し寄せる国民たちに、オウンドーラ王は戦慄した。
一体、誰が国民たちに真実を教えたのだろうか?
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