コールド伯爵令息の身勝手な愛は、一国を滅ぼす

明衣令央

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第三章:それぞれの思惑

59・王国の未来

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「この国の兵力だけで、魔物たちの襲撃だけなら、なんとか防げるかもしれません。でも、それだけだ。いずれ力尽きてこの国は魔物たちに滅ぼされるでしょう。元々、この国はかなりまずい位置にありましたからね」

「あぁ」

 オウンドーラ王国は、北、東、西を岩山に囲まれた、袋小路のような場所にある国だった。
 他国へと続く南に街道が伸びては居るが、その街道を挟んで魔物が居る森が広がっている。
 そこでオウンドーラ王は東と西の森に砦を置き、傭兵たちを雇って魔物を狩らせ、王都を守ってきた。
 だが、傭兵たちの仕事は魔物を狩るだけではない。
 街道を通る人々の護衛も兼ねていたのだ。

「俺たちがこの国から手を引くという事は、王都オフレンドに住む人々は、もうあの森を越えられないという事になります。それは、今まで王都オフレンドへと訪れていた商人たちが、もう来なくなるという事です。危険を冒してまであの街道を抜けて、王都オフレンドへ向かおうという商人なんていないでしょうし」

 そうして出口を塞がれた王都オフレンドは、兵力が尽きた時に滅びる事になりますから。

 そう続けたチェスターに、ギルベルトたちは、あぁ、と頷いた。
 そこまで読んでいたか、若いのに大したものだと感心する。

「さてと、今後の事なんですけど……明日はいろいろと買い物をして、明後日にはここを出たいと思ってるんですよね~」

「あぁ、それくらいがいいだろう。あまり長くここに滞在したくないし、森の魔物が湧いて出るまでに、あの森を抜けたいからな」

 魔の森の魔物たちは、一定時間を経過すると、どこからか湧いて出てくる。
 王都オフレンドへと訪れる前に、東と西の傭兵たちは、魔物を狩れるだけ狩ってきたが、あと数日経つと湧いて出てくるだろう。
 また倒すのは面倒だから、それまでにあの森を抜けてしまいたい。

「チェスターくん、買い物というのは、食料品や日用品という事でいいかな? こちらでも用意しよう」

「ありがとうございます、助かります。こういう相談をさせてもらえて、嬉しいです。今後ともよろしくお願いします」

 話がまとまり、本格的にワインを飲みかけたところで、ドアの外が騒がしくなってきた。
 そして誰かがノックもせずにドアを開け、中に入ってくる。
 入ってきたのは、この宿の女将だった。
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